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380)国内で森林を所有する民間企業ベスト4

 二酸化炭素の排出権について、今迄少し述べた。
 日本の荒廃した山林を救う道は、山林の二酸化炭素の排出権売買による企業による金の導入という新しい発想によるしか方法がない。
 では、日本の企業で国内でもっとも多く山林を所有している民間企業はどこであろうか。

 三井物産のホームページに、下記のごとく森林所有企業と面積が発表されている。

 転載すると、

    1位   王子製紙    18.3万ha
    2位   日本製紙    8.2万ha
    3位   三井物産    4.4万ha
    4位   住友林業    4.0万ha
である。調査時点は2005年5月であり、やや古い。

 王子製紙のホームページで所有山林面積を確かめると、王子製紙の所有山林面積は19万haとなっている。
 日本製紙のホームページをみると、日本製紙の所有山林面積は約9万haとなっている。
 住友林業のホームページをみると、住友林業の所有山林面積は4.0万haとなっている。
 三井物産のホームページの発表数値は、ほぼ正確な数値と言えるであろう。
 森林所有面積の1,2位が製紙メーカーであることは、製紙の原材料の樹木の育成のために、山林を所有しているのであろうと容易く推定出来る。

 4位の住友林業は住宅メーカーであり、自前の木材を確保するために山林を所有していると考えれば、山林所有していることに合点はゆく。
 
 三井物産が4.4万haの山林を所有しているという事実を知ると、それは何故だろうという疑問が湧いてくる。

 三井物産は、「三井物産の森」として北海道から熊本まで日本の73個所に4.4万ha の山林を所有し、育成していると同社のホームページは述べる。

 以前大分前になるが、同社のホームページを見たときには、確か二酸化炭素の吸収量については記載していなかったと記憶している。だが、現在のホームページには「三井物産の森」の二酸化炭素の吸収量は、年間18万トンと明記されている。

 数年前には記載されていなかった所有山林の二酸化炭素の吸収量を、はっきりと明記するようになったことは、時代の流れを意識しだしたと判断出来る。

 三井物産が認識する山林1ha当りの二酸化炭素の吸収量は、
       180,000トン÷44,000ha=4.09≒4.1トン
4.1トンである。

 一方王子製紙は、19万haの山林で年間の二酸化炭素の吸収量は115.5トンという。1ha当りの吸収量は、
       115.5÷19=6.0トン
である。

 三井物産の吸収量と王子製紙の吸収量とで随分と数値の開きがあるが、これは樹木の成長率等の要因等を見込むか否かの計算式が異なるためと思われる。

 三井物産が何故「三井物産の森」として4.4万haの山林を所有するのか、その所有の理由は私には分からない。
 しかし、三井物産によって4.4万haの山林の育成管理に手が入り、良好な山林が維持されることは喜ばしいことである。

 王子製紙は所有山林の育成管理の為に、年間5億円の費用をかけていると言う。

 三井物産は商事会社である。
 では他の日本を代表する商事会社は、山林を所有しているであろうか。

 三井物産以外の日本を代表する商事会社のホームページで所有山林を検索したが、山林を所有する商事会社は無かった。

 山林を所有する商事会社が無いことを知ると、三井物産の企業精神というものがひときわ輝いて見えてくる。

 民間企業所有の山林の面積のベスト4は分かった。
 では、日本の山林の面積はいかほどか。

 林野庁の林業白書等で発表している資料によれば、日本の森林総面積は、国有林、公有林、民有林全てを含めて25,121千haである。
 2512万1000ヘクタールである。

 このうち林野庁所管の森林は7,838千haである。
 林野庁所管の森林は管理された山林と考えられることから、京都議定書による二酸化炭素排出権の対象となる山林である。

 山林の二酸化炭素吸収量を1ha当り3.4トンとする。(三井物産、王子製紙の計算する吸収量と較べると少ない)

 二酸化炭素吸収量は、反対の面から見れば、二酸化炭素排出権となる。

 二酸化炭素排出権を1トン