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2644) 不動産業の倒産が急増。直前1年間の集計では不動産業倒産の最低は2022年5月の193件で、2023年8月は274件。

 2022年2月12日発表の鑑定コラム2359)「令和4年の不動産業の倒産件数は302件 果たして」というコラム記事を書いた。

 そのコラム記事を書いた理由は、「いつも結果論ばかりの記事を書いていては、発展性も無く、面白く無い。たまには予測の記事も良い。」と記し、続けて「予測の記事を書いて大きく外れて面目を失うこともあってよいでは無かろうかと思い、今年(令和4年)一年間の不動産業の倒産件数を予測してみる。」と述べて、2022年(令和4年)の倒産件数を302件と予測した。

 1年後の帝国データバンクの2022年1年間の不動産業の倒産件数は229件であり、私の予測は見事に大外れとなった。

 その時の倒産予測の算出の考え方は、1月の倒産件数が多ければ、その年の倒産件数は多いであろう。少なければ少ないであろうと推測し、当該年の1月の倒産件数から、その当該年の倒産件数を推定出来るのでは無かろうかと考えた。

 倒産件数の指標が無いから、その年の最初の月の倒産件数で1年間の倒産件数を予測するという考え方も1つの目のつけどころとして合理性はあると私は判断した。

 その判断から、帝国データバンクが発表している過去の『全国企業倒産集計』より、手許にある資料から、2000年以降の1月の不動産業の倒産件数とその当該年の不動産業の倒産件数を調べて見て、両者の関係式を求め、2022年1月の倒産件数25件であったから、2022年1年間の倒産件数を302件と求めたが、実際は229件であり、大外れの予測であったということである。

 わかったことは、1月の倒産件数は、当該1年間の倒産件数を暗示しているものでは無いということである。

 とはいえ1月の倒産件数は、その年の倒産件数の一部であるから無視することは出来ない。

 予測を大きく間違えたのは、12ヶ月経過した1年間の数値を採用したことでは無かろうかと思われ、直前1年間(当該月を含めて数えた直前12ヶ月、以下同じ)の数値のデータによる分析という異なった見方によれば、倒産件数の最低の時期が推定出来、倒産件数がどういう動きをしているのか、よりわかるのでは無かろうかと考えた。

 直前1年間の倒産件数で不動産業の倒産件数を分析する。

 帝国データバンクの発表する不動産業の各月倒産件数から、2021年からの直前1年間の不動産倒産件数を求めると下記である。


年月 各月倒産件数 直前1年倒産件数
2020年1月 18  
2020年2月 15  
2020年3月 19  
2020年4月 16  
2020年5月 5  
2020年6月 35  
2020年7月 24  
2020年8月 25  
2020年9月 18  
2020年10月 20  
2020年11月 17  
2020年12月 19 231
2021年1月 20 233
2021年2月 17 235
2021年3月 33 249
2021年4月 18 251
2021年5月 29 275
2021年6月 20 260
2021年7月 14 250
2021年8月 11 236
2021年9月 17 235
2021年10月 20 235
2021年11月 14 232
2021年12月 12 225
2022年1月 25 230
2022年2月 14 227
2022年3月 15 209
2022年4月 16 207
2022年5月 15 193
2022年6月 25 198
2022年7月 18 202
2022年8月 22 213
2022年9月 17 213
2022年10月 17 210
2022年11月 21 217
2022年12月 24 229
2023年1月 21 225
2023年2月 33 244
2023年3月 30 259
2023年4月 19 262
2023年5月 21 268
2023年6月 21 264
2023年7月 23 269
2023年8月 27 274


 上記データをグラフ化したのが、下図である。



不動産業倒産件数 2023年8月



 黒田日銀の超超金融緩和政策をフルに享受し、好景気を続け、倒産件数が減り続けていた不動産業界は、2022年5月の年間193件を底として状況が変わって来た。

 倒産件数がうなぎ登りに増えてきた。2023年8月には274件になった。

 2022年5月の倒産件数に比し、+42%である。

 直前1年間による倒産件数分析によって、暦年1年間或いは年度1年間の倒産件数ではわからなかった倒産件数減少の底が、いつであったのかはっきりと分かった。その年間倒産件数もはっきりとわかった。


  鑑定コラム2359)「令和4年の不動産業の倒産件数は302件 果たして」

  鑑定コラム2540)「2022年の不動産業の倒産件数は229件」

  鑑定コラム2662)「不動産業の倒産が急増している。2023年10月直前1年間の倒産は291件。2022年5月は193件であった。」


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