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1666)鑑定コラム1213にアクセスが殺到

 2017年7月13日、14日の両日に、マイナーな私の鑑定コラムの1つにアクセスが殺到した。

 その鑑定コラムは、鑑定コラム1213)である。2014年6月14日に発表した記事である。約3年前の記事である。

 コラムタイトルは『賃借権明認方法の建物が都心に出現した』で、記事内容は、東京新宿の一等地の商業ビルの壁に「ビル賃借権明認方法」が貼り付けられたというものであった。

 「ビル賃借権明認方法」が取られることは、極めて珍しい方法である。

 恐らく、民法学者が後日のいつか、必ずこの明認方法を論文にして発表するであろう。

 そしてそのコラムには、次の文章が記されている。

 「賃借権の登記が容易に出来る法整備が、今後必要ではなかろうか。
 法律学者、法務省官僚、国会議員は、建物賃借人の賃借権の法的保護を充分考えて欲しい。
 いつまでも明治時代に作られた民事法のままで良いものでは無かろう。」

 建物賃借人が自分の賃借権を守るためには、この「賃借権明認方法」しか取る手段がなかったという日本の民事法の底の浅さを知るべきであろう。

 建物所有者は、建物の保存登記をすれば、自分の権利を護ることが出来る。

 建物賃借人は、法的に自分の権利を護ることが出来ない。

 賃借に際して多額の保証金を積んだとしても、建物所有者が倒産し、建物が競売にかけられた場合は、賃借人の保証金はなくなってしまうというのが、現在の日本の民事法である。

 民法学者を責めても仕方ない。民法学者は、出来上がっている現在の民法をどう解釈するのかという解釈とその判例しか研究していない。

 法律を作ることはないのである。

 法律を作る民法学者の養成が必要であろう。

 地味な内容の鑑定コラム1213)に、何故訪問者が急増したのか。

 それには必ず何か原因があるハズである。

 急増する原因は何なのか。

 ネットに原因を漁った。

 原因の一つであるものが分かった。

 日本経済新聞社が発行している『日経不動産マーケット情報』というものがある。

 『日経不動産マーケット情報』のウエブが、2017年7月13日付で、「【売買】ビックカメラの旧新宿東口店ビルを取得、ヒューリック」のヘッドラインで、下記記事を流していた。

 「ヒューリックは、新宿区新宿3丁目にある店舗ビルを取得した。売り主はレーサムの子会社である新宿セカンドプロパティ特定目的会社だ。」

 『日経不動産マーケット情報』の記事は有料である。

 私はそれの有料会員ではないことから、上記以外の記事内容を知ることが出来ない。

 しかし、ヘッドラインと、2行の記事書き出しで充分である。

 『日経不動産マーケット情報』のヘッドラインを見て、誰かが私の鑑定コラム1213)を捜しだし、コラム記事の下記アドレス、

    
http://www.tahara-kantei.com/column/column1213.html

をツィッター、スマートフォン等にアップしたのであろう。

 それを見た人が、私の鑑定コラムを訪れたものと思われる。
 
 賃借権明認方法のとられていたビルが売買された。

 買主はヒーリックである。

 ヒューリックのホームページを訪れてみた。

 「新宿三丁目開発用地」の取得についてと題して、2017年7月11日付で、ニュースリリースされていた。下記アドレスである。

     http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?template=announcement&sid=36890&code=3003

 取得物件の所在は紀伊国屋書店の西隣のビルの所在である。

 小さく*を付けて次の文言が見られた。

 「*同時に取得した既存建物は直ぐに解体着手致します。」

 この文言より、賃借人の明渡し立ち退きの合意がなされたと解釈できる。

 建物賃借人は、充分な明渡し立退料を得ることが出来たであろうかということが少し心配になった。

 このビルの名前は「新宿オリンピックビル」という。

 名前が示す如く東京オリンピックの年に建てられたビルである。昭和39年である。

 所有者は当初から長く鹿児島の名門企業、そして愛知の企業になり、東京の不動産会社になり、そして今回ヒューリックが取得した。

 ビル一棟の賃借人は、三峰である。

 三峰は、みゆき族が、新宿三峰で、VANジャケットと靴を買い、銀座みゆき通りでたむろするというアイビールックファッションを演出した歴史を持つ企業である。

 土地建物を取得したヒューリックは、鑑定コラム1481)「600億円のホテル売買」で、名前が出て来る不動産会社である。

 京浜急行電鉄の持つ「ホテル グランパシフィック メリデイアン」を買収した会社である。

 土地取引価格がどれ程か不明であるが、買い主が東証一部上場会社であることから、いずれ投資家への情報公開として公開されるであろう。但しこの案件は東京地裁での訴訟案件であったから、和解条項で譲渡価格の公開を禁ずる秘密条項が入っている場合には、譲渡価格の公開はない。

 新宿商業地の一等地である新宿通り沿の土地であることから、甚だ高い金額であることは充分推測できる。

 銀座の坪2億円の価格と共に、リートバブルの一つの歴史事実として記録されると思われる。


  鑑定コラム1213)「賃借権明認方法の建物が都心に出現した」

  鑑定コラム1481)「600億円のホテル売買」

  鑑定コラム1460)「 銀座の土地が坪2億円で取引された」

  鑑定コラム1902)「著書の中の保証金についての著述」
      

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