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2720) 「システム賃料について」千葉県不動産鑑定士協会講演レジュメ

 2024年2月26日に千葉県不動産鑑定士協会の依頼による講演を行った。

 講演の内容の一つの「家賃の期待利回りの求め方」の講演レジュメは、先の鑑定コラムで記した。

 今回はもう一つの講演内容の「システム賃料について」について、鑑定コラムに記す。


2部:「システム賃料について」


第1 「システム賃料」とは

 「システム賃料」とはどういう賃料なのか。

 名前は私が勝手につけたものであり、「新規賃料」とか「比準賃料」のごとく業界に概念が確立しているものではない。

 システム賃料の概念は、賃料を「平均」で捉えようとする考え方である。

 賃貸マンションの賃料の形成要因を見ていると、賃貸マンションの賃料形成に大きく影響しているのは、

         1.最寄り駅への距離           2.賃貸建物の経年数          3.賃貸面積
の3つである。

 接面道路とか、北向き等の方位、階層、角部屋等の要因は個別的要因で考えて、3つの要因で求められた賃料を修正すれば良い。

 1つの駅勢圏に存在する多くのマンションの賃貸事例データから、賃料と駅徒歩分、面積、経年の関係を多変量解析の回帰分析を使用して、重回帰式を求める。

 重回帰式から、徒歩5分、面積40u、築5年を3つの要因の標準的な値とし、要因の標準的値の賃料を100とした3要因の評点表を作りあげる。

 データのマンション平均賃料を形成する3要因の平均値の評点と、求めるマンションの3要因の評点とを評点比較して、各要因の修正率を求める。

 この求められた3要因の修正率を、データのマンション平均賃料に乗ずれば、求めるマンションの賃料が得られる。

 今回の講演の話は、この分析手法の求め方についての話である。

 システム賃料の「標準賃料」について述べると、各駅勢圏の賃料及び3要因の平均値は、バラバラで、全くの一貫性も経済法則性も認められない数値であるが、駅勢圏ごとに決められた3要因評点を使用して、徒歩5分、面積60u(著書『システムー賃料』で採用面積)、経年5年の賃料を「標準賃料」と呼んで、標準賃料を求めてみると、同一沿線では都心に近づくにつれて標準賃料は高くなり、急行停車駅の「標準賃料」は、止まらない駅の標準賃料よりも高いという1つの規範性ある賃料現象が認められる。

 それは目に見えない糸によって経済行為が行われているのではないかと思いたくなる現象である。

 現在の不動産鑑定では、賃料あるいは価格を平均で捉え、あるいは考えるという考え方はない。

 個々別々のデータから比較して求めることが優れていると考えている。

 この考え方の最大の欠点は、採用した個々のデータが、1つの駅勢圏(母集団)の中で、どの位置にあるのかということが全くわからずに比較作業が行われ、賃料が求められ、求められた結果が適正であると考えられ、主張されることである。

 採用した賃貸データを、評価する人が適正な賃料データと思った根拠は何なのか。その実証根拠が示されない。

 適正と思って採用した賃料が高い水準のものであった場合、求められる賃料は、結果において高い賃料水準のものとなり、それは、「適正」という名のもとで罷り通るということになる。

 DCF法で使用される賃料を、契約されている賃料であるからといって無条件で適正と判断して、採用してよいものかどうか。

 あるいは何のデータ根拠の説明もなく使用されている賃料を、そのまま100%信用して、DCF法で得られた価格を適正と認められるものかどうか。

 DCF法は還元利回りや、借入金割合等にとかく目を奪われているが、DCF法に使用する根本である賃料の妥当性の検証こそがより大切である。

 『システム賃料』の考えによる、つまり「平均」による賃料の求め方は、2000年6月1日発行の共著『システム賃料』(清文社)で発表した。


第2 「平均」による賃料の求め方の例

1. マンション賃料データの数値

 ある駅勢圏の徒歩20分以内の賃貸マンションの新規賃貸事例30数件を集めた賃料等平均は、下記であったとする。
      賃料平均   u当り 2,245円
            駅徒歩分   10.1分
      面積     44.90u 
      経年     12.5年

2.3要因評点

 最寄り駅より遠ざかるに連れて、マンション賃料は安くなるのは、賃料形成の市場経済原則である。

 徒歩5分の賃料の評点を100とした場合の各徒歩分評点、賃貸面積40uの賃料の評点を100とした場合の各面積の評点、そして経年5年の賃料の評点を100とした場合の各経年の評点は、下記一覧のごとくであったとする。


徒歩分 評点   面積 u 評点   経年 評点
1 102   20 102   1 105
2 102   25 102   2 104
3 101   30 101   3 103
4 101   35 101   4 101
5 100   40 100   5 100
6 99   45 99   6 99
7 99   50 99   7 97
8 98   55 98   8 96
9 98   60 98   9 95
10 97   65 97   10 94
11 96   70 96   11 92
12 96   75 96   12 91
13 95   80 95   13 90
14 94   85 95   14 89
15 94   90 94   15 87
16 93   85 95   16 86
17 93   100 93   17 85
18 92         18 84
19 91         19 82
20 91         20 81
            21 80
            22 78
            23 77
            24 76
            25 75
            26 73
            27 72
            28 71
            29 70
            30 68


