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373)越後湯沢のリゾートマンション価格は新築時の12%(2007年夏)

 東京駅発の上越新幹線で、越後湯沢駅のプラットホームに降りた。
 旅行鞄を抱えた多くの人々が、一緒に下車した。

 越後湯沢駅は随分と多くの人々が降りる大きな町だなあと思いつつ、階段を下り改札口に向かった。
 改札口の外に出た人は、先にいたかもしれないが、私が改札口を出る時点においては私一人であった。

 私の歩く足が遅いのであろうかと思いながらも、改札口を出る人の少なさに疑問を感じて後ろを振り返ると、旅行カバンを抱えた多くの人々は、右の方向に急ぎ足で進んでいく。

 その右方向の壁には、「ほくほく線」という文字と方向が書かれていた。

 越後湯沢駅に降りた人の大半は、ほくほく線に乗り換えて、富山・金沢の方向に向かう人々で、湯沢町を訪れる人々では無かった。

 越後湯沢駅の新幹線口の駅前広場には、人はいなく閑散としていた。
 客待ちの空タクシーが、いつ乗る人が現れるのかじっと待っていた。

 これが、夏の湯沢町の状態なのかと知った。

 新幹線のトンネルを出て、目に入る越後湯沢の風景は異様である。
 20階を超える白っぽいリゾートマンションが林立する。
 中には32階建ての建物もある。

 両側を急峻な山に囲まれた狭い盆地に、そして盆地に入りきらず山裾までにも高さ60メートル前後のマンションが無秩序に無数に建っている。
 その姿は、写真で見るアメリカの西部の荒野に大きく育つサボテンの群生のごとくである。

 2007年8月、夏の真っ盛りに越後湯沢に来た。避暑の休暇で来たのではない。
 リゾートマンションの一室の価格評価に来たのである。
 評価するリゾートマンションの一室も、そうした林立する建物の中の一つにあった。

 管理人に身分を明かし、来訪の目的を説明し、マンションの管理状態等を聞いた。町の景気の状況も聞いた。

 町役場、不動産業者等の聞き込みの調査、売買事例等を見て回った。

 越後湯沢のリゾートマンションの価格下落は甚だしかった。

 平成2年のバブル時の越後湯沢のリゾートマンションの価格は、坪当り200万円程度であった。

 それは、リクルート発行の『週刊住宅情報(首都圏版)』平成2年8月15日・22日号p236掲載の越後湯沢の、平成2〜3年新築のリゾートマンションの売広告を見れば分かる。

 同頁に下記の売物件広告が掲載されている。

 A 湯沢駅徒歩10分
      2170万円〜6716万円
      坪当り231万円〜242万円 (中間値)237万円

 B 湯沢駅車5分
      2422万円〜4023万円
      坪当り190万円〜224万円 (中間値)207万円

 C 岩原
      1490万円〜2278万円
      坪当り124万円〜141万円 (中間値)133万円

 D 苗場
      1460万円〜5202万円
      坪当り162万円〜191万円 (中間値)177万円

 E 苗場
      1819万円〜5077万円
      坪当り160万円〜193万円 (中間値)177万円

 (注) 中間値は、低値と高値の平均値で、著者の計算によるものである。

 A・Bのデータは湯沢駅勢圏にある。
 A・Bのデータの中間値の平均値は、
      (237万円+207万円)÷2≒222万円
坪当り222万円である。

 D・Eのデータは苗場にある。
 D・Eのデータの中間値の平均値は、
      (177万円+177万円)÷2=177万円
坪当り177万円である。

 平成2年の上記価格が、現在では如何ほどであろうか。
 前記A・B・C・D・Eの各リゾートマンションの中で、売り出されている売物件を調べると下記のごとくである。

     A    坪当り  24.8万円
     B    坪当り  26.2万円
     C    坪当り  10.7万円
     D    坪当り  10.2万円
     E    坪当り  10.8万円

 A・Bの現在の売価格の平均は、
       (24.8万円+26.2万円)/2≒25.5万円
坪当り25.5万円である。

 D・Eの現在の売価格の平均は、
       (10.2万円+10.8万円)/2≒10.5万円
坪当り10.5万円である。

 平成2年の価格からの価格変動は、
   A・Bが  25.5万円÷222万円=0.115    
      D・Eが  10.5万円÷177万円=0.06
である。

 越後湯沢のリゾートマンション価格は、湯沢地区が平成2・3年の新築当初価格の12%、苗場は6%の価格になってしまったと言うことになる。

 具体的には、専有面積40平方メートルのリゾートマンションで考えると、湯沢駅に近いリゾートマンションは、
      25.5万円×40÷3.30578≒310万円
という金額になる。

 湯沢駅よりおよそ25km程度離れている苗場のリゾートマンションは、
      10.5万円×40÷3.30578≒130万円
の価格になる。

 これは売価格である。同じ様な売物件は200件以上あり、実際の売買成立となると金額は下がろう。20%ダウンとすると、
    A・Bは    310万円×0.8≒250万円
    D・Eは    130万円×0.8≒100万円
という金額になる。

 バブル経済崩壊後の越後湯沢のリゾートマンションの価格下落は凄まじい状態を通り越して、悲惨な状態である。

 これはバブル経済崩壊という要因も大きく影響しているが、これに追い打ちを掛けているのが、スキー観光客の大幅な減少である。

 新潟県観光振興課発表による新潟県内のスキー観光客数を記すと、下記の通りである。

  昭和58年     871万人
  昭和59年     859万人
  昭和60年     1043万人
  昭和61年     1015万人
  昭和62年     1061万人
  昭和63年     1085万人
  平成元年     1229万人
    平成02年         1445万人
    平成03年         1579万人
    平成04年         1597万人
    平成05年         1491万人
    平成06年         1391万人
    平成07年         1395万人
    平成08年         1227万人
    平成09年         1097万人
    平成10年         1072万人
    平成11年         1033万人
    平成12年          939万人
    平成13年          918万人
    平成14年          869万人
    平成15年          776万人
    平成16年          620万人
    平成17年          594万人

 スキー観光客のピークは、平成4年の約1600万人である。それだけの観光客があったにもかかわらず、平成17年には約600万人にまで減少してしまった。
 減少は留まることなく減り続けている。どこまで新潟県のスキー観光客は減り続けるのであろうか。

 湯沢のリゾートマンションが、湯沢地区で250万円、苗場地区で100万円の価格であれば、現在その価格で確実に売りさばけるかというと、その保証は全く無い。

 それは、更に悪いことにリゾートマンション所有者の個人破産、企業倒産による換金売りが止めどめ無く発生し、安い価格の物件が投げ売りのごとく出てくる現実があるためである。

 東京都心の土地価格は、平成2年のバブル時と同じ道を歩んでいるが、同じ平成2年のバブル時に価格高騰を引き起こした越後湯沢のリゾートマンションは、東京都心の地価とは全く反対の状況にある。

 固定資産税の未納、滞納が生じているものと充分予測される。
 加えて、すでに発生しているかどうか私は知らないが、固定資産課税評価額の高額さによって、時価を超えた固定資産評価額の課税の不法性ということによる納税者側からの行政訴訟が発生することも充分ありうる。

 荒野のサボテンのごとくの姿を残す供給過剰の越後湯沢のリゾートマンションは、これからどういう道を歩むであろうか。
    

 湯沢温泉のリゾートマンションについての鑑定コラムに、下記のものがあります。

 鑑定コラム43)熱海・湯沢のリゾートマンション
 

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