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45)川口教授のデフレスパイラル説

 消費者物価、卸売物価の下落が続いている。

 消費者物価指数は1998年は101(2000年=100)であったが、2000年中頃に100を割ってしまった。2002年7月の直近月の指数は98程度である。

 国内卸売物価指数は、1998年に98程度(1995年=100)であったが、下落し続け、2002年7月直近月の指数は94程度である。

 物価が下がる現象をデフレというならば、現在日本経済はデフレの真っ只中にあることになる。

 昨年(2001年)10月頃、米国テロがあってしばらくして、国土交通省管轄の財団法人土地総合研究所主催の講演を聞く機会があった。
 講演者は明海大学の川口有一郎教授であった。

 教授というから50才過ぎの年輩者と思っていたら、若いのに驚いた。
 川口教授は不動産金融工学という新しい学問の領域を切り開き、その第一人者である。

 教授の著書の一つである『不動産金融工学』(清文社2001年)を読み始めたのだが、インテグラフが3つも出てくる式や、幾何ブラウン運動理論とかブラック・ショールの微分方程式が展開されて、とても私には理解し難くて、途中で読むのをやめてしまった。

 教授は講演の中で、
 「日本経済は2001年6月にデフレスパイラルに突入した」
という仮説を主張する。
 そして、  「米国の大恐慌は、その経済復活までに24年5ケ月かかった。日本の今回のバブル崩壊後の経済完全復活も、下手をするとその位かかるかもしれない」
と語っていた。

 バブル経済のピークは平成2年(1990年)であるから、バブル崩壊後既に12年経過している。この先12年もこの不況がまだ続くというのであろうか。

 土地価格はこの12年間下がり放しである。
 デフレ現象では、その最たるものである。  私の分析では都内の三軒茶屋の住宅地の価格は平成2年のピーク時では平方メートル当たり約186万円であった。現在は60万円程度である。1/3になってしまった。地価下落はいつになったら止まるのであろうか。

 貸ビルの利回りがネット利回りで6.5%程度になったら下げ止まるのであろうか。

 しかし、一部ではネット利回り6.5%を超えている貸ビルは出現している。

 それともネット利回り10%にならないと土地価格は下げ止まらないのであろうか。
 ネット利回り10%ということは、賃料・建物価格に変動がないという条件で、荒っぽく考えれば、土地価格は、
     (6.5%−10%)÷6.5%=−0.538≒−0.54
54%の地価下落が生ずることになるのである。

 いまの半値以下に土地価格はなるのであろうか。
 不良債権の対象ビルなら兎も角、いくら何でも都心の貸ビルでネット利回り10%は行き過ぎと思うが。

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