3.駅勢圏の賃料データ平均の3要因の評点

 ある駅勢圏の徒歩20分以内の賃貸マンションの新規賃貸事例30数件を集めた賃料平均は、u当り2,245円であった。

 その平均賃料を形成した3要因の評点は、上記要因評点表より、下記の評点となる。
            駅徒歩分   10.1分        評点97
      面積     44.90u      評点99
      経年     12.5年        評点90

4.評価マンション1の3要因と評点

 評価賃貸マンション1は、平均データを求めた同じ駅勢圏にあり、徒歩13分にあり、面積は55u、経年は15年の賃貸マンションであったとする。

 評価賃貸マンション1の3要因の評点は、前記評点一覧表より下記である。

            駅徒歩分   13分         評点95
      面積     55u       評点98
      経年     15年          評点87

5.評価マンション1の賃料

 駅勢圏の平均マンションの賃料と比較して対象マンション1の賃料を求めるのであるから、各要因の修正率を求める。

   分母 : 駅勢圏の平均マンションの評点
   分子 : 対象マンションの評点

とする。

 @ 駅徒歩分要因修正率

                       95
                    ───   =0.9793≒0.979                        
                       97
 A 面積要因修正率

                       98
                    ───   =0.9898≒0.990                        
                       99

 B 経年要因修正率

                       87
                    ───   =0.9666≒0.967                        
                       90

 C 対象マンション1の賃料

 駅勢圏のマンション賃料の平均賃料はu当り 2,245円である。この平均賃料を形成している駅距離、面積、経年の要因による修正を行えば、対象マンション1の賃料は求められる。

                   95           98           87
     2,245円  × ──    × ───   ×  ───                   
                   97           99           90

   = 2,245円×0.979×0.990×0.967 =2,104.073円 ≒2,100円

 対象マンション1の賃料は、u当り2,100円と求められる。

 この賃料に、北向きの5階の角部屋であったら、北向き、5階部分、角部屋の個別的要因の修正を行えば、最終的な対象マンション1のu当り賃料が求められる。

 これが、平均賃料から対象マンション1の賃料を求めるシステム賃料という賃料の求め方である。

6.もう1例の賃料例

 @ もう1例のマンション賃料

 もう1例のマンション賃料を求めてみる。マンション2とする。

 マンション2の条件は、下記とする。
      駅距離   徒歩3分
         面積        70u
      経年        3年

 マンション2の3要因の評点は、前記評点一覧表より下記である。

            駅徒歩分    3分         評点101
      面積     70u       評点96
      経年      3年          評点103

 A 駅徒歩分要因修正率

                    101
                    ───   =1.0412≒1.041                        
                      97

 B 面積要因修正率

                      96
                    ───   =0.9696≒0.970                        
                      99

 C 経年要因修正率

                      103
                    ───   =1.1444≒1.144                        
                       90

 D マンション2の賃料

 駅勢圏のマンション賃料の平均賃料はu当り 2,245円である。

 この平均賃料を形成している駅距離、面積、経年の要因による修正を行えば、マンション2の賃料は求められる。

                  101           96           103
     2,245円  × ──    × ───   ×  ───                   
                   97           99           90

= 2,245円×1.041×0.970×1.144 =2,593.372円 ≒2,590円

 マンション2の賃料は、u当り2,590円と求められる。

 マンション1と同じく、この賃料に、方位、階数、角部屋の個別的要因の修正を行えば、最終的なマンション2のu当り賃料が求められる。

 これが、平均賃料からマンションの賃料を求めるシステム賃料という賃料の求め方である。

第3 評点の求め方

1.はじめに

 上記で駅勢圏の賃貸マンションの平均賃料から、徒歩分評点、面積評点、経年評点を使用して、対象マンションの賃料の求め方を知った。

 マンションの平均賃料等が分かっても、徒歩分評点、面積評点、経年評点が分からなければ、対象マンションの賃料は求められ無いではないか。その評点表は、何処にあるのか。国土交通省が発表しているのか。それとも誰かが発表しているのかという質問が当然出て来る。

 3要因の評点表を国土交通省など発表していない。不動産鑑定士の為に、わざわざ評点表を作ってくれる奇特な人などいない。

 3要因の評点表は、不動産鑑定士が自分で作らなければならない。

 その具体的な作り方を以下に述べる。

2.千葉駅勢圏の賃貸マンションの賃料データ

 不動産情報会社のアットホームによれば、2024年2月1日現在の直近1年間程度の千葉駅勢圏の、S造、RC造、SRC造のマンション賃貸事例は、下記である。駅徒歩分20分以内である。築年30年以内とする。


