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1062)TPPは不動産鑑定士資格の有名無実化と

 不動産経済の情報提供会社である不動産経済研究所が発刊している、『日刊不動産経済通信』の2013年(平成25年)3月19日号は、怖いことを伝える。

 ドイツ証券の見解として、TPPの不動産分野に与える影響を伝える。

 このことについては、都市開発研究所代表の不動産鑑定士平澤春樹氏が、メルマガで、記事の内容を詳細に伝えている。

 ドイツ証券は8つの事項について、見解を述べている。

 その中で、不動産鑑定業界に与える影響を1つ述べている。
 下記である。

 「日本独自の資格である不動産鑑定士などの有名無実化」

と。

 TPPは農業問題であろうと多寡をくくっている人々が大半であろうが、TPPを農業問題に矮小して報じるのは、大手新聞マスコミである。大手新聞マスコミの報道を盲目的に信用する日本人の性格を上手く利用している。

 TPPは、関税の自主権の放棄という国家としては大変問題のある条約であり、かつ非関税障壁の撤廃をアメリカはもくろんでいる。

 アメリカ資本の儲けの邪魔になるものは、全て撤廃せよというのが根本思想として流れている。
 江戸末期に日本に来航したペリー提督の思想が、未だに脈々と引き継がれているようである。

 日本的なもの、日本文化、慣習を破壊する可能性が高い条約である。

 性善説の日本人は、性悪説に立つアメリカ人に、上手くしてやられるのではなかろうか。

 ドイツ証券は、現在の日本の不動産鑑定士制度は、実質的に無くなるであろうと云っているのである。

 さあ、不動産鑑定士の方々どうする。

 地価公示だ、路線価だ、固定資産だと、役所べったりの鑑定評価の仕事に目を奪われている間に、自分の職業が無くなるかもしれない状況になろうとしているのである。

 加えて、事例の囲い込みにうつつを抜かしている間に、事例が公開になってしまうかもしれないのである。

 ドイツ証券は、TPPの影響の1つとして、下記のことも云っている。

 「売買価格が全面公開になる」

と。

 日本の不動産鑑定士の中でも、少ないが心ある人々は、10年程前から、

 「日本の現在の不動産鑑定はいずれ行き詰まる」

と考え、新しい方向を見出そうとしていた。

 アメリカの鑑定協会の一つであるASAの日本支部をつくり、その日本会員になって、ASAの鑑定手法を日本に導入しょうと努力した。

 7年程の時間を要したが、アメリカASAの認定不動産鑑定士が日本にやっと出現した。
 現在日本に20名弱いる。

 私もそのうちの一人であるが。

 不動産鑑定のほか、工場の生産機械装置、航空機、船舶、動産、知的財産・特許の鑑定評価に取り組もうとしている。

 しかし、ここに至るまでの間、日本の不動産鑑定士の多くの方々、鑑定協会、国交省の対応は冷たかった。

 或る人は、

 「反主流派の動きだ」

と牽制非難した。

 TPPによって、日本の不動産鑑定士制度が有名無実化されるとなると、有効な資格にするには、アメリカのASA等の資格導入に移らざるを得ないのではなかろうか。

 かって、日本の公認会計士の監査証明が国際的に通用しなかった様に。


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