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2643) 児玉龍彦東大教授の衆議院委員会発言の国会議事録(2011年7月27日)

 鑑定コラム2642)及び797)で、東大教授の児玉龍彦氏が、2011年(平成23年)7月27日の衆議院厚生労働委員会において、東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の原子炉爆発についての参考人発言について記した。なお鑑定コラム797)は、2011年8月4日発表のコラムである。

 2011年3月15日の福島第一原子力発電所の原子炉の爆発によって発生した放射能総量は、広島原爆の29.6個分に相当する量であるという発言である。

 その発言は、拡散放射能量の実態分析から得られた大変重要な発言であり、貴重なものである。

 発言記録証拠としての重要性もある。国会発言の議事録は、ネットで一般公開されていることから、国会議事録の当該部分を下記に転載する。

https://kokkai.ndl.go.jp/#/detail?minId=117704260X02320110727¤t=1
 (アドレスをドラッグコピーして、自分宛のメールにアドレスをコピー貼り付けして、自分宛にメールを送信して、自分宛に来たメールの中の青字等カラー文字のアドレスをクリックすれば、繋がります。以下同じ)

****


000 会議録情報
(https://kokkai.ndl.go.jp/txt/117704260X02320110727/0)
平成二十三年七月二十七日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 牧  義夫君
   理事 郡  和子君 理事 中根 康浩君
   理事 藤田 一枝君 理事 柚木 道義君
   理事 渡辺  周君 理事 加藤 勝信君
   理事 田村 憲久君 理事 古屋 範子君
      青木  愛君    井戸まさえ君
      石毛えい子君    石森 久嗣君
      磯谷香代子君    稲富 修二君
      大西 健介君    岡本 充功君
      川村秀三郎君    工藤 仁美君
      近藤 和也君    斉藤  進君
      田中美絵子君    竹田 光明君
      玉木 朝子君    玉城デニー君
      長尾  敬君    仁木 博文君
      初鹿 明博君    樋口 俊一君
      平山 泰朗君    福田衣里子君
      三宅 雪子君    宮崎 岳志君
      山口 和之君    山崎 摩耶君
      吉田 統彦君    あべ 俊子君
      鴨下 一郎君    菅原 一秀君
      棚橋 泰文君    松浪 健太君
      松本  純君    吉野 正芳君
      坂口  力君    高橋千鶴子君
      阿部 知子君    柿澤 未途君
    …………………………………
   厚生労働大臣政務官    岡本 充功君
   参考人
   (独立行政法人放射線医学総合研究所理事)
   (薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会委員)       明石 真言君
   参考人
   (日本学術会議副会長)
   (東京大学名誉教授)   唐木 英明君
   参考人
   (長崎大学名誉教授)   長瀧 重信君
   参考人
   (名古屋大学名誉教授)  沢田 昭二君
   参考人
   (東京大学先端科学技術研究センター教授)
   (東京大学アイソトープ総合センター長)      児玉 龍彦君
   参考人
   (京都大学原子炉実験所助教)           今中 哲二君
   厚生労働委員会専門員   佐藤  治君


001 牧義夫
○牧委員長 これより会議を開きます。

 厚生労働関係の基本施策に関する件、特に放射線の健康への影響について調査を進めます。

 本日は、本件調査のため、参考人として、独立行政法人放射線医学総合研究所理事、薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会放射性物質対策部会委員明石真言君、日本学術会議副会長・東京大学名誉教授唐木英明君、長崎大学名誉教授長瀧重信君、名古屋大学名誉教授沢田昭二君、東京大学先端科学技術研究センター教授・東京大学アイソトープ総合センター長児玉龍彦君、京都大学原子炉実験所助教今中哲二君、以上六名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。

 本日は、御多用中にもかかわらず本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 最初に、参考人の方々から御意見をそれぞれ十五分以内でお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、発言する際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑することができないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願いたいと存じます。

 それでは、まず明石参考人にお願いいたします。






009 牧義夫

○牧委員長 ありがとうございました。

 次に、児玉参考人にお願いいたします。

010 児玉龍彦
(https://kokkai.ndl.go.jp/txt/117704260X02320110727/10)

○児玉参考人 私は東京大学アイソトープ総合センター長の児玉ですが、三月十五日に大変に驚愕いたしました。

 私ども東京大学には二十七カ所のアイソトープセンターがあり、放射線の防護とその除染などの責任を負っております。私自身は内科の医者でして、東大病院の放射線施設の除染などにずっと数十年かかわっております。

