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691) 茨城県の不動産鑑定士は勉強熱心だ

 2010年9月の初めに水戸に行って来た。

 東京上野駅より特急日立に乗ると、次の停車駅は水戸駅である。所要時間は1時間05分である。

 茨城県の県都は、東京から意外にも近い。

 水戸駅の南口に出た。
 南口広場は、人口地盤で3階建の建物の高さにある。

 目に飛び込んで来た景色は、7車線の車路とゆったりした歩道をもつ道路がまっすぐに遠く伸びる。
 それは遠近法の景色を見るごとくの大空間であった。

 道の両側には、ホテル、ビル、マンションが建ち並ぶ。

 なんと立派な都市づくりの街かと。

 社団法人茨城県不動産鑑定士協会(会長高橋敏夫氏)から、賃料についての講演を頼まれて、水戸を訪れたのである。

 講演の会場は、茨城県産業会館であった。水戸駅南口より徒歩2,3分であった。

 予定時間より早く着いたので、同会館のロビーで時間を潰すことにした。
 ロビー内を歩いて居たら、壁に興味ある物が掲げられていた。

 「明治・大正・昭和・平成米価暦」というもので、米60kg(1俵) の生産者価格の推移であった。それは「渡辺輝徳様寄贈」と書かれていた。

 米価の推移を見ると、明治以来平成4年(記録は平成4年までの表示である)までの米価は、一貫して値上がりしている。(明治から平成4年までの茨城県の米価の推移を知りたい人は、茨城県産業会館の1階ロビーの壁に掲げてある米価暦で調査されたい)

 目を引いたのは、太平洋戦争の前と後の価格である。
 下記の数値である。

          昭和16年    16円30銭
          昭和20年    60円
          昭和21年    220円
          昭和22年   700円
          昭和23年  1,487円
          昭和24年  1,735円
          昭和25年  2,060円

 戦争による物価のインフレの凄さがどれ程であったのか、はっきりと分かる。

 同じ米1俵が、戦争の始まった昭和16年に16円30銭であったのが、戦争に負けて9年後には、2,060円になっているのである。

 インフレ率は、

        2,060円
            ──────  = 126.4倍                               
               16円30銭

である。

 多くの人が戦争で命を落とし、生き残った人も、超超超超インフレに襲われて生きて行かざるを得なかった。

 賃料の講演は、社団法人茨城県不動産鑑定士協会の研修委員長の増田潤志不動産鑑定士から、2ヶ月ほど前に大変低姿勢でおそるおそるのごとく講演の依頼の打診があった。

 私は研修委員長の思っているごとく立派で近寄りがたい人では無いのであるから、研修委員長から講演の趣旨を聞いて、即時に講演を引き受けた。

 講演の参加者は40人と聞いて私は驚いた。
 何故かといえば、社団法人茨城県不動産鑑定士協会に所属する不動産鑑定士は、65名程度と聞いていたからである。

        40÷65=69.2%

 会員のおよそ70%の人々が講演に参加されたのである。

 聞けばその多くの人は、地代・家賃の鑑定評価をやったことがない人が多いのである。

 事務局の人から出席者が40名と聞いて、

 「茨城県の不動産鑑定士は勉強熱心だ」

と思ったのである。

 2時間の講演時間であった。
 2時間で家賃の新規賃料・継続賃料・地代・収益賃料を話すことは殆ど不可能である。

 それ故、不動産鑑定士が家賃評価・地代評価で間違えやすいところ、陥り易い穴の個所について重点的に話したが、やはり時間が足りなかった。

 岐阜の森島塾で話した時と同じごとく、全部を話すことが出来ず、途中で時間切れとなってしまった。
 どうも1度あることは2度あると云えそうだ。
 話し方が下手ということも原因しているかもしれない。
 あれも話そう、これも話そうと思うとついつい横道にそれてしまうのである。
 この横道にそれて話が別の話になることは、桐蔭横浜大学の講義でも、しょっちゅうあることだが。

 講演の時間内では時間が足りなくて、質疑応答が出来なかったので、その後開かれた水戸市内の立派なホテルでの懇親会場で、お酒が回り始めた頃あいを見計らって、司会者が出席者に講師への質問の時間を作ってくれた。

 その懇親会での質問に対する回答は、結局講演の延長の様なものとなってしまった。
 懇親会の場であるからこそ出る質問であるが、賃料の鑑定報酬料はいくらぐらいかの質問には、いささか回答に困惑した。
 正直に話して良いものかどうか金額をバラして良いものかどうか迷った。
 結局話したが、賃料の鑑定報酬料は、労力の割にはあまり高く請求出来ない。

 水戸のホテルで一泊した翌日、今回の講演を企画して下さった増田潤志研修委員長の案内で、徳川御三家の一つである水戸徳川の殿様の作った日本の三大庭園の一つである偕楽園を見てきた。

 梅の花のシーズンはさぞかし美しい庭園であろうと思うが、夏も終わろうとしている時であったが、緑が豊かで、敷地は広く心安まる庭園であった。

 偕楽園の中にある「好文亭」の2階に登り、手入れされた庭園の木々と眼下に見る千波湖の景色にしばし見とれた。

 畳の縁に、徳川幕府の葵の金色の紋の部屋があった。ここは殿様以外は入れない部屋であったに違いない。

 茶室の待合に続く竹垣は、京都祇園の建仁寺発祥の見事な建仁寺垣であった。竹垣の最高品である建仁寺垣を見ることが出来た。

 水戸の偕楽園の庭園を見ながら、高松で行われた社団法人日本不動産鑑定協会四国会主催の講演に行った時、主催者が一泊して栗林公園を見ていって下さいというのを、翌日仕事があるからと言って、好意を無視して日帰りで東京に帰ってしまったことが想い出される。
 一泊して栗林公園を見てくるべきであったと、今は後悔している。
 

 茨城県内の土地価格に関しては、或いは茨城県内の不動産鑑定士の事務所所在地等については、下記の社団法人茨城県不動産鑑定士協会のホームページに掲載されています。

  社団法人茨城県不動産鑑定士協会のホームページのアドレス
   http://www.ibaraki-kanteishi.or.jp/


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