○鑑定コラム



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14)著書 『賃料<家賃>評価の実際』

 平成13年11月に『賃料<家賃>評価の実際』(清文社)という本を著しました。

 家賃をどの様に評価したらよいのか。土地建物の価格の把握、新規賃料・継続賃料の求め方について、新しい分析手法も併せて述べてあります。

 例えば、
 ・土地価格の環境条件の格差率(100/108)をどの様にして求めるのか。
 ・「出現率10%の取引事例による鑑定で不当鑑定だ」と弁護士から批判されることが今後有るかもしれない。それは何故か。
・還元利回り・期待利回りの求め方は。
 ・土地の期待利回り 5.3%、建物の期待利回り 7.8%をどう求めるのか。
 ・保証金の償却と礼金償却の違いは。
 ・更新料の償却は 2年間だけなのか。
 ・積算賃料の落とし穴
 ・差額配分法の落とし穴
 ・現行利回り法の非論理性
 ・価格時点の継続賃料利回りはどのように求めるのか。
 ・継続賃料の賃貸借契約内容の比較は可能なのか。
 ・・・・・・・

 家賃の求め方を本格的に論じた本です。
 この書物ほどに家賃の求め方を具体的に、かつ論理的、実証的に分かり易く論じた書物は今迄にありません。
 この本を熟読玩味し内容をマスターすれば、不動産鑑定士30年のスキルを短時間で身につけることが出来ると私は勝手に自画自賛しています。
 内容をマスターすれば家賃評価に自信を持つことが出来ようになることは保証します。

 価格の評価では云われないが、家賃の評価では、

 「鑑定を知らない不動産鑑定士」

と批判されることがあります。

 恥ずべきことです。
 家賃評価は簡単なものではありません。価格評価より格段に難しいものです。
 ひとりよがりの考え方で家賃評価を行うと、勉強している弁護士から相当の手荒い洗礼を受けます。

 清文社のロングセラーの『不動産の評価 権利調整と税務』の著者である鵜野和夫先生(不動産鑑定士・税理士)が、400ページを越える本書を一晩かけて読み終え、「いい本だ」といい、読後即 書評 を書いてくださったと聞く。

 徹夜して読み終えられるとは、とても齢70歳を越えている方とは思えない。
 書評のお礼に訪ねると、
 「君たちの若さのエネルギーを吸収して百歳まで生きるのだ」
と意気軒昂である。

 「評者の門前、雀羅をなしていた」の文調・文体に教養・格の違いを感じて恐縮してしまった。

 書評の一部を以下に抜粋します。

(一)
 家貧にして孝子出で、国乱れて忠臣顕わるとか、周末の春秋戦国の世には、百家争鳴、孔子・老子・墨子・孫子・呉子などなどが言いたい放題の説をとなえ、その後の中国3000年の学問的基礎を築いた。
 平成への改元を機とし、土地神話の崩壊があって、落ちてきりなき無間の闇への地価の下落があり、不動産業界は青息吐息五色の息も……という状態になる。それについて不動産鑑定士も、「いくら左甚五郎だって、仕事がなけりゃ、そろそろ夜逃げの仕度か…」という、まさに文字どおりの世紀末と思われた。
 事実、評者の門前も雀羅をなしていた。
 しかし、「奇貨おくべからず」と考える貪欲な国際資本の不良債権、土地の買いたたきもあり、鑑定業界では、デューデリジェンスなど舌を噛みそうなテクニカルタームが流行りだし、それにつれてDCFとか、……数多の新説が横行し、評者も、そのおっかけに目を回す時世となった。
(二)
 これらの新説をとなえる新人も彗星のごとく輩出したが、その中で光芒を保っている本として、この本がある。
 この本は、「賃料(家賃)評価の実際」をめぐって、鑑定評価の手引きからはじめ、現行の鑑定評価のあり方、そして、鑑定評価基準まで手厳しく批判している。
 筆者は、よほど生真面目な人らしく、家賃評価の前提となる貸家の敷地である土地の評価からはじめて、その論述で、本書の2分の1を費やしている。
<以下省略>

 お陰様で平成14年3月現在で出版社の在庫は90部余になってしまったという由。
出版社は増刷は今のところ考えていないようですので、賃料鑑定の依頼があった時に本を買おうと思っていられた方は、もう手に入らなくなってしまいました。
 増刷を出版社に交渉してみますが、申し訳ありません。



  鑑定コラム1553)「脱稿・改訂増補『賃料<地代・家賃>評価の実際』」

  鑑定コラム2573)「鵜野和夫(税理士・不動産鑑定士)先生の死を悼む』」

  鑑定コラム2595)「東京一ツ橋 如水会館での鵜野和夫先生お別れ会」

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