 それで、三月十五日に、ここの図にちょっとかいてあるんですが、我々、最初にまず、午前九時ごろ、東海村で五マイクロシーベルトという線量を経験しまして、それを第十条通報という、文科省に直ちに通報いたしました。

 その後、東京で〇・五マイクロシーベルトを超える線量が検出されました。

 これは一過性に下がりまして、次に、三月二十一日に東京で雨が降り、〇・二マイクロシーベルト等の線量が降下し、これが今日に至るまで高い線量の原因になっていると思っています。

 それで、このときに枝野官房長官が差し当たり健康に余り問題はないということをおっしゃいましたが、私はそのときに、実際にこれは大変なことになると思いました。

 なぜかというと、現行の放射線の障害防止法というのは、高い線量の放射性物質が少しあるものを処理することを前提にしています。このときは総量は余り問題ではなくて、個々の濃度が問題になります。

 ところが、今回の福島原発の事故というのは、百キロメートル圏で五マイクロシーベルト、二百キロメートル圏で〇・五マイクロシーベルト、さらにそれを超えて足柄から静岡のお茶まで及んでいることは、今日皆さんすべてが御存じのとおりであります。

 我々が放射線障害を見るときには総量を見ます。それでは一体、今回の福島原発の総量がどれくらいであるか、東京電力と政府は、はっきりした報告は全くされておりません。

 そこで、私どもは、アイソトープセンターのいろいろな知識をもとに計算してみますと、まず、熱量からの計算では、広島原爆の二十九・六個分に相当するものが漏出しております。ウラン換算では二十個分のものが漏出していると換算されます。

 さらに恐るべきことには、これまでの知見で、原爆による放射線の残存量と原発から放出されたものの放射線の残存量は、一年たって原爆が千分の一程度に低下するのに対して、原発からの放射性汚染物は十分の一程度にしかならない。つまり、今回の福島原発の問題は、チェルノブイリと同様、原爆数十個分に相当する量と、原爆汚染よりもずっと多量の残存物を放出したということがまず考える前提になります。

 そうしますと、我々、システム生物学というシステム論的に物を見るやり方でやっているんですが、現行の、総量が少ない場合には、ある人に係る濃度だけを見ればいいです。

 しかしながら、総量が非常に膨大になりますと、これは粒子です。粒子の拡散というのは非線形という科学になりまして、我々の流体力学の計算でも最も難しいことになりますが、核燃料というのは、要するに、砂粒みたいなものが合成樹脂みたいなものの中に埋め込まれております。

 これがメルトダウンして放出するとなると、細かい粒子がたくさん放出されるようになります。

 そうしたものが出てまいりますとどういうことが起こるかというのが、今回の稲わらの問題です。

 例えば、岩手の藤原町では、稲わら、五万七千ベクレル・プロキログラム、宮城県の大崎一万七千ベクレル・プロキログラム、南相馬市十万六千ベクレル・プロキログラム、白河市九万七千ベクレル・プロキログラム、茨城六万四千ベクレル・プロキログラムということで、この数値というのは決して同心円状にも行かない、どこでどういうふうに落ちているかは、そのときの天候、それから、その物質が例えば水を吸い上げたかどうか。

 それで、今回の場合も、私、南相馬へ毎週末、七百キロメーター行って、東大のアイソトープセンターは現在まで七回の除染をやっておりますが、南相馬に最初に行ったときには、一台のNaIカウンターしかありません。

 農林省が通達を出したという三月十九日には、食料も水もガソリンも尽きようとして、南相馬市長が痛切な訴えをウエブに流したのは広く知られているところであります。

 そのような事態の中で通達一枚出しても、だれも見ることができないし、だれも知ることができません。

 稲わらがそのような危険な状態にあるということは、全く農家は認識されていない。農家は飼料を外国から買って何十万という負担を負って、さらに、牛にやる水は実際に自分たちと同じ地下水を与えるように、その日から変えています。

 そうすると、我々が見るのは、何をやらなければいけないかというと、まず、汚染地で徹底した測定ができるようにするということを保証しなくてはいけません。

 我々が五月下旬に行ったときに、先ほど申し上げたように、一台しか南相馬になかったというけれども、実際には米軍から二十台の個人線量計が来ていました。

 しかし、その英文の解説書を市役所の教育委員会ではわからなくて、我々が行って教えてあげて、実際に使い出して、初めて二十個の測定報告というのができるようになっている。これが現地の状況です。

 そして、先ほどから食品検査と言われていますが、ゲルマニウムカウンターというのでなしに、今日では、もっとイメージングベースの測定器というのがはるかにたくさん半導体で開発されています。

