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1385) 事務所ビルの賃料に占める水道光熱費、公租公課の割合

 事務所ビルの賃料に占める水道光熱費、公租公課の割合は、どれ程であろうか。

 Jリートの多くの会社は、貸ビルを所有している。

 その中で、日本のJリートを代表する日本ビルファンド投資法人(三井不動産系)と、ジャパンリアルエステート投資法人(三菱地所系)の発表するデータから、その割合を探ってみる。

 両投資法人が所有するビルの数は、下記である。

            日本ビルファンド投資法人             74ビル
            ジャパンリアルエステート投資法人        70ビル

 日本ビルファンドの2015年6月30日(2015年6月期)の賃貸事業収支は、下記である。投資法人は6ヶ月が1決算期間である。単位百万円。
 データの端数数値は合わないけれども、それは四捨五入が原因していると思われる。

 不動産賃貸事業収益                                   34,593
          不動産賃貸収入       31,396    
          その他賃貸事業収入           3,196

 不動産賃貸事業費用 19,570 公租公課 3,365 水道光熱費 2,773 建物管理委託費 3,634 オフィスマネジメントフィー 1.340 修繕費 625 借地借家料 401 信託料 32 保険料 39 その他諸経費 213 減価償却費 7,145

 不動産賃貸収入に占める水道光熱費の割合は、

                      2,773
                  ──────    = 0.088                         
                     31,396

8.8%である。

 ジャパンリアルエステートの2015年3月31日(2015年3月期)の賃貸事業収支は、下記である。

 発表単位は千円であるが、日本ビルファンドと単位を合わせるため百万円以下は、私が四捨五入して修正した。単位百万円。

 不動産賃貸事業収益                                   28,048
          賃料                  21,748
          共益費                    3,459
     駐車場収入                      742
          その他賃貸事業収入            2,099

 不動産賃貸事業費用 15,722 公租公課 2,531 水道光熱費 2,694 管理業務費 3,448 修繕費 983 保険料 56 減価償却費 6,010

 不動産賃貸収入は、賃料と共益費であり、25,207百万円である。

   不動産賃貸収入に占める水道光熱費の割合は、

                      2,694
                  ──────    = 0.107                         
                     25,207

10.7%である。

 不動産賃貸収入に占める水道光熱費の割合をまとめると、

             日本ビルファンド                  8.8%
             ジャパンリアルエステート         10.7%
                 平均                          9.75%

である。

 次に公租公課の割合を検討する。

 日本ビルファンドは、

                      3,365
                  ──────    = 0.107                         
                     31,396

10.7%である。

 ジャパンリアルエステートは、

                      2,531
                  ──────    = 0.100                         
                     25,207

10.0%である。

 不動産賃貸収入に占める公租公課の割合をまとめると、

             日本ビルファンド                 10.7%
             ジャパンリアルエステート         10.0%
                 平均                        10.35%

である。

 事務所賃料に占める公租公課の割合について、私は著書『賃料<地代・家賃>の実際』P73(プログレス 2005年) で、

               平均   10.1%
               標準偏差   1.80

と記述している。

 同書P75で、年間賃料の額に対して、公租公課の割合は、下記と記述している。

            1億円以下      11%
            1〜8億円             10%
            10億円               9.7%
            20億円               9.1%
            30億円               8.5%
            40億円               7.9%
            50億円               7.3%

 日本ビルファンド、ジャパンリアルエステートのいずれも、支出で管理業務費と減価償却費が大き過ぎると思われ、この経費率を一般の貸ビルに当てはめて使用することは、危険と思われる。 それ故、収入に対する必要諸経費の割合、即ち経費率は求めなかった。

 水道光熱費と公租公課の2つの経費の合計の賃料収入に占める割合は、

 日本ビルファンドは、

                   2,773 + 3,365
               ──────────   = 0.196                     
                     31,396

19.6%である。

 ジャパンリアルエステートは、

                2,694 + 2,531
            ──────────  = 0.207                        
                     25,207

20.7%である。

 水道光熱費と公租公課の2つの経費の合計の賃料収入に占める割合をまとめると、

             日本ビルファンド                 19.6%
             ジャパンリアルエステート         20.7%
                 平均                        20.15%

である。

 曖昧で、かつ、合理的根拠薄弱な期待利回りを使って求めた賃料が適正であると主張する賃料鑑定額よりか、水道光熱費と公租公課を加算した金額を0.20で除して求めた賃料の方が、市場を反映している適正な賃料であると主張出来るのではないのか。

 しかしそう言うと、田原という不動産鑑定士は、鑑定評価基準を冒とくするのかという批判が起きることから、その求め方を鑑定書には書けないが、求めた賃料が適正水準にあるのか否かの検証には利用出来よう。

 貸事務所ビルを持っている人は、所有ビルの適正賃料はいくらかを知るには、上記求め方、即ち

           (水道光熱費+公租公課)÷0.2 = そのビルの市場賃料

の算式で、市場性を反映している賃料を知る事が出来る。

 その求められた賃料が、現行授受賃料よりもかなり高かったら、賃料の増額を賃借人に請求することである。

 但し、所有ビルが、周辺土地利用から見て、周辺環境に適合し、土地と建物の関係が均衡した状態でないとダメである。


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