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937)月の生活費に占める電気代と割合はどのくらいなのか

 電気料金が上がりそうなので、電気料金が上がる前に、現在の勤労者世帯の月額実収入に占める電気代及び割合を調べて見る。

 平成23年3月11日の東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所の崩壊(以下「東日本大震災等」と呼ぶ)を境にして、日本の経済、社会状況、生活の取り組み方、物の考え方が大きく変わろうとしており、変わってきている。

 東日本大震災等の影響の無い状態の実収入及び電気代、同震災等を被った1年後の実収入及び電気代を比較してみる。

 東日本大震災等の影響のないデータは、平成22年10月〜12月を、影響のあるデータは、平成23年10月〜12月を採用する。

 データは、総務省の家計調査を使用する。

 家計調査の収入10区分で考える。

 データは、下記の通りである。割合及び平均は田原の計算である。


  平成22年10月〜12月     平成23年10月〜12月    
収入区分 実収入a 電気代b 割合b/a 実収入a 電気代b 割合b/a
             
T 225972 4228 1.87% 210767 4127 1.96%
U 306688 4984 1.63% 313010 4792 1.53%
V 363624 5469 1.50% 364570 5951 1.63%
W 417349 6836 1.64% 406278 6902 1.70%
X 461680 7582 1.64% 457442 6751 1.48%
Y 548377 7808 1.42% 501730 7543 1.50%
Z 587742 7981 1.36% 595967 8025 1.35%
[ 695998 8767 1.26% 688628 7960 1.16%
\ 840621 9352 1.11% 798149 8576 1.07%
] 1070339 10417 0.97% 1079991 9431 0.87%
平均 551839 7342 1.44% 541653 7006 1.43%


 上記データから、平成22年と23年の実収入の月額平均は、次の通りである。

   平成22年10月〜12月   月額 551,839円
   平成23年10月〜12月   月額 541,653円(▲10,186円)

 月額平均実収入は、おおよそ区分Y〜Zの間にある。
 その収入は、1年間で約1万円下がっている。
 この事実は重要である。

 収入増の区分層もある。

 その区分層は、

    U区分    313,010円(+6,322円)
    V区分    364,570円(  +946円)
    Z区分    595,967円(+8,225円)
    ]区分   1,079,991円(+9,652円)

の4区分層である。

 前記データから、平成22年と23年の電気代の月額平均は、次の通りである。

   平成22年10月〜12月   月額 7,342円
   平成23年10月〜12月   月額 7,006円(▲336円)

である。

                    336円
                ─────  = 0.0457 ≒ 0.046                   
                  7,342円

4.6%の減である。

 この電気代減の現象は、3月11日の東京電力福島第一原子力発電所の崩壊に伴って、電力供給不足発生が予測されるという東京電力・政府のアナウンスによる国民の節電結果によるものと推定される。

 月額実収入に対する月額電気代の割合は、平均では、

   平成22年10月〜12月   1.44%
   平成23年10月〜12月   1.43%

である。

 1.4%程度が、実収入に対する電気代の割合と言える。

 実収入区分で見ると、収入の少ない区分層の割合は高く、収入の多い区分層では割合は少ない。
 電気代の割合数値は、収入が高くなるに伴い、反比例するごとく低減している。

 平成23年10月〜12月の月額電気代の割合を前記表より抜粋して見れば、下記の通りである。

             区分      電気代割合

T 1.96% U 1.53% V 1.63% W 1.70% X 1.48%
Y 1.50% Z 1.35% [ 1.16% \ 1.07% ] 0.87%

 収入の多い層ほど電気代は多額になる。
 即ち電気を多く使用していることになるが、収入に占める電気代の割合は逆に低くなる。

 このことから言えることは、電気料金の値上げは、収入の少ない層の方により負担感を与えると云うことになる。

 これらのデータから考えられることは、電気料金が値上りすると、実収入が減っていることから、勤労所得者の家庭の多くが電気そのものの使用を少なくしょうとする。

 電気料金を値上げした分相当の電気使用が減ることになる可能性は高い。

 各家庭の電気使用量の削減はそれぞれが少なくても、それが集合することになることから、たかが僅かな電気の削減と小馬鹿にしていると、その結果は無視出来ない存在となる。

 電気使用量の大幅な減少になれば、電力会社の電力収入は電気料金の値上げ前の水準以下にまで落ち込み、収入減と云うことになる。
 それは電力会社の企業経営に大きく影響を与えることになる。

 消費税の値上げについても、そっくり同じことが言えるのでは無かろうかと私は思う。

 読者の不動産鑑定士の方の中には、収入と不動産鑑定とはどういう関係があるのかと思われる人が、中にはおられるかもしれないが、大学の学期末試験問題として、

 @ 不動産価格と収入の関係について論ぜよ。

 A 収入と賃料の関係について論ぜよ。

と云う問題がもし出されていると知ったら、どう判断されることか。

 収入と云っても、国家収入はともかくとして、企業収入、店舗売上収入、土地・建物賃貸収入、勤労者労働収入、そして反社会的収入等いろんな収入がある。

 不動産鑑定士の2次試験、3次試験にも、上記のごとくの設問の論文試験問題が出題されても良かろうと私は思う。
 

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