東日本大震災は、2011年(平成23年)3月に発生した。その3月の東京の主要ホテルの客室稼働率は49.8%、翌月の4月は40.5%である。通常の月は70%~80%の客室稼働率であるのに、3月、4月は40%台である。これは東日本大震災による影響である。
このごとくホテルに、景気変動、大災害の影響がすぐ現れる。
調査したホテルは、高級ホテルでは無く、私が不動産鑑定評価で出張した時に、よく使う駅近くのビジネスホテルの宿泊料金である。
名古屋、京都、大阪の駅近くのビジネスホテルである。東京のホテルは使ったことはないが、宿泊料金比較するためには必要であり、東京も入れる。
調査日は2020年3月3日で、宿泊日は、15日後の2020年3月18日(水)とし、その日の宿泊料金を調べた。
条件は、ビジネスホテル、朝食付 シングル、禁煙部屋とする。
調査ビジネスホテルは、京都の一部を除き2月27日の宿泊料を調査した同じビジネスホテルとする。(注 京都は新しく2つのホテルが加わったが、料金変動率には加えていない。)
ホテル宿泊料金は、私がいつも使っているホテル予約ネットの「じゃらんnet」(リクルート)に発表されている宿泊料金とする。
調査したホテル宿泊料金の一覧は、最後尾に記すが、平均宿泊料金及び料金変動率をまとめて記すと、次のとおりである。
2月27日 3月18日 変動率
東京 10,498円 9,737円 ▲7.8%
名古屋 7,518円 7,441円 ▲0.16%
京都 7,441円 6,732円(注) ▲9.2%
大阪 7,212円 7,066円 ▲0.8%
(注)新規の2ホテル込みの平均で、それを除いた平均は6,703円である。
期間の差は僅か20日間という短い日数であるが、4都市いずれもビジネスホテル平均宿泊料金は下落している。
この現象は、新型コロナウイルスの日本の感染顕在化と前記の日本政府の対応政策を、ホテル経営者が宿泊需要見込み予測して宿泊料金を決めた結果と推測される。
平均宿泊料は下がっていることから、変動率はいずれも下落であり、一番大きいのは、京都の▲9.2%、次いで東京の▲7.8%である。名古屋、大阪は微弱である。
調査したホテルの中には2月27日時点と比較して料金アップのホテル、料金据え置きのホテルもある。
都市別のホテル料金が下落したホテル数、同料金のホテル数、値上りしているホテル数は下記である。
ホテル数 下落 同じ 上昇
東京 17 13 2 2
名古屋 13 6 4 2
京都 9 6 1 2
大阪 19 8 4 7
東京はアップしたのは2件と少ないが、そのアップ率は27.8%、10.1%と高い率のアップである。下落したホテルが圧倒的に多く、一番大きな率の下落は、▲42.2%である。宿泊料金値下げのビジネスホテルの割合は76%である。
名古屋は料金据え置きが多い。宿泊料金値下げのビジネスホテルの割合は46%である
京都は値上げは2件で、8%前後の値上げである。下落が圧倒的に多いが、▲40%近くの値下げのホテルもある。宿泊料金値下げのビジネスホテルの割合は67%である
大阪は据え置き・値上げの方が、値下げよりも多い。2月に値下げしすぎて採算が合わなくなり、値上げせざるを得ないという事情があるのか。それとも、政府の今回の政策要因は、2月時点で織り込み済みで、先を見込んで料金アップということであろうか。宿泊料金値下げのビジネスホテルの割合は42%である
下記に、調べた各都市の駅近のビジネスホテル宿泊料金・変動率一覧を記す。
東京のビジネスホテルの分析である。