 なぜ政府は、それを全面的に応用してやろうとして全国につくるためにお金を使わないのか。三カ月たってそのようなことが全く行われていないことに、私は満身の怒りを表明します。

 第二番目です。私の専門は、小渕総理のときから内閣府の抗体医薬品の責任者でして、今日では、最先端研究支援というので三十億円をかけて、抗体医薬品にアイソトープをつけてがんの治療にやる、すなわち、人間の体の中にアイソトープを打ち込むという仕事が私の仕事ですから、内部被曝問題に関して一番必死に研究しております。

 そこで、内部被曝がどのように起きるかという問題を説明させていただきます。

 内部被曝というものの一番大きい問題は、がんです。

 がんがなぜ起こるかというと、DNAの切断を行います。

 ただし、御存じのとおり、DNAというのは二重らせんですから、二重らせんのときには非常に安定的です。

 これが、細胞分裂をするときは、二重らせんが一本になって、二倍になり、四本になります。この過程のところが物すごく危険です。

 そのために、妊婦の胎児、それから幼い子供、成長期の増殖の盛んな細胞に対しては、放射線障害は非常な危険を持ちます。

 さらに、大人においても、増殖の盛んな細胞、例えば、放射性物質を与えると、髪の毛、それから貧血、それから腸管上皮、これらはいずれも増殖、分裂の盛んな細胞でして、そういうところが放射線障害のイロハになります。

 それで、私どもが、内部に与えた場合に具体的に起こるもので知っている事例を挙げます。

 これは、実際には、一つの遺伝子の変異ではがんは起こりません。

 最初の放射線のヒットの起こった後に、もう一個の別の要因でがんの変異が起こるということ、これはドライバーミューテーションとかパッセンジャーミューテーションとか、細かいことになりますが、参考の文献は後ろにつけてありますので、それは後で、チェルノブイリの場合やセシウムの場合を挙げてありますので、それを見ていただきます。

 まず、一番有名なのはアルファ線です。

 プルトニウムを飲んでも大丈夫と言う東大教授がいるというのを聞いて、私はびっくりしましたが、アルファ線は最も危険な物質であります。

 それは、トロトラスト肝障害という格好で、私ども肝臓医はすごくよく知っております。

 要するに、内部被曝というのは、先ほどから一般的に何ミリシーベルトという形で言われていますが、そういうものは全く意味がありません。

 I131は甲状腺に集まります。トロトラストは肝臓に集まります。セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります。

 これらの体内の集積点を見なければ、全身を幾らホール・ボディー・スキャンをやっても全く意味がありません。

 トロトラストの場合の、このちょっと小さい数字なので、大きい方は後で見てほしいんですが、これは、実際にトロトラストというのは造影剤でして、一八九〇年からドイツで用いられ、一九三〇年ごろから日本でも用いられましたが、その後、二十から三十年たつと、肝臓がんが二五%から三〇%に起こるということがわかってまいりました。

 最初のものが出てくるまで二十年というのはなぜかというと、最初に、このトロトラスト、アルファ線核種なんですが、アルファ線は近隣の細胞を傷害します。そのときに、一番やられるのはp53という遺伝子です。

 我々は今、ゲノム科学というもので人の遺伝子を全部配列を知っていますが、一人の人間と別の人間は大体三百万カ所違います。

 ですから、人間を同じとしてやるような処理は、今日では全く意味がありません。いわゆるパーソナライズドメディスンと言われるやり方で、放射線の内部障害を見るときにも、どの遺伝子がやられてどういうふうな変化が起こっているかということを見ることが、原則的な考え方として大事です。

 トロトラストの場合は、第一段階ではp53遺伝子がやられて、それに続く第二、第三の変異が起こるのが二十から三十年かかり、そこで肝臓がんや白血病が起こってくるということが証明されております。

 次に、沃素131、これは、沃素は御存じのとおり甲状腺に集まりますが、甲状腺への集積は成長期の甲状腺形成期が最も特徴的であり、小児に起こります。しかしながら、一九九一年に、最初、ウクライナの学者が甲状腺がんが多発しているというときに、日本やアメリカの研究者は、ネイチャーに、これは因果関係がわからないということを投稿しております。

 なぜそう言ったかというと、一九八六年以前のデータがないから統計学的に有意だということを言えないということです。

 しかし、統計学的に有意ということがわかったのは、先ほども長瀧先生からお話がありましたが、二十年後です。

 二十年後に何がわかったかというと、八六年から起こったピークが消えたために、これは過去のデータがなくても因果関係があるということがエビデンスになった。

 ですから、いわゆる疫学的な証明というのは非常に難しくて、全部の事例が終わるまで大体証明できないです。ですから、今我々に求められている子供を守るという観点からは、全く違った方法が求められます。

