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1393) 名古屋商業地価 45.7%の上昇

 2015年9月17日に、国土交通省及び都道府県は、2015年7月1日時点の基準地価格を発表した。

 アベノミックスによる黒田日銀の超々金融緩和政策による大量のお金が、株式及び不動産に集中的に流れた。それにより東証株価の高騰そして東京都心の商業地の地価高騰を招いていた。

 1年半程前だったか。

 一部のJリート会社の人から、もう東京の物件が高くなり過ぎて買えない。買いを控えている。地方の物件に今目を向けているという話を耳にした。

 それを耳にした時、東京の土地も天井かなと思った。そして地方の土地価格が上がるのか。かってのバブルと同じことをやっていると思った。

 その地価高騰が、東京のみで無く地方圏にも及んでいることを、今回の基準地価格の上昇現象が証明した。

 土地価格上昇率トップの土地は、名古屋駅に近い幹線通りの背後の商業地である。
 上昇率45.7%を示し、日本一の上昇率となった。

 その土地は、名古屋市中村区名駅三丁目26番6(住居表示)の土地で、去年(2014年)はu当り208万円、今年(2015年)はu当り303万円である。

            303万円
                    ──────  = 1.4567 ≒ 1.457                
                        208万円

45.7%のアップである。

 それだけの地価上昇率を記録したのであるから、それなりの理由があるであろう。

 名古屋周辺の市街地再開発事業によって、3つの大きなビル(大名古屋ビルヂング、JPタワー名古屋、JRゲートタワー)の完成が見込まれる事による影響とか、リニア中央新幹線の工事着工の影響と云われている。

 市街地再開発事業は、昨日今日始まった事業では無い。

 去年も一昨年もその先の年も要因は、存在していた。

 リニア中央新幹線の開業は、2027年であり、12年後の話である。

 それらが、今回の地価上昇日本一の形成に、大きく影響しているとは信じがたい。

 地価上昇日本一を記録した基準地の近くには、他の商業地の基準地がある。

 下記である。

  基準地番号         所在             上昇率

   中村5-1    名駅4-6-17     15.3%    中村5-7    名駅4-6-23     18.0%

 周辺基準地の地価上昇は、15%〜18%である。

 名駅3丁目(基準地番号中村5-9)のみ、何故周辺地価の倍を遙かに超えた45.7%の地価上昇になるのか。この基準地は一年前に新規設定されたものではないのか。それがどうして45.7%もの価格上昇するのか。私にはどうもよく分からない。

 国交省が発表した地方の商業地の地価高騰の状況を知れば、アベノミックス、日銀の超々金融緩和の影響がどれ程か、その凄まじさがわかるであろう。

 下記に、基準地価格の上昇率上位10を記す。国交省発表によるものである。
 単位はu当り円。所在は住居表示である。()は昨年の価格である。

 その場所を具体的に知りたい時は、所在地をコピーして、グーグルマップで検索すれば、ゼンリンの地図上に、場所が図示される。

 
  順位            所在                     土地価格      上昇率

 1位 名古屋市中村区名駅3-26-6      3,030,000円   45.7% (2,080,000円)
 2位 名古屋市中村区椿町1-6       3,250,000円   36.0% (2,390,000円)
 3位 大阪市中央区南船場3-5-11      4,150,000円   29.7% (3,200,000円)
 4位 大阪市中央区難波3-4-16       3,120,000円   28.9% (2,420,000円)
 5位 金沢市広岡1-1-18          395,000円   25.4% (315,000円)
 6位 名古屋市中村区椿町13-16      1,000,000円   25.0% (800,000円)
 7位 東京都港区南青山5-1-27       11,600,000円  20.2% (9,65,000円)
 8位 金沢市此花町8-8          282,000円  20.0% (235,000円)
 9位 東京都中央区銀座6-8-3       17,700,000円  19.6% (14,800,000円)
10位 福岡市博多区博多駅前4-2-25     1,550,000円  19.2% (1,300,000円)

 東京は、もっと値上りしているのではなかろうかと私には思われるが、名古屋、大阪、福岡と地方の主要都市の商業地の地価が、東京に負けじと、大巾にアップしている。

 金沢は、北陸新幹線の開通の影響によるものと思われる。

 去年(2014年)の上昇率トップは、金沢の商業地で15.8%であった。
 15.8%の上昇が、トップの上昇率であったのである。

 1年後の今年(2015年)のトップ上昇率は、45.7%である。

 今年の10位の上昇率は、19%以上である。今年の10位ですら、去年のトップ上昇率を超えている。

 1年前のトップ上昇率と比較すれば、地価が異常の状態であることを、はっきりと知る事が出来るであろう。



****追記 27年9月23日  平成26年基準地・商業地価上昇率上位10

 一年前の平成26年7月1日の基準地(商業地)の上昇上位10の地点と、上昇率を記す。国交省発表による。

  順位      所在                            土地価格        上昇率

 1位 金沢市広岡1-1-18          315,000円    15.8%
 2位 川崎市中原区新丸子東2-907-14   816,000円    13.3%
 3位 仙台市宮城野区榴岡1-2-1       864,000円   12.2%
 4位 東京都中央区銀座6-8-3       14,800,000円   12.1%
 5位 東京都港区南青山5-1-27       9,650,000円   11.9%
 6位 大阪市北区大淀南1-10-9        620,000円    11.9%
 7位 大阪市北区同心2-13-4       489,000円   11.9%
 8位 仙台市宮城野区榴岡4-4-13       200,000円   11.1%
 9位 大阪市福島区福島6-20-2       491,000円   11.1%
10位 大阪市阿倍野区昭和町2-1-1    480,000円    10.9%


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