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2067)新型コロナウイルスによる減損 金融庁が配慮

 2020年4月2日18:00日経ウエブは、「株安による減損、見送り一部容認 金融庁がコロナ配慮 」の見出しで、新型コロナウイルスによる株価の下落について、減損会計をしなくてもよい条件緩和を発表したと伝える。

 2020年4月2日発表の鑑定コラム2066)「2020年3月末 日経平均株価は18,917円01銭」で、2020年3月末の日経平均株価は前年比10.8%下落したと記した。

 そして「年度末である3月末の株価は、上場企業の3月期の決算に大きな影響を与える金額である。」と記した。

 「上場企業の3月期の決算に大きな影響を与える」と云うことは、企業が保有する株式や資産の価値が大きく下がった場合には、時価会計とするために減損会計処理して、時価を決算に反映させ無ければならないことになっており、その株式の時価は3月末の株価で処理されるため、3月末の日経平均株価は、企業の3月期決算に大きな影響を与えるのである。

 日本の企業の大半は3月期決算であるため、余計に3月末の日経平均株価の影響が大きいのである。

 新型コロナウイルスによって、工場の休止、店舗の休業などを余儀無くされて、売上高が大幅に減少し、純益も減った。

 その上に減損会計が加重されることにより、利益が吹っ飛ぶ場合もある。

 こうした企業のダメージを避けるために、企業会計基準の監督官庁である金融庁は、新型コロナウイルスによる企業の影響を和らげるために、次の様な配慮方針を出したと日経は報じる。

 「日本の会計基準では持ち合い株や子会社株、社債などについて、取得したときに比べ期末の価格が50%程度以上下落すれば、原則として減損処理が必要と定める」が、「30〜50%下落した場合でも、企業と監査法人が株や社債価格の下落を新型コロナによる一時的な要因と判断すれば減損処理しないことを認める方針だ。」と金融庁の配慮方針を伝える。

 そして、金融庁の「会社ごとの合理的な基準に沿っていれば訂正は求めない」という発言も伝える。

 企業の資産は株式だけではない。不動産もある。不動産については次のごとく日経は報じる。

 「減損ルールの弾力的な運用は有価証券のほかに工場などの資産にも適用する。新型コロナの影響で資産が将来生み出すキャッシュフローが簿価より大きく目減りしても、企業が回復する見込みがあると判断すれば容認する。」

 私は、上場企業所有の工場、賃貸ビルの時価会計による不動産鑑定評価を時々行っているが、新型コロナウイルスの影響で減損が見込まれる上場企業所有の不動産の鑑定評価が必要になるということか。


  鑑定コラム2066)
「2020年3月末 日経平均株価は18,917円01銭」
  

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