 そこで、今行われているのは、ここには、国立のバイオアッセイ研究センターという、化学物質の効果を見る福島昭治先生という方が、ずっとチェルノブイリの尿路系に集まるものを検討されています。

 福島先生たちがウクライナの医師と集めて、五百例以上の、前立腺肥大のときに手術をしますと、膀胱もとれてきます。これを見まして検討したところ、高濃度汚染地区、尿中に六ベクレル・パー・リッターという、微量ですが、その地域ではp53の変異が非常にふえていて、しかも、増殖性の前がん状態、我々から見ますとp38というMAPキナーゼとそれからNFkBというシグナルが活性化されているんですが、それによる増殖性の膀胱炎というのが必発でありまして、かなりの率に上皮内のがんができているということが報告されております。

 それで、この量に愕然といたしましたのは、福島の母親の母乳から、二から十三ベクレル、七名で検出されているということが既に報告されていることであります。

 次のページをお願いします。

 我々アイソトープ総合センターでは、現在まで毎週、七百キロメーター、大体一回四人ずつの所員を派遣しまして、南相馬市の除染に協力しております。

 南相馬でも起こっていることは全くそうでして、二十キロ-三十キロという分け方が全然意味がなくて、幼稚園ごとに細かくはかっていかないと全然だめです。

 それで、現在、二十キロから三十キロ圏にバスを立てて千七百人の子供が行っていますが、実際には、南相馬で中心地区は海側で、学校の七割は比較的線量が低いです。

 ところが、三十キロ以遠の飯舘村へ近い方の学校にスクールバスで毎日百万円かけて子供が強制的に移動させられています。このような事態は一刻も早くやめさせてください。

 今、その一番の障害になっているのは、強制避難でないと補償しない、参議院のこの前の委員会で、当時の東電の清水社長と海江田経済産業大臣がそういう答弁を行っておりますが、これは分けてください。

 補償問題と、線引きの問題と、子供の問題は直ちに分けてください。子供を守るために全力を尽くすことをぜひお願いします。

 それからもう一つは、現地でやっていますと、除染というものの緊急避難的除染と恒久的除染をはっきり分けて考えていただきたい。

 緊急避難的除染を我々もかなりやっております。例えば、ここの図表に出ております滑り台の下、滑り台の下はちっちゃい子が手をつくところですが、この滑り台に雨水がざあっと流れてきますと毎回濃縮します。右側と左側とずれがあって、片側に集まっていますと、平均線量一マイクロのところだと十マイクロ以上の線量が出てきます。それで、こういうところの除染は緊急にどんどんやらなくてはいけません。

 それから、こういうさまざまなコケが生えているような雨どいの下、これも実際に子供が手をついたりしているところなんですが、そういうところは、例えば高圧洗浄機を持っていってコケを払うと、二マイクロシーベルトが〇・五マイクロシーベルトまでなります。

 だけれども、〇・五マイクロシーベルト以下にするのは非常に難しいです。

 それは、建物すべて、樹木すべて、地域すべてが汚染されていますと、空間線量として、一カ所だけを洗っても全体をやることは非常に難しいです。

 ですから、除染を本当にやるというときに、一体どれくらいの問題があり、どれくらいのコストがかかるかということを、イタイイタイ病の一例を挙げますと、カドミウム汚染地域、大体三千ヘクタールなんですが、そのうち千五百ヘクタールまで、現在、除染の国費が八千億円投入されています。

 もしこの千倍ということになれば、一体どれほどの国費の投入が必要になるのか。

 ですから、私は四つのことを緊急に提案したいと思います。

 第一番目に、国策として食品、土壌、水を、日本が持っている最新鋭のイメージングや何かを用いた機器を用いて、半導体のイメージ化は簡単です、イメージ化して、流れ作業にして、シャットしていってやるということでの最新鋭の機器を投入して、抜本的に改善してください。これは今の日本の科学技術力で全く可能です。

 二番目。緊急に、子供の被曝を減少させるために新しい法律を制定してください。

 私の現在やっているのは、すべて法律違反です。現在の障害防止法では、各施設で扱える放射線量、核種などは決められています。東大の二十七のいろいろなセンターを動員して、現在南相馬の支援を行っていますが、多くの施設はセシウムの使用権限や何かは得ておりません。車で運搬するのも違反です。