所在地 千葉駅徒歩分 賃料 円 面積 u u単価 円 築年 経年
1 中央区院内1-1* 11 65000 29.02 2240 2013 11
2 中央区春日2-3* 20 74000 30.24 2447 2023 1
3 中央区新宿1-* 13 82000 36.61 2240 2015 9
4 中央区要町5** 10 75000 28.15 2664 2022 2
5 中央区栄町1* 5 66000 25.01 2639 2018 6
6 中央区新宿2-1* 13 74500 27.87 2673 2011 13
7 中央区新千葉2-1* 5 70000 31.00 2258 2014 10
8 中央区新千葉2-* 2 200000 70.15 2851 2023 1
9 中央区新町1* 4 95000 40.76 2331 2014 10
10 中央区神明町2** 12 71000 31.21 2275 2008 16
11 中央区神明町2** 12 75000 43.18 1737 2011 13
12 中央区神明町3** 20 78000 41.06 1900 2017 7
13 中央区中央1-* 13 159000 67.62 2351 2014 10
14 中央区中央2-* 11 72000 26.32 2736 2014 10
15 中央区中央2-* 11 112000 43.72 2562 2014 10
16 中央区中央2-* 11 121000 53.92 2244 2014 10
17 中央区中央3-1* 12 88000 40.00 2200 2018 6
18 中央区弁天1-1* 5 65000 25.81 2518 2003 21
19 中央区問屋町3** 20 119000 67.37 1766 2003 21
20 中央区弁天1-2* 6 120000 50.19 2391 2022 2
21 中央区椿森1-1* 9 63000 26.92 2340 2004 20
22 中央区中央2-* 11 127000 56.54 2246 2014 10
23 中央区中央2-* 11 91000 33.83 2690 2014 10
24 中央区新宿2-* 16 180000 96.01 1875 2007 17
25 中央区新宿2-* 16 180000 80.47 2237 2007 17
26 中央区新千葉2-1* 5 88000 44.00 2000 2014 10
27 中央区新千葉2-* 2 200000 70.15 2851 2023 1
28 中央区弁天1 4 64000 35.02 1828 1996 28
29 中央区弁天1-1* 2 66000 35.27 1871 2000 24
30 中央区椿森1 10 67000 43.41 1543 1997 27
31 中央区要町5** 10 88000 52.29 1683 2000 24
32 中央区要町5** 10 89000 54.09 1645 2000 24
  平均 10.1   44.90 2245   12.5


3.データ化

 上記データを、
            Y :  マンションu当り賃料 円
            X1: 千葉駅徒歩分 分
            X2: 面積 u
            X3:  経年 年

として、データ化すると、下記である。


u単価 円 千葉駅徒歩分 分 面積 u 経年 年
  X1 X2 X3
1 2240 11 29.02 11
2 2447 20 30.24 1
3 2240 13 36.61 9
4 2664 10 28.15 2
5 2639 5 25.01 6
6 2673 13 27.87 13
7 2258 5 31 10
8 2851 2 70.15 1
9 2331 4 40.76 10
10 2275 12 31.21 16
11 1737 12 43.18 13
12 1900 20 41.06 7
13 2351 13 67.62 10
14 2736 11 26.32 10
15 2562 11 43.72 10
16 2244 11 53.92 10
17 2200 12 40 6
18 2518 5 25.81 21
19 1766 20 67.37 21
20 2391 6 50.19 2
21 2340 9 26.92 20
22 2246 11 56.54 10
23 2690 11 33.83 10
24 1875 16 96.01 17
25 2237 16 80.47 17
26 2000 5 44 10
27 2851 2 70.15 1
28 1828 4 35.02 28
29 1871 2 35.27 24
30 1543 10 43.41 27
31 1683 10 52.29 24
32 1645 10 54.09 24


4.重回帰式

 XYの間には、下記の算式があるものとする。

   Y= a + bX1+ cX2+ dX3 ……(1)式

 上記データを多変量解析の回帰分析で分析すると、下記の重回帰式が求められた。

         Y=2955.69 −16.03X1−3.10X2−32.73X3   ……(2)式
                    重相関係数    0.75
                    標準偏差      256.0

 重相関係数は0.75であるから、XYの関係は高いと判断される。

5.評点を求める

 @ 要因の標準

 駅徒歩分、面積、経年の標準を下記とする。
       駅徒歩分   5分
             面積     40u
       経年          5年

