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1177)商業地価のDI値調査を何故止めるのか

 国土交通省関係の研究機関の一つである一般財団法人土地総合研究所(以下「土地総研」と云う) が、土地価格の動向を示す不動産業業況調査結果、即ち不動産業DI値を発表している。

 そのDI値については、住宅地と商業地について調査発表していた。
 住宅地は四半期ごと、商業地は1月と7月の年2回調査発表していた。

 しかし、商業地についての不動産業DI値が、本来は発表されてしかるべきものであるが、平成26年1月1日時には発表されていない。住宅地の26年1月1日時のDI値は、平成26年2月20日に発表されたが。

 土地総研は、商業地の不動産業DI値の調査を止めてしまったようだ。
 何故止めてしまったのであろうか。

 商業地の不動産業DI値は、有用なDI値であった。
 止めるのは惜しい。

 土地総研の商業地の不動産業DI値は、土地価格変動を的確に反映しており、優れた土地価格判断指標であった。

 それは平成19年の不動産フアンドバブルの崩壊を、確実に予測していた。
 そして、その後の土地価格の低迷及び土地価格の底がいつかも言い当てていた。
 そのことは、下記の土地総研の発表DI値を見ればわかる。下記にそのデータを記す。

    平成19年1月      50.0
        平成19年7月            13.6
        平成20年1月     −40.0
        平成20年7月     −72.2

平成21年1月     −80.0 平成21年7月     −55.0 平成22年1月     −55.0 平成22年7月     − 5.6
平成23年1月     − 5.0 平成23年7月     −16.7 平成24年1月     − 6.3 平成24年7月      0.0
平成25年1月     +27.8 平成25年7月     +33.3

 DI値が0になる時、或いは0を切る時は、地価が天井か底の時である。

 平成19年7月、平成24年7月のDI値を見て欲しい。

 平成19年7月は、不動産ファンドバブルが天井で破裂した時である。
 その後、多くの不動産業者の倒産が生じた。

 平成24年7月は、下落し続けていた商業地の地価は底を打ち、現在のアベノミックスによるリートバブルによる商業地の地価上昇が始まった時である。

 商業地の地価は、住宅地の地価よりも敏感に経済動向を反映する。
 商業地の地価が動き始め、その後に住宅地の地価が動意始める。

 地価変動の動意をキャッチするには、東京都心商業地の土地価格の動意をキャッチする必要がある。

 その判断指標として、土地総研の商業地の不動産業DI値の調査は有力な調査であったのだが。

 その土地価格変動を知るには強い武器であった商業地の不動産業DI値の調査を、国交省は捨て去ってしまった。

 今後どの様にして、商業地の土地価格の的確な動向知識を得ようとするのであろうか。

 商業地の不動産業DI値の調査の取り止めは惜しい。


  鑑定コラム1115)
「地価は値上りしている 土地総研DI値25年7月」

  鑑定コラム507)「不動産業の業況の分水嶺は2007年7月だった」

  鑑定コラム1192)「銀座の土地の動き」

  鑑定コラム1194) 「銀座店舗家賃の底は平成24年の中頃であった」


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