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135)金属会社の企業買収利回りは8%程度か

 ステンレス鋼線材の会社で、名古屋の名門会社の1つである大同特殊鋼が、日本冶金工業の子会社であるステンレス鋼線材の製造加工メーカーの日本精線の株式の33.3%を取得した。(大同特殊鋼ホームページプレスリリース、2003年10月28日)

 日本精線の今迄の筆頭株主は、日本冶金で株式の39%を持っていた。今回その約85%を大同特殊鋼に売却したのである。
 大同特殊鋼が日本精線の筆頭株主になって、事実上、子会社とし、経営権を握った。

 日本精線の売上高、営業利益は2003年3月期では次のごとくである。
       売上高   189.05億円
       営業利益   8.79億円
 これの33.3%に相当する金額は、
       売上高  189.05億円×0.333=62.95億円
       営業利益  8.79億円×0.333=2.67億円
である。

 プレスリリースによれば、株式33.3%の取得金額は32.38億円である。

 取得金額に対する売上高倍率は、
       62.95億円÷32.38億円=1.94倍
である。
 売上高に対する取得金額の割合は、
       1÷1.94≒0.51
である。

 売上高倍率、取得金額倍率のいずれもいささか高い。こんなに高く買って大丈夫かと思われるが、取得金額に対する営業利益率は、
       2.67億円÷32.38億円=0.082
8.2%である。

 金属会社の企業買収利回りは、8%程度と解してよいか。

 日本精線の経営権を握る大同特殊鋼の売上高は、2082億円で営業利益はわずかに1.74億円である。(2003年3月期)
 日本精線の方が売上規模は1/10で、営業利益は1.5倍である。

 この数値比較から見ると、大同特殊鋼はどんな経営をしているのだろうかと、経営に全く素人ながら、単純な疑問が湧いてくる。

 日本精線の株式取得は、大同特殊鋼の企業構造改革の一環と思われるが、親会社となる大同特殊鋼よしっかりせい、名門会社の意識をかなぐり捨て、無駄を省き、経営の合理化を進めて、買収子会社に敗けない位の営業利益をあげてくれと励ましたくなる。甚だ恐い減損会計の時価評価制度が、すぐ近くまで来ている。

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