 A 駅徒歩分要因の評点

 上記(2)式で、面積X2 に標準面積の40uを代入し、経年X3 に標準経年の5年を代入する。その式を(3)式とする。

         Y=2955.69 −16.03X1−3.10×40−32.73×5   ……(3)式


 (3)式のX1 に、駅徒歩分の数値を代入して求めると、各徒歩分の賃料が求められる。

 徒歩5分の賃料は、

         Y=2955.69 −16.03×5−3.10×40−32.73×5   
       =2587.89円


2587.89円である。

 徒歩1分の賃料は、同様に(3)式のX1 に1を代入して求めると、

         Y=2955.69 −16.03×1−3.10×40−32.73×5   
       =2652.01円
2652.01円である。

 徒歩5分の賃料を評点100として、求められた徒歩分の賃料を標準徒歩5分の賃料で除して、100を掛ければ、各徒歩分の評点が求められる。

 徒歩1分の評点は、
                  2652.01
               ───── × 100 = 102.47≒102                   
                  2587.89
102と求められる。

 同様にして各徒歩分の賃料を求め、求められた賃料を標準徒歩5分の賃料で除し、100を掛ければ各徒歩分の評点が求められる。下記である。


徒歩分 賃料 評点
1 2652.01 102
2 2635.98 102
3 2619.95 101
4 2603.92 101
5 2587.89 100
6 2571.86 99
7 2555.83 99
8 2539.8 98
9 2523.77 98
10 2507.74 97
11 2491.71 96
12 2475.68 96
13 2459.65 95
14 2443.62 94
15 2427.59 94
16 2411.56 93
17 2395.53 93
18 2379.5 92
19 2363.47 91
20 2347.44 91


 上記評点表をよく見て欲しい。

 前記第1の「平均」による賃料の求め方の求め方の例で示した徒歩分要因の評点表と同じである。

 即ち、求め方の例で示したマンション分析例は、千葉駅勢圏の賃貸マンションの平均値より求めた徒歩分要因の評点表である。

 B 面積要因の評点

 面積要因の評点も、上記徒歩分要因の評点の求め方と同じである。面積要因であるX2 のみ残し、X1 に標準徒歩分の5分、X3 に標準経年の5年を入れた方程式とする。

 その式を(4)式とする。

         Y=2955.69 −16.03×5−3.10×X2−32.73×5   ……(4)式


 (4)式のX2 に、面積の数値を代入して求めると、面積の賃料が求められる。  面積40uの賃料は、

         Y=2955.69 −16.03×5−3.10×40−32.73×5   
       =2587.89円
2587.89円である。

 面積20uの賃料は、同様に(4)式のX2 に20を代入して求めると、

         Y=2955.69 −16.03×5−3.10×20−32.73×5   
       =2649.89円
2649.89円である。

 面積40uの賃料を評点100として、求められた徒歩分の賃料を標準面積40uの賃料で除し、100を掛ければ、各徒歩分の評点が求められる。

 面積20uの評点は、

                   2649.89
                 ───── ×100 = 102.39 ≒ 102                 
                   2587.89
102と求められる。

 同様にして各面積の賃料を求め、求められた賃料を標準面積40uの賃料で除し、100を掛ければ、各面積の評点が求められる。下記である。


面積 u 賃料 評点
20 2649.89 102
25 2634.39 102
30 2618.89 101
35 2603.39 101
40 2587.89 100
45 2572.39 99
50 2556.89 99
55 2541.39 98
60 2525.89 98
65 2510.39 97
70 2494.89 96
75 2479.39 96
80 2463.89 95
85 2448.39 95
90 2432.89 94
85 2448.39 95
100 2401.89 93


 上記評点表をよく見て欲しい。

 前記第1の「平均」による賃料の求め方の求め方の例で示した面積要因の評点表と同じである。
 即ち、求め方の例で示したマンション分析例は、千葉駅勢圏の賃貸マンションの平均値より求めた面積要因の評点表である。

 C 経年要因の評点

 経年要因の評点も、上記面積要因の評点の求め方と同じである。経年要因であるX3 のみ残し、X1 に標準徒歩分の5分、X2 に標準面積の40uを入れた方程式とする。 

 その式を(5)式とする。

         Y=2955.69 −16.03×5−3.10×40−32.73×X3   ……(5)式

 (5)式のX3 に、経年の数値を代入して求めると、経年の賃料が求められる。  経年5年の賃料は、

         Y=2955.69 −16.03×5−3.10×40−32.73×5   
       =2587.89円
2587.89円である。

 経年1年の賃料は、同様に(5)式のX3 に1を代入して求めると、

         Y=2955.69 −16.03×5−3.10×40−32.73×1   
       =2718.81円
2718.81円である。

 経年5年の賃料を評点100として、求められた経年の賃料を標準経年5年の賃料で除し、100を掛ければ、各経年の評点が求められる。

 経年1年の評点は、

                   2718.81
                 ───── ×100 = 105.05 ≒ 105                 
                   2587.89
105と求められる。

