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880)オフィス移転の理由の3位に耐震性が

 先に「企業は東京の何処にオフィスを持ちたいか」(鑑定コラム867) の記事を書いた。

 これは、森ビルの『2011年東京23区オフィスニーズに関する調査』に基づいたものである。
 同調査はもう一つの事項についても調査している。

 「オフィスを新規賃借したいとする理由は何か」という調査である。

 その理由のベスト3は、下記の通りである。

  1位 賃料の安いビルに移りたい       38%
    2位 業容人員拡大             36%
    3位 耐震性の優れたビルに移りたい     35%

 1位の「賃料の安いビルに移りたい」は、昨年(2010年)も1位であったが、割合は43%であり、2011年は38%で割合が低下している。

 過去の占める割合を見ると、

     2011年    38%
     2010年    43%
     2009年    40%
     2008年    31%
     2007年    27%

である。

 日本経済新聞社調査の『オフィスビル賃貸料調査』の各年11月時の賃料の中で、「丸の内〜大手町」の賃料を見てみる。既存ビルのゾーン高値の賃料である。 坪当り千円。

          2011年11月     50
          2010年11月     55
          2009年11月     59
          2008年11月     70
          2007年11月     70

 丸の内〜大手町の賃料は、2007年11月より大幅に値下がりしている。

        50千円
             ────── =  0.714(△28.6%)                      
                70千円

 △28.6%の下落である。

 丸の内〜大手町は、東京のビジネス街としては、トップにある地域である。
 この地域の賃料は、オフィス賃料の指標的存在である。

 このことから、丸の内〜大手町の賃料が下がっていることは、東京のオフィス賃料も下落していると判断出来る。

 「賃料の安いビルに移りたい」の項目が1位でありながら、その割合がピークの割合より下がってきたことは、支払っている賃料水準が、ある程度納得出来る水準に来たと云うことではなかろうか。

 「耐震性の優れたビルに移りたい」の項目が、大幅な割合を占めて3位になったのは、平成23年(2011年)3月11日の東日本大震災によって、地震対策が企業にとって絶対必要と感じ、又自覚したという結果では無かろうか。

 地震で本社機能が発揮出来なくなった時、企業は結果として大変な損害を受けることを、東日本大地震で企業は悟った。

 1年前の同項目の調査の順位は、下記の通りである。

   1位 賃料の安いビルに移りたい  
      2位 立地の良いビルに移りたい
   3位  業容人員拡大
      4位 設備グレードの高いビルに移りたい

5位 1フロア面積が大きなビルに移りたい    6位 セキュリティの優れたビルに移りたい    7位 企業スティタスの向上    8位 耐震性の優れたビルに移りたい

 「耐震性の優れたビルに移りたい」の項目は、1年前には上記のごとく8位の位置にあった。
 それが3位になったのである。

 今後は、一層事務所ビルの耐震化が、ビル所有者に要望されることと思われる。

 課題からは外れるが、上の順位を見れば、何処の場所にどういうビルを建てればよいかが分かり、そのヒントが得られよう。

 
  鑑定コラム867)
「企業は東京の何処にオフィスを持ちたいか」


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