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297)沖縄の軍用地の価格と地代についての論文

 沖縄の那覇市で不動産鑑定業を開業されている、不動産鑑定士の玉那覇兼雄氏が、『沖縄における軍用地取引の実態と評価の問題点』の課題で、沖縄のアメリカ軍用地の価格と地代についての論文を発表した。

 その論文は『Evaluation』22号p49(プログレス 2006年8月15日発行 メールinfo@progres-net.co.jp 03-3341-6573)に掲載されている。

 私は不動産鑑定士の義務の一つとして、現在の不動産の状況、価格等を、後世の研究者、不動産鑑定評価の業務に従事する人の為に、記録に残しておく責務を負っていると考えている。

 金、金、金と言って不動産鑑定で金儲けばかりを考えるのでなく、不動産鑑定士の社会的貢献の一つとして、現在を生きる不動産鑑定士が、現在を記録に残すことも職務として与えられたものと考える。

 そうした観点より見ると、沖縄に在住し、不動産鑑定業務で活躍されている不動産鑑定士の玉那覇兼雄氏の論文は、今現在の沖縄の不動産の一部の状況を見事に活写した優れた論文と思われる。

 論文は3つに分かれている。
 1.沖縄の軍用地使用と地料算定の歴史的経緯
 2.沖縄の軍用地取引の実態
 3.軍用地の評価上の問題

 1の歴史的経緯において、アメリカ軍占領統治下の琉球政府時代に、米軍側の主張であった軍用地借地料一括払いを拒否し、毎年払いにした島ぐるみの軍用地闘争を紹介する。

 2において、軍用地の価格は年間地代の倍率で決められると紹介する。
 年間地代の35倍とか25倍という具合に価格が決められて取引されるという。

 35倍とは、利回りに直せば1/35であるから0.028である。25倍の利回り換算は、1/25であるから0.04である。利回りは粗利回りである。

 現在の軍用地の地代水準が如何ほどかも、論文は分析している。
 現在のみでなく、過去からの軍用地地代の水準の変遷をグラフなどを使って説明する。

 3においては、「基地なかりせば」の条件で評価しているが、その評価条件での評価は近年難しくなりつつあると述べる。何故難しくなりつつあるのかは論文を読めばわかる。

 地代は継続賃料では無く、新規賃料であるという。

 そして「おわりに」において、先人が一括払いを拒否し、毎年払いにした行為に対して敬意を表し、沖縄の軍用地にも不動産証券化の波が押し寄せようとしている状況を伝える。

 私は、玉那覇氏のこの論文で、沖縄の軍用地について多くの新しいことを知った。
 その中で一番驚いたことは、沖縄の軍用地の使用・占有は、私が大学時代に学んだ国際法のハーグ陸戦条約に基づいて行われていたということを知ったことである。ハーグ陸戦条約は1899年オランダのハーグで結ばれた戦争に関する条約であるが、それはもはや過去の遺物の国際条約と思っていた。
 ところが、過去の遺物の国際条約どころか、日本の身近なところで適用されていたという事実を知って驚いたのである。

 本論文は、著者の玉那覇兼雄氏の高い識見が伺える優れた論文と私には思われる。
 一読されることを勧める。

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