 同様にして各経年の賃料を求め、求められた賃料を標準経年5年の賃料で除して評点を求めれば、下記である。


経年 賃料 評点
1 2718.81 105
2 2686.08 104
3 2653.35 103
4 2620.62 101
5 2587.89 100
6 2555.16 99
7 2522.43 97
8 2489.7 96
9 2456.97 95
10 2424.24 94
11 2391.51 92
12 2358.78 91
13 2326.05 90
14 2293.32 89
15 2260.59 87
16 2227.86 86
17 2195.13 85
18 2162.4 84
19 2129.67 82
20 2096.94 81
21 2064.21 80
22 2031.48 78
23 1998.75 77
24 1966.02 76
25 1933.29 75
26 1900.56 73
27 1867.83 72
28 1835.1 71
29 1802.37 70
30 1769.64 68


 上記評点表をよく見て欲しい。

 前記第1の「平均」による賃料の求め方の求め方の例で示した経年要因の評点表と同じである。

 即ち、求め方の例で示したマンション分析例は、千葉駅勢圏の賃貸マンションの平均値より求めた経年要因の評点表である。

第4 船橋駅勢圏のマンション賃料要因評点

 船橋駅勢圏のマンション賃料の3つの要因の評点表を作成する。

 作成方法は、千葉駅勢圏の場合と同じであるから、求め方の説明は省略する。

1.船橋駅勢圏のマンション賃料データ

 不動産情報会社のアットホームによれば、2024年2月1日現在の直近1年間程度の船橋駅勢圏の、S造、RC造、SRC造のマンション賃貸事例は、下記である。駅徒歩分20分以内である。築年30年以内とする。


所在地 船橋駅徒歩分 賃料 円 面積 u u単価 円 築年 経年
1 船橋市栄町1* 18 59000 25 2360 2002 22
2 船橋市海神6* 15 60000 23.62 2540 2009 15
3 船橋市湊町2* 13 61000 25.02 2438 2006 18
4 船橋市宮本6* 11 64000 24.08 2658 2010 14
5 船橋市本町7* 5 65000 27.8 2338 2001 23
6 船橋市宮本4* 16 68000 28.25 2407 2010 14
7 船橋市本町1* 4 69000 22.7 3040 2009 15
8 船橋市湊町3* 17 74000 38.07 1944 1994 30
9 船橋市夏見2* 16 78000 53.6 1455 1994 30
10 船橋市本町1* 6 80000 33 2424 1995 29
11 船橋市夏見2* 18 82000 49.69 1650 1999 25
12 船橋市北本町1* 10 82000 40.3 2035 1994 30
13 船橋市市場2* 20 87000 46.09 1888 2015 9
14 船橋市本町5* 3 87000 31.68 2746 2015 9
15 船橋市本町1* 6 92000 39.42 2334 2012 12
16 船橋市本町5* 2 95000 26.64 3566 2021 3
17 船橋市本町2* 7 95000 30.04 3162 2007 17
18 船橋市夏見1* 12 98000 50 1960 1994 30
19 船橋市夏見1* 16 112000 65.1 1720 1996 28
20 船橋市本町5* 2 115000 33.09 3475 2021 3
21 船橋市夏見1* 11 140000 62.11 2254 2002 22
22 船橋市本町1* 5 144000 38.32 3758 2022 2
23 船橋市湊町1* 12 150000 63.67 2356 2000 24
24 船橋市湊町2* 12 200000 76.58 2612 2003 21
25 船橋市湊町2* 12 210000 81.35 2581 2003 21
  平均 10.8   41.41 2468   18.6


 データの平均は、下記である。
     賃料           u当り 2,468円
          船橋駅徒歩分   10.8分   
          面積       41.41u 
          経年       18.6年

2.データ化

 上記データを、
            Y : マンションu当り賃料 円
            X1: 船橋駅徒歩分 分
            X2: 面積 u
            X3:  経年 年
として、データ化すると、下記である。


所在地 u単価 円 船橋駅徒歩分 面積 u 経年
    X1 X2 X3
1 船橋市栄町1* 2360 18 25.00 22
2 船橋市海神6* 2540 15 23.62 15
3 船橋市湊町2* 2438 13 25.02 18
4 船橋市宮本6* 2658 11 24.08 14
5 船橋市本町7* 2338 5 27.80 23
6 船橋市宮本4* 2407 16 28.25 14
7 船橋市本町1* 3040 4 22.70 15
8 船橋市湊町3* 1944 17 38.07 30
9 船橋市夏見2* 1455 16 53.60 30
10 船橋市本町1* 2424 6 33.00 29
11 船橋市夏見2* 1650 18 49.69 25
12 船橋市北本町1* 2035 10 40.30 30
13 船橋市市場2* 1888 20 46.09 9
14 船橋市本町5* 2746 3 31.68 9
15 船橋市本町1* 2334 6 39.42 12
16 船橋市本町5* 3566 2 26.64 3
17 船橋市本町2* 3162 7 30.04 17
18 船橋市夏見1* 1960 12 50.00 30
19 船橋市夏見1* 1720 16 65.10 28
20 船橋市本町5* 3475 2 33.09 3
21 船橋市夏見1* 2254 11 62.11 22
22 船橋市本町1* 3758 5 38.32 2
23 船橋市湊町1* 2356 12 63.67 24
24 船橋市湊町2* 2612 12 76.58 21
25 船橋市湊町2* 2581 12 81.35 21


