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725) ブリスベンの大洪水

 2011年1月12日〜13日にかけて、ブリスベンという市が大洪水に襲われ、市内の大部が浸水し、市機能が麻痺したと新聞テレビは報じる。

 テレビに映し出される映像は、ブリスベンの市内の建物の1階部分が濁流に呑み込まれた状況を映す。噂では鮫やワニが市内を泳いでいると云うことを伝える。

 ブリスベン市とはどこかと云うと、オーストラリアの東海岸にあり、オーストラリアの第3番目に大きい都市という。

 「ブリスベン」と何処かで聞いた都市名であると、私の脳裏の何処かにあった。
 どうして記憶にあったのか、思い出せなく、ブリスベン市の歴史をたどってみて、やっと思い出された。

 太平洋戦争が終わり、厚木の飛行場に、ダグラス・マッカーサーが、サングラスに葉巻をくわえて飛行機のタラップを降りる姿がある。そのダグラス・マッカーサーが、日本に乗り込むまでどこにいたのかと言うと、ブリスベンにあった連合国軍太平洋司令部にいて、対日戦争の指揮をとっていたのである。

 ダグラス・マッカーサーは、ブリスベンからやって来て、日本の厚木の飛行場に降り立った。
 そのことからブリスベンという都市の名前が私の脳裏に残っていたのである。

 ブリスベン市内を流れるブリスベン川の上流の内陸部で大雨が降り、それによって、ブリスベン川が氾濫し、堤防が決壊してブリスベン市内が水浸しになったというようである。

 では、何故ブリスベン川の上流の内陸部に大雨が降ったかということは、気象に詳しい解説者によれば、地球の深層海流の流れ、地球の自転方向も関係し、赤道直下の南米ペルー沖合の海の水温が、平年を下回り、その影響で気圧に変化が生じ、西のオーストラリアに近い海域の気温・水温が上がり、蒸気が上昇し、上空の冷気によってブリスベン川の上流の内陸部に大雨が発生したと云う。

 ペルー沖の赤道海域の水温が、平均以下の状態を「ラニーニャ」と云うらしい。
 その反対の平均水温以上の状態を「エルニーニョ」という。

 このラニーニャ、エルニーニョが、日本の気候に影響を与え、農作物、経済が影響を受けるというを知っていたが、ブリスベン市の浸水が「ラニーニャ」によるものと聞いて、最近読んだ論文を想い出した。

 その論文は、第一生命経済研究所のエコノミストの永濱利廣氏が書かれた『拡大傾向にある気象の景気影響〜予想される猛暑反動と寒気特需、花粉増加や穀物高騰にも要注意〜』(2010年11月22日)である。

 その論文の要旨は次のごとくである。
 日本の猛暑・寒波は「ラニーニャ」の影響を受けている事が多く、冷夏・暖冬は「エルニーニョ」の影響を受けている事が多いと述べる。

 今夏(2010年の夏)は統計開始以来最高の暑さとなった。これにより、7〜9月期の実質家計消費の1.6pt(9,667億円)は、この猛暑によるものと計算される。

 しかし、この猛暑は10〜12月期に反動が予測され、個人消費はマイナス成長に転じると分析する。

 今年(2010年)夏の平均気温が前年を+2度C上回った事から、来年(2011年)1〜3月期は花粉の飛散増となり、実質家計消費▲3,889億円(▲0.6%)減少し、同時期の実質GDPを▲3,455億円(▲0.3%)押し下げると試算されると述べる。

 但し、ラニーニャ現象によって、今冬(2010年12月〜2011年2月)の気温は低めと予想され、冬物商材の需要拡大が期待され、個人消費の落ち込みが緩和される可能性もあると予測される。

 ペルー沖の海水の温度が、平年の平均の上に行くか、下に行くかが、日本の経済にも、数字で持って影響度が計れるとは、私には考えもつかなかった。

 それぞれの専門家の知識・分析の力には敬服する。

 「ラニーニャ」、「エルニーニョ」が、日本経済に影響を与えると云うことは、それは土地価格、賃料に影響を与えると云うことになってくる。

 経済学部を出た不動産鑑定士の誰か、気象変化と土地価格、賃料の影響という分析をやってくれないものか。


 鑑定コラム731)「2010年各月の売れ行き商品(野菜、畜産物、水産物、その他食品、紳士衣料、婦人衣料)」

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