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1427)見附のマックは閉店していた

 2015年(平成27年)12月22日の日本経済新聞のトップ記事は、『日本マクドナルド売却』という衝撃的なものであった。

 このヘッドラインを見た時、

 「藤田田(ふじたでん)が創り、苦労して育てあげたあのマックが身売りされるのか。
 何故だ。
 買う企業はどこなのか。」

と瞬時に思った。

 日経は、米国マクドナルド本社が、株式を50%以上所有している日本マクドナルドホールディングスの株式のうち、33%を限度に売却すると伝え、日本の商社、ファンドと交渉していると記す。

 売却の原因は、日本マクドナルドの大巾な売上高減により、これ以上の日本での成長が見込めないと判断しての売却のようである。

 テレビで、日本のマックに出荷するチキンナゲット製造工場の上海の企業の杜撰で非衛生的映像を見せられては、とてもマックの商品を食べる気がしなくなるであろう。

 床に落ちたペースト状の肉塊を、手で掴み、加工機械に入れる映像や、7ヶ月も保存期限切れし、腐っている肉でチキンナゲットをつくり、日本に送り、日本人はそれを食べていると、テレビ映像で言われては、いくら人の良い日本人でも怒り出す。

 その様なテレビ映像を見せられては、マックの店に人は寄りつかないであろう。当然、マックの売上高が急減する。

 日本マクドナルドホールディングス株式会社の売上高の推移は、下記である。
 同社の有価証券報告書による。

          2010年12月   323,799百万円
          2011年12月   302,339百万円
          2012年12月   294,710百万円
          2013年12月   260,441百万円
          2014年12月   222,319百万円

 ここ5年は一直線に売上高は下落している。

 2014年12月期の売上高は、2010年10月期の売上高に対して、

                    222,319百万円
                 ────────  = 0.687                        
                    323,799百万円

▲31.3%の減少である。

 営業利益の推移は、下記である。( )の数値は売上高に対する割合である。田原の計算による。

          2010年12月   28,135百万円 (8.7%)
          2011年12月   28,182百万円 (9.3%)
          2012年12月   24,780百万円 (8.4%)
          2013年12月   11,524百万円 (4.4%)
          2014年12月   ▲6,714百万円 (▲3.0%)

 売上高が3割減少すれば、企業は苦しく、それが連続すれば倒産すると云われる。

 日本マクドナルドも、現在の売上高が続くようであれば、倒産の道を歩むことになる。企業の緊急の建て直しが要求される。

 米国本社は、企業の建て直しを日本の企業に頼もうと、株式の売却に踏み切ったものと思われるが、前記したテレビ映像で流されたごとくの経営をしていた事が分かってしまっては、それはマックの日本でのビジネスモデルが崩壊したと同じであり、今後の会社経営の難しさは充分予測される。企業の縮小、正規社員の解雇、店舗の閉鎖等が待ち構えている。

 その様な難題を抱えている会社の株式を、売り主の希望する価格で購入する企業はあるであろうか。わざわざリスクのみ背負うという人の良い日本人が、見つかるであろうか。

 株式の売却を行うのであれば、米国のマクドナルド本社が、赤字に陥った日本のマックを黒字に建て直してから、行うべきものではなかろうか。

 日経の記事を見て、しばらく行っていなかった赤坂見附のマクドナルド赤坂見附店はどうなっているであろうかと思い、都心の仕事のついでに、地下鉄赤坂見附駅で下車して同店まで行ってみた。

 赤坂見附駅から100mも無い距離であるが、外堀通りの西側背後一本目の通りに所在するマックの見附店は閉まっていた。

 入り口には、閉店の張り紙がしてあった。

 マックの見附店は、不採算店舗だったのかダウンサイジングの対象の店舗となって閉店していた。

 100円コーヒーを飲みながら、訪問先に打合せに行く時の時間調節をここで良くしていたが、もうそれも出来なくなってしまった。

 閉店張り紙には、21年間ここでマック見附店は営業していたと記してあった。
 
 とすると、私も随分と長く利用していた事になる。

 マックが退去したビルは、入居者を募集しているのでは無いかと思い、ネットの店舗募集広告を捜して見た。

 募集していた。 下記である。

      所在階  1〜2階    
      面積   272.23u(82.35坪) 
      賃料   坪当り36,094円 
      共益費  坪当り4,000円 
      保証金   3000万円

 このビルの上階3階以上は、事務所であり、その募集賃料は坪当り11,800円である。

 事務所ビル賃料に比し、1・2階併合した店舗賃料は、3倍の賃料水準である。
 駅近店舗の階層別効用比のデータとなりそうだ。

 マックは1階、2階そして地階も使用していた。上記募集には地階は含まれていない。
 地階はどうするのであろうか。人ごとながら心配になる。


  鑑定コラム818)
「見附のマクドナルド(ビッグマック為替レート)」

  鑑定コラム1428)「時事通信発 マクドナルド大量閉鎖のニュース」

  鑑定コラム1573)「丸の内仲通りのコーヒー店にて」

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