3.重回帰式

 XYの間には、下記の算式があるものとする。

         Y= a + bX1+ cX2+ dX3        ……(1)式

 上記データを多変量解析の回帰分析で分析すると、下記の重回帰式が求められた。

         Y=3,695.26 −51.23X1−0.37X2−35.42X3   ……(2)式
                    重相関係数    0.88
                    標準偏差      295.9

 重相関係数は0.88であるから、XYの関係は高いと判断される。

4.3要因の評点表

 駅徒歩分、面積、経年の標準を下記とする。
       駅徒歩分   5分
             面積     40u
       経年          5年

 各要因の標準の賃料を評点100とする。

 3要因の評点一覧表は下記である。


徒歩分 賃料 船橋評点   面積 u 賃料 船橋評点   経年 賃料 船橋評点
1 3452.13 106   20 3254.61 100   1 3388.89 104
2 3400.9 105   25 3252.76 100   2 3353.47 103
3 3349.67 103   30 3250.91 100   3 3318.05 102
4 3298.44 102   35 3249.06 100   4 3282.63 101
5 3247.21 100   40 3247.21 100   5 3247.21 100
6 3195.98 98   45 3245.36 100   6 3211.79 99
7 3144.75 97   50 3243.51 100   7 3176.37 98
8 3093.52 95   55 3241.66 100   8 3140.95 97
9 3042.29 94   60 3239.81 100   9 3105.53 96
10 2991.06 92   65 3237.96 100   10 3070.11 95
11 2939.83 91   70 3236.11 100   11 3034.69 93
12 2888.6 89   75 3234.26 100   12 2999.27 92
13 2837.37 87   80 3232.41 100   13 2963.85 91
14 2786.14 86   85 3230.56 99   14 2928.43 90
15 2734.91 84   90 3228.71 99   15 2893.01 89
16 2683.68 83   85 3230.56 99   16 2857.59 88
17 2632.45 81   100 3225.01 99   17 2822.17 87
18 2581.22 79           18 2786.75 86
19 2529.99 78           19 2751.33 85
20 2478.76 76           20 2715.91 84
                21 2680.49 83
                22 2645.07 81
                23 2609.65 80
                24 2574.23 79
                25 2538.81 78
                26 2503.39 77
                27 2467.97 76
                28 2432.55 75
                29 2397.13 74
                30 2361.71 73


第5 松戸駅勢圏のマンション賃料要因評点

 松戸駅勢圏のマンション賃料の3つの要因の評点表を作成する。

 作成方法は、千葉駅勢圏の場合と同じであるから、求め方の説明は省略する。

1.松戸駅勢圏のマンション賃料データ

 不動産情報会社のアットホームによれば、2024年2月1日現在の直近1年間程度の松戸駅勢圏の、S造、RC造、SRC造のマンション賃貸事例は、下記である。駅徒歩分20分以内である。築年30年以内とする。


所在地 松戸駅徒歩分 賃料 円 面積 u u単価 円 築年 経年
1 松戸市胡録台1* 15 58000 26.08 2224 2015 9
2 松戸市松戸1* 4 64000 24.72 2589 2001 23
3 松戸市小根本1* 15 64000 27.83 2300 2009 15
4 松戸市本町1* 4 69000 23.13 2983 2002 22
5 松戸市岩瀬5* 12 69000 25.42 2714 2021 3
6 松戸市古ヶ崎9* 10 69000 38.88 1775 1997 27
7 松戸市胡録台1* 18 75000 62.10 1208 1999 25
8 松戸市胡録台1* 15 78000 40.99 1903 2015 9
9 松戸市根本2* 4 85000 32.98 2577 2008 16
10 松戸市小根本4* 6 87000 26.64 3266 2013 11
11 松戸市小山2* 18 88000 54.70 1609 2011 13
12 松戸市樋野口6* 10 105000 60.00 1750 1995 29
13 松戸市南花島3-* 17 118000 75.63 1560 1997 27
14 松戸市本町3-* 2 122000 63.99 1907 1994 30
15 松戸市松戸1* 6 125000 34.96 3576 2019 5
16 松戸市松戸1* 10 125000 70.09 1783 2002 22
17 松戸市根本6* 5 130000 71.33 1823 1995 29
18 松戸市根本1* 4 190000 81.44 2333 2001 23
19 松戸市根本2* 4 200000 55.00 3636 2008 16
20 松戸市小根本7* 6 82000 48.20 1701 2001 23
21 松戸市松戸1* 10 128000 68.53 1868 2002 22
  平均 9.3   48.22 2242   19.0


 データの平均は、下記である。
     賃料           u当り 2,242円
          松戸駅徒歩分   9.3分   
          面積       48.22u 
          経年       19.0年

