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1994)首都圏新築マンション分譲不振

 2019年10月2日の日本経済新聞が、『マンションにも「光熱費ゼロ」型』という見出しの記事を載せていた。

 マンションにも省エネ型の「ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH])」のマンションが広がり始めたという記事である。

 そういうタイプのマンションの出現が、令和元年に出て来たというのであろうか。

 その内容の記事を読んでいたところ、記事の中で、「マンション販売が約30年ぶりの不振にあえぐ」と云う文言が目についた。

 「えっ、新築マンションは、今、30年振りの不況なのか?」

と私は驚いた。

 その具体的内容として、分譲マンションのデータ情報会社である不動産経済研究所(東京・新宿区新宿1丁目 社長高橋幸男氏)の発表データを示す。

 記事は、以下のごとく述べる。

 「19年1〜6月の首都圏の発売戸数が、前年同期比13%減の13,436戸だった。価格高騰などを背景に、92年以来の低水準に落ち込んでいる。」

 今年(2019年)の前半の1〜6月の分譲マンションの供給戸数は、1992年の半年の供給戸数に匹敵する迄に落ち込んでいるという。

 1992年の首都圏の分譲新築マンションの供給戸数はどれ程なのかと思い、調べて見た。

 不動産経済研究所が発表している1992年前後の分譲新築マンションの供給戸数を調べた。

 下記である。

       1990年(平成2年)   41,481戸
       1991年(平成3年)   26,422戸
       1992年(平成4年)   26,853戸
       1993年(平成5年)   44,765戸
       1994年(平成6年)   79,897戸

 1992年の首都圏分譲新築マンションの供給戸数は、26,853戸である。

 この半分(半年分)は、2で割れば、
 
                26,853戸÷2=13,427戸

である。

 2019年1〜6月の供給戸数が、13,436戸であるとすれば、1992年の半年の供給戸数とほぼ同じ水準の戸数となる。

 2019年の年間新築マンションの供給戸数は26,000戸台になりそうである。

 最高の供給戸数は、2000年の95,635戸であった。その前後の供給戸数は凄い戸数である。年間9万戸前後の分譲マンションが供給されたと云うことは、売れるから供給したということである。

       1999年(平成7年)   86,297戸
       2000年(平成8年)   95,635戸
       2001年(平成9年)   89,256戸
       2002年(平成10年)   88,516戸

 昨年(2018年)の供給戸数は、37,132戸である。

 直近4年の供給戸数は、下記である。

       2015年(平成27年)   40,449戸
       2016年(平成28年)   35,722戸
       2017年(平成29年)   35,898戸
       2018年(平成30年)   37,132戸

 これらの供給戸数から見れば、2019年予想年間26,000戸台の供給戸数は、不況に突入といえよう。

 新築マンションが売れないから、供給戸数が減ってきたのである。

 それは、不動産価格の11の諸原則の1つである「需要と供給の原則」によって産み出された経済現象である。

 新築分譲マンション業界は、冬の時代に入ったようである。


  鑑定コラム1281)
「不動産業の業況が少しおかしいぞ 3  新築マンション価格」

  鑑定コラム1701)「東京23区新築・中古マンション価格」

  鑑定コラム770)「分譲マンション供給戸数と在庫数(平成19年17,763戸)」


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