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1060)インフレ率と失業率の関係

 2013年3月21日の日本経済新聞が、興味ある記事を載せている。

 3月20日に新しい日本銀行総裁に就任した黒田東彦氏が、安倍首相が提唱する2%の物価上昇の政策を実行することになるが、果たして実現できるか否かの記事を載せていた。

 その記事の中で、インフレ率を前年同月に対する消費者物価指数の変動率として捉え、この消費者物価指数変動率と失業率の関係を、1985年から現在までの期間に渡って分析したグラフを掲示する。

 その分析グラフは、SMBC日興証券によるものと思われる。

 縦軸に前年同月比の消費者物価指数の変動率%、横軸に失業率%をとって、両者の関係を図示する。

 そのグラフを読み取ると、失業率が約2%の場合、消費者物価指数の変動率は2〜3%である。

 失業率が約3%になると、消費者物価指数の変動率は0%となる。

 失業率が約5%になると、消費者物価指数の変動率は-1〜−2%となっている。

 失業率が約3%〜4.3%の間は、消費者物価指数の変動率は0%となっている。

 上記をまとめると、

    失業率 消費者物価指数の変動率 グラフの傾向

約2% 2〜3% 右肩下がり 約3% 0% 横ばい 約3%〜4.3% 0% 横ばい、4.3%から右肩下がり 約5% -1〜-2% 右肩下がり

である。

 SMBC日興証券によると、

 「過去に2%の物価上昇が起きた時の失業率は2.5%程度だった」

と記事は書く。

 これより類推すると、インフレ率2%を成し遂げるには、失業率は2.5%の水準にしないと達成出来ないことになる。

 現在の失業率は、4.2%(平成25年3月1日 総務省統計局)であるから、失業率2.5%にするには、

             2.5 %− 4.2%=−1.7%

失業率を▲1.7%減じ無ければならない。

 失業率が減じることは、就業者が増え、それだけ全体の所得が増加することになる。

 所得が増加すれば、消費財の購入需要が増える。
 供給より需要が増えることにより、ものの価格が上がる、即ち消費者物価指数が上がるということである。

 その通り上手くゆくのかと私は思うが。

 記事はいう。

 「今の失業率は4%超なので、約1.5%下げなければならない。
 それには2年間、毎月11万人の雇用増が必要」

という。

 そして、SMBC日興証券チーフエコノミストの牧野潤一氏は、次のごとく云う。

 「景気の良かった07年ごろでも月4万人増どまり。ハードルは相当高い」

という。

 私は不動産の価格評価と賃料評価ばかり行ってきたから、インフレ率、失業率については無関係であった。

 インフレ率と失業率の間に相関関係があるとは、私は知らなかった。
 さすがに証券会社のエコノミストである。
 証券・株価に影響することに関しての分野の分析は鋭い。

 インフレ率と失業率の間に相関関係が存在すると分析証明している。

 失業率1%は、消費財金額のいくら位に相当するのであろうか。

 インフレ率1%は、消費財金額のいくら位に相当するのであろうか。

 失業率1.5%下げるには、11万人の雇用が毎月必要という。

     11万人÷1.5%=7.3万人

 失業率1%は、月7.3万人の雇用に相当することになる。

 インフレ率2%達成のための雇用増は、現在の失業率は4.2%であるから、失業率を1.7%下げなくてはならなく、

         7.3万人×1.7=12.41万人

である。
 失業率1.7%減にするには、毎月12.41万人の雇用増が必要となる。
 これが2年間続くことになる。

    12.41万人×24ヶ月=297.84万人

 297.84万人の雇用増となる。

 国税庁の『民間給与実態統計調査』によると、平成23年の給与所得者45,657千人の年間平均給与は、409万円である。

             409万円×297.84万人≒12兆1816億円

 12.2兆円の金額が、賃金として日本の国民に、現在の給与水準の他に懐に入らなければ、インフレ率2%の政策の実現は成就出来ないことになる。

 雇用増は政府機関の雇用増を意味しない。
 民間企業の雇用増である。
 現実では、日本を代表する電器メーカーのパナソニックは、赤字からの脱却で、現在大幅に人員削減を行っている。
 果たして日本銀行、日本政府は出来るのか。


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