2.データ化

 上記データを、
            Y : マンションu当り賃料 円
            X1: 松戸駅徒歩分 分
            X2: 面積 u
            X3:  経年 年

として、データ化すると、下記である。


u単価 円 松戸駅徒歩分 面積 u 経年
  X1 X2 X3
1 2224 15 26.08 9
2 2589 4 24.72 23
3 2300 15 27.83 15
4 2983 4 23.13 22
5 2714 12 25.42 3
6 1775 10 38.88 27
7 1208 18 62.10 25
8 1903 15 40.99 9
9 2577 4 32.98 16
10 3266 6 26.64 11
11 1609 18 54.70 13
12 1750 10 60.00 29
13 1560 17 75.63 27
14 1907 2 63.99 30
15 3576 6 34.96 5
16 1783 10 70.09 22
17 1823 5 71.33 29
18 2333 4 81.44 23
19 3636 4 55.00 16
20 1701 6 48.20 23
21 1868 10 68.53 22


3.重回帰式

 XYの間には、下記の算式があるものとする。

         Y= a + bX1+ cX2+ dX3        ……(1)式

 上記データを多変量解析の回帰分析で分析すると、下記の重回帰式が求められた。

         Y=4221.17 −85.68X1−4.04X2−52.01X3   ……(2)式
                    重相関係数    0.87
                    標準偏差      356.9

 重相関係数は0.87であるから、XYの関係は高いと判断される。

4.3要因の評点表

 駅徒歩分、面積、経年の標準を下記とする。
       駅徒歩分   5分
             面積     40u
       経年          5年

 各要因の標準の賃料を評点100とする。

 3要因の評点一覧表は下記である。


徒歩分 賃料 松戸評点   面積 u 賃料 松戸評点   経年 賃料 松戸評点
1 3713.84 110   20 3451.92 102   1 3579.16 106
2 3628.16 108   25 3431.72 102   2 3527.15 105
3 3542.48 105   30 3411.52 101   3 3475.14 103
4 3456.8 103   35 3391.32 101   4 3423.13 102
5 3371.12 100   40 3371.12 100   5 3371.12 100
6 3285.44 97   45 3350.92 99   6 3319.11 98
7 3199.76 95   50 3330.72 99   7 3267.1 97
8 3114.08 92   55 3310.52 98   8 3215.09 95
9 3028.4 90   60 3290.32 98   9 3163.08 94
10 2942.72 87   65 3270.12 97   10 3111.07 92
11 2857.04 85   70 3249.92 96   11 3059.06 91
12 2771.36 82   75 3229.72 96   12 3007.05 89
13 2685.68 80   80 3209.52 95   13 2955.04 88
14 2600 77   85 3189.32 95   14 2903.03 86
15 2514.32 75   90 3169.12 94   15 2851.02 85
16 2428.64 72   85 3189.32 95   16 2799.01 83
17 2342.96 70   100 3128.72 93   17 2747 81
18 2257.28 67           18 2694.99 80
19 2171.6 64           19 2642.98 78
20 2085.92 62           20 2590.97 77
                21 2538.96 75
                22 2486.95 74
                23 2434.94 72
                24 2382.93 71
                25 2330.92 69
                26 2278.91 68
                27 2226.9 66
                28 2174.89 65
                29 2122.88 63
                30 2070.87 61


第6 3駅勢圏のマンション賃料と要因評点

1.3駅の駅勢圏の違いによる具体的賃料

 駅勢圏のマンション賃料の平均賃料から、駅徒歩分要因評点、面積要因評点、経年要因評点を使用すれば、その駅勢圏のマンション賃料を求めることが出来ることを知った。

 その各評点の求め方も知った。

 求めた評点を使用して、2024年2月の千葉駅、船橋駅、松戸駅のマンション平均賃料から、下記条件のマンション賃料を求める。
     駅徒歩分    13分
          面積      55u
     経年      15年

 上記条件の各駅勢圏のマンション賃料は、下記である。
      千葉駅勢圏    u当り 2,100円
      船橋駅勢圏    u当り 2,470円
      松戸駅勢圏    u当り 1,970円

 同一条件によって、各駅勢圏のマンション賃料の違いが分かる。

2.3駅の3要因評点の違い

 3駅で3要因の評点が異なっている場合、要因評点が2駅では全く同じという現象があることが分かった。

 @ 徒歩分要因

 3駅の徒歩分要因の評点は、下記である。


徒歩分 千葉駅評点 船橋駅評点 松戸駅評点
1 102 106 110
2 102 105 108
3 101 103 105
4 101 102 103
5 100 100 100
6 99 98 97
7 99 97 95
8 98 95 92
9 98 94 90
10 97 92 87
11 96 91 85
12 96 89 82
13 95 87 80
14 94 86 77
15 94 84 75
16 93 83 72
17 93 81 70
18 92 79 67
19 91 78 64
20 91 76 62