 しかしながら、お母さんや先生たちに高線量のものを渡してくるわけにはいきませんから、今の東大の除染では、すべてのものをドラム缶に詰めて東京へ持って帰ってきております。受け入れも法律違反、すべて法律違反です。

 このような状態を放置しているのは国会の責任であります。

 全国には、例えば国立大学のアイソトープセンターというのは、ゲルマニウムを初め最新鋭の機器を持っているところはたくさんあります。そういうところが手足を縛られたままで、どうやって国民の総力を挙げて子供が守れるでしょうか。これは国会の完全なる怠慢であります。

 第三番目。国策として、土壌汚染を除染する技術を、民間の力を結集してください。

 これは、例えば、東レだとかクリタだとかさまざまな化学メーカー、千代田テクノルだとかアトックスというような放射線除去メーカー、それから竹中工務店や何かさまざまなところは、放射線の除染などに対してさまざまなノウハウを持っています。

 こういうものを結集して現地に直ちに除染研究センターをつくって、実際に何十兆円という国費がかかるのを、今だと利権絡みの公共事業になりかねない危惧を私はすごく持っております。国の財政事情を考えたら、そんな余裕は一瞬もありません。

 どうやって除染を本当にやるか。七万人の人が自宅を離れてさまよっているときに、国会は一体何をやっているのですか。
 以上です。(拍手)





021 児玉龍彦
(https://kokkai.ndl.go.jp/txt/117704260X02320110727/21 )

○児玉参考人 放射線が人間の遺伝子を傷害します。そのときに、人間には二万五千の遺伝子がありますが、一定の数のDNA修復に関係する遺伝子、DNAの保護にかかわる遺伝子というのがあります。

 それで、普通は、これがやられないと低線量のものは大体問題なく修復されるということがわかっています。

 だけれども、先ほどは、例えばアルファ線でやられているp53だとか、それから、我々、最近、がんゲノムシークエンスというので、肝臓がんやさまざまなものを、遺伝子配列全体を決定して、いわゆるドライバーミューテーションという、最初にがんをつくっていく方向に起こってしまう変異が何で起こるかというのを研究しておりますと、例えばp53のような、最初の、DNAを守っていったり、そういうところにかかわる遺伝子を壊すとがんになるということがわかっています。

 そうしますと、実際には、二万五千の遺伝子の中でどこがやられるかということは、極めて確率論的になってきます。

 ですから、一般にわかるのは、統計学的に、非常にたくさんの人を集めて、例えば、チェルノブイリのときの甲状腺のように、最初は、多分長瀧先生の方が御存じだと思いますが、笹川財団で調べたときに、五万人ぐらいまで調べたときに、有意な差がないと言われたんです。

 ところが、それが今になっては、コンセンサスとして、六千人の甲状腺がんと十五人の死亡例が生まれているというふうに変わってきています。

 私、もともとこういう問題に興味を持ちましたのは、自分はコレステロールの方が専門でして、コレステロールの薬をつくるときにもたくさんの論争がありました。

 それで、私は医学者として今一番感じておりますのは、このどこの線量が安全かという議論と国の政治的なかかわり方を分けていただいて、国は、要するにコレステロール論争のときに一番大事だったのは、コレステロールを下げる薬をやって心筋梗塞が減るかどうかという問題でした。

 それで、きょうの厚生委員会でも考えていただきたいのは、学問論争に対して厚生委員会で結論を出したり考える必要は、私はないと思っています。

 国民の健康を守るためにどういうことができるかというときに、まず、セシウム137というのは、自然界には一九四五年以前に存在していないものです。原発と原爆で生まれて、それが一九六〇年代の初めに水爆実験によってピークになったものであります。

 そのときに、猿橋勝子さんという女性研究者が、海水のセシウム濃度が百倍になっているということを微量線量計で確認して、これでアメリカへ行って、公開実験というのをフォルサム博士とやって、これが大気圏内の核実験禁止の大きな学問的根拠になりました。

 その後、セシウムはずっと減ってきていたのが、またそれをはるかに倍する量に今上がろうとしているときであります。

 そうしますと、その線量議論の問題を言うよりも、元来自然界にないセシウム137というのが膨大にまかれて、ガンマカウンターで簡単にわかるような量に散らばっている。しかも、それが広島原爆の二十倍の量まかれているという事態に対して、国土を守る立場から、ぜひ積極的な対応をお願いしたいというのが基本的なお願いです。

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  鑑定コラム2642)
「東京新宿の放射線量は0.0356マイクロシーベルトになっている 2023年9月」

  鑑定コラム797)「0.06台マイクロシーベルトをなかなか割らない」

  鑑定コラム748)「2011年3月15日の現地立合」


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