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1813)小金井カントリー 固定資産税2.1億円 売上高の30%

 ゴルフの情報出版会社である一季出版株式会社が、『平成29年版 ゴルフ場企業決算年鑑(全国95社115コース収録 平成27年4月〜28年3月期決算)』(平成29年1月20日発行)を発行している。

 平成27年4月〜平成28年3月までに決算のあったゴルフ場経営会社95社の貸借対照表、損益計算書を載せた書物である。頒価は2万円である。安くない。

 その中で、東京都小平市にある『小金井ゴルフ株式会社』の財務諸表も掲載されている。

 表題の「小金井カントリー 固定資産税2.1億円 売上高の30%」の記事内容の会社とは、日本一の名門ゴルフ倶楽部と云われる「小金井カントリー倶楽部」を運営する『小金井ゴルフ株式会社』というゴルフ場会社のことである。

 「小金井カントリー倶楽部」は、上場企業の幹部、社員や国家公務員が沿線に多く住むと云われるJR中央線の駅の中の一つである「武藏小金井」駅の北方約1,600mの距離にある。

 同ゴルフ場の南隣接地は、桜の名所である都立小金井公園であり、周辺は多くの上場企業の社宅、戸建住宅が建ち並んでいる。

 太宰治が入水自殺したといわれる玉川上水も南近くに流れている。

 一季出版発行の前掲書によれば、『小金井ゴルフ株式会社』の平成27年12月期の売上高等は、下記である。

      売上高(営業収入)       705,119千円
            営業費用           892,185
            営業損失          ▲187,066
 
 営業費用には、減価償却費75,447千円が計上してある。

 この減価償却費を費用として考えないとしても、

              ▲187,066千円+75,447千円=▲111,619千円

▲111,619千円の赤字決算である。

 営業費用の中に、租税公課として213,936千円が計上してある。

 租税公課は、土地建物の固定資産税、都市計画税である。

 租税公課の大半は、土地の公租公課と思われる。

 売上高に占める公租公課の割合は、

                 213,936千円
                ───────    = 0.303                          
                 705,119千円

30.3%である。

 一季出版の前掲書の95社の売上高に対する公租公課の割合を見ても、30%の公租公課割合のゴルフ場は無い。断トツの高さである。

 ゴルフ場会社で、公租公課が売上高の30%を占めていては、ゴルフ場経営は確実に赤字になり、経営困難になるのが一般的と私には思われるが。

 小金井カントリー倶楽部は、東京都小平市にある。

 小平市の平成30年度の一般会計予算は、

    
      一般財源     39,454,799千円
            特定財源          25,490,201千円
              計              64,945,000千円

649億円である。

 一般財源のうち市税は、307億4100万円である。

 その市税は、市民税、固定資産税・都市計画税、市たばこ税、その他の税で構成されている。

 内訳を記すと、下記である。

    市民税             158億844万円
        固定資産税・都市計画税     139億8836万円
        市たばこ税                        8億1012万円
        その他                            1億3408万円

 市税のうち、固定資産税・都市計画税の占める割合は、

                 139億8836万円
              ─────────  = 0.455                         
                 307億4100万円

45.5%を占める。

 市予算に占める固定資産税・都市計画税の割合は、

                 139億8836万円
              ─────────  = 0.215                         
                 649億4500万円

21.5%を占める。

 市行政にとって不動産から得られる固定資産税・都市計画税は、大きなウエイトを占め、安定市財源であるということが分かろう。

 このことは他の市でもほぼ同じである。

 小金井カントリー倶楽部は、小平市に公租公課として、年間2億1393万円払っている。

 小平市の固定資産税・都市計画税の税収は、139億8836万円である。

 年度が違うが、小金井カントリー倶楽部が小平市に支払っている公租公課は同じとみなして論じることにする。

 小平市の固定資産税・都市計画税の税収のうち、小金井カントリー倶楽部の支払う公租公課の割合は、

                  2億1393万円
                ───────  =0.0153                            
                139億8836万円

1.53%である。

 小金井カントリー倶楽部という一組織で、小平市の固定資産税・都市計画税の1.53%を負担していると云うことは、大変なことである。
 
 いささか負担が大きすぎるのではなかろうか。

 賃貸マンションの売上高に対する公租公課の占める割合は、6.9%(注)である。

  (注)『Evaluation 65』掲載の論文「東京23区賃貸マンションの還元利回り」P31田原著(プログレス 2017年10月30日発行)

 住宅地の不動産にあって、固定資産税・都市計画税を2億1393万円負担する場合、その不動産収入は、

                2億1393万円÷0.069≒31億円

31億円の収入があると云うのが、不動産業の中心業務である賃貸業の健全な経営の考え方であると言える。

 小金井カントリー倶楽部の売上高は、7億511万円である。

 賃貸マンションとゴルフ場とは不動産の類型が異なるという反論が当然あるが、その類型の違いによる税額の負担要因を考慮しても、小金井カントリー倶楽部の公租公課の負担は甚だ大きい。

 そのことについては、後日記したい。


  鑑定コラム1647)
「賃貸マンションの経費率」

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  鑑定コラム1816)「ゴルフ場の売上高に対する租税公課の割合は6.4%」

  鑑定コラム1818)「小金井カントリー倶楽部の固定資産税は高すぎるのでは無かろうか」


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