 駅勢圏の商業規模が大きい駅勢圏ほど、徒歩分による賃料の変動は小さい。
 千葉駅勢圏は、2分で1ポイント程度の変動である。

 船橋駅勢圏は、2分で3ポイント程度の変動率である。

 松戸駅勢圏は、2分で5ポイント程度の変動率である。

 A 面積要因

 3駅の面積要因の評点は、下記である。


面積 u 千葉駅評点 船橋駅評点 松戸駅評点
20 102 100 102
25 102 100 102
30 101 100 101
35 101 100 101
40 100 100 100
45 99 100 99
50 99 100 99
55 98 100 98
60 98 100 98
65 97 100 97
70 96 100 96
75 96 100 96
80 95 100 95
85 95 99 95
90 94 99 94
85 95 99 95
100 93 99 93


 千葉駅勢圏・松戸駅勢圏は、20uで1ポイント程度の変動率である。

 船橋駅勢圏は、面積要因による賃料修正はほぼ無いようである。

 B 経年要因

 3駅の経年要因の評点は、下記である。


経年 千葉駅評点 船橋駅評点 松戸駅評点
1 105 104 106
2 104 103 105
3 103 102 103
4 101 101 102
5 100 100 100
6 99 99 98
7 97 98 97
8 96 97 95
9 95 96 94
10 94 95 92
11 92 93 91
12 91 92 89
13 90 91 88
14 89 90 86
15 87 89 85
16 86 88 83
17 85 87 81
18 84 86 80
19 82 85 78
20 81 84 77
21 80 83 75
22 78 81 74
23 77 80 72
24 76 79 71
25 75 78 69
26 73 77 68
27 72 76 66
28 71 75 65
29 70 74 63
30 68 73 61


 千葉駅勢圏は、2年で2.5ポイント程度の変動である。

 船橋駅勢圏は、2年で2ポイント程度の変動率である。

 松戸駅勢圏は、2年で3ポイント程度の変動率である。

3.終わりに

 このシステム賃料の求め方は、現在の鑑定評価基準の賃料の求める手法である積算賃料、比準賃料、収益賃料のいずれにも属さない賃料の求め方である。

 敢えて云えば、継続賃料の賃貸事例比較法の部類に入ると思われるが、現行の賃貸事例比較法の求め方は 個別取引事例と比較して求める手法であり、システム賃料は、平均賃料という個別賃料の集合した賃料より求める手法であり、現行鑑定評価基準の考え方にそぐわない求め方である。

 しかし、比較事例で採用した取引事例が、確率統計の標準偏差を使った分析によって、科学的に出現率が10%、20%程度のものであると証明されたならば、不動産鑑定の専門家であれば、出現率70%以上(10人のうち7人が採用すること)の事例を採用すべきであると指摘されて、その比準賃料の適正性は否定されることになる。

 コンピュータによる普及・分析が進み、AIの出現が、時を騒がしている。

 本システム賃料の求め方は、AIの求め方に似ていると言う人もいることから、10年後、20年後には、この平均による求め方は、認知されているかも知れない。

 私は、平均は嘘をつかないという考え方から、この求め方の方が適正な賃料を求める場合には優れていると思っており、比準賃料が適正かどうか判断に迷った時は、適正賃料水準は何処にあるのか知るために使用している。

 更地評価の収益還元法による収益価格を求める場合の想定賃貸建物の賃料を求める時には使用している。

 その理由は、求められた重回帰式の経年要因の経年を1年にすれば、新築建物の新規賃料を求めることが出来るというもう一つの理由からである。新築建物の新規賃料を捜すのは容易くないという理由もあるが。

 2000年に発行した共書『システム賃料』(清文社)には、評点の具体的な求め方まで記して無い。

 それは、特許申請していた関係もあり、評点の求め方は伏せた。

 特許庁は、日本経済新聞社が発行している日経文庫の武田公夫先生の著書『不動産評価の知識』を根拠にして、その著書を読めば、システム賃料の求め方は、不動産鑑定士という専門家であれば、誰でも容易に考えつく求め方で、特許に値しないと、申請を却下した。

 私は、特許庁が特許申請却下の根拠にする『不動産評価の知識』を読んだが、どの様に読んでも、私が考えた平均から評点を導き出し、当該マンションの賃料が求められる手法を不動産鑑定士或いは一般の人の誰でもが容易く考えつくものとは思われなかったが、特許庁が求め方に新規性はなく、特許として認めないと言うのであれば、それもよかろうと思った。

 と言うことは、この求め方と似た算出方法の特許申請は、以後認められないと云うことが分かったからである。

 今から30年近く前の話である。

 今回は、評点の求め方もオープンにした。

 以 上


  鑑定コラム2719)
「「家賃の期待利回りの求め方」千葉県不動産鑑定士協会講演レジュメ」

  鑑定コラム2693)「2不動産鑑定士協会で講演予定」


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