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2072)不動産鑑定は地価公示制度を乗り超えて発展 平澤氏のメルマガより

 元日本不動産鑑定協会(現日本不動産鑑定士協会連合会)の副会長であり株式会社都市開発研究所( 東京新宿区)の代表である不動産鑑定士平澤春樹氏が、氏のメールマガジン【APPRAISAL OPINION】で、『鑑定は地価公示制度を乗り超えて発展すべきではないか』の意見を発表されている。

 平澤氏のメールマガジン【APPRAISAL OPINION】の発信の趣旨は、メールマガジンの冒頭に記してあることから、それを転載する。

 「不動産鑑定界や、周辺分野における情報をスピーディーにお届けすることによって、 今、何が起こっているのかを確認し、今後、中長期的に不動産鑑定界はどの様な方 向にゆくべきかについて、皆で英知を集めて考えていくために鑑定オピニオンメルマガを開設いたしました。

 もとより個人的に収集した情報を個人の責任において発信するものであり、1人 不動産鑑定士として私の意見を発信していきたいと思っています。」

 今回発表された『鑑定は地価公示制度を乗り超えて発展すべきではないか』の記事内容は、2000年6月の清文社から平澤氏と共著で発行した『システム賃料』についての内容であり、私の名前も出ていることもあり、平澤氏の了解を得て、転載することにした。

 システム賃料については、『改訂増補 賃料<地代・家賃>評価の実際』(プログレス)のP150から7頁に渡り説明され、それによるマンション等の賃料の求め方が記されているが、後日、その内容を鑑定コラムで記述したい。

 以下に平澤春樹氏のメールマガジンを氏の承諾を得て転載する。

****


『鑑定は地価公示制度を乗り超えて発展すべきではないか』


 今から20年ほど前に、不動産鑑定士田原拓治氏(桐蔭横浜大学法学部客員教授)と共著で「システム賃料」という本を発刊しました。

 この本のまえがきで次のように記しました。

 中略 「このような状況の中で適正家賃を求める場合、対象不動産にとって同質的で適切な賃貸事例を大量に収集することが難しいうえ、対象不動産の存在する地域について、どの賃貸事例が中庸的な賃料であるかを判断することがきわめて困難です。

 中庸であるか否かは、その地域の全体の賃貸事例を収集し、分析しなければ、判明しないにもかかわらず、私達不動産鑑定士が受託する業務は単発的であるというジレンマがあります。

 多くの場合、調査業務を受託してから賃貸事例を収集することになるので、全域的かつ網羅的な大量の賃貸事例の収集は、ほとんど不可能になるといっても過言ではありません。

 たとえば、不動産鑑定士が適切な事例が収集されたとして、3人の鑑定士が3つの事例を使って評価する場合を設定します。

 不動産鑑定評価基準により、伝統的な賃貸事例比較法を適用するとした場合、@事情補正、A時点修正、B標準化修正、C地域要因、D個別要因の5つの要因項目を、「修正する」「修正しない」(数字の値の違いは考えない。

 修正をする、しないの行為のみを考える)の2行為の組み合わせで考えると、事情補正の要因項目1つで512通りもあります。

 従って、事情補正1要因に限ってみても、試算資料が一致する確率は、1/512となるわけです。

 この他に、地域要因等の他の要因もあり、収集された賃貸事例も別であり、補正率も異なることが、一般的であるので、もし、試算資料が一致するとすれば、それはもはや神業としかいいようがありません。

 かくして賃料を巡る裁判等において、A不動産鑑定士は「収集した事例が少ない」と指摘し、B不動産鑑定士は「採用された賃貸事例が恣意的に高いものばかり(低いものばかり)である」と非難し、C不動産鑑定士は「補正率が誤っている」と反論することになります。

 そして私自身を含めて、法廷では揚げ足取りの泥仕合を演じざるを得なくなっています。

 もし、私達不動産鑑定士が、このような混沌とした状況を解決できないのであれば、不動産鑑定は科学たりえないと考え、数年前から、試行を繰り返してきました。

 解決方法は、事前に大量の賃貸事例を全都的に収集し、あらかじめ、分析するシステムを構築する以外に方法はないので、3年程前から成約した賃貸事例をデータ・ベース化(東京都のみ現在約120,000件)し、これを分析する手法で賃料を求めることにしました。

 このような動機から、私達は、賃貸事例比較法の発展的な展開として、新たに開発した手法を、システマティックに賃料を求める手法であることに着目し、「システム賃料」と命名しました。

 まだ未解決な面も部分的に残ってはいますが、この際、私達の開発した「システム賃料」を公表することによって、大方の批判を受け入れ、さらに精緻なシステムとしてゆくべく、浅学非才をかえりみず発表することにしました。」

 その後約20年間、システマティックに賃料を求めたり、マンション価格を査定することが進んでいないように思われていましたが、ここ数年、マンション価格のスマホによる自動査定システムや賃料の査定システムのサイトが出現しています。標準価格や地価水準を知りたいという程度のことであれば、大量のオープンデータをAIで処理した価格や、指数を発表した方が国民経済にとって合理的ではないかと思います。

 このような視点から現在の地価公示制度をみると、鑑定制度発展を横並び主義の地価公示制度が発展を阻害してきた一面があるのではないかと思います。

 いつでも誰でも同じ答えが出るのであれば、専門職能家として国家資格を付与するまでもないのではないかと思われます。鑑定界は地価公示制度を超えて、更なる発展をすべきと思います。

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 転載終わり。


  書評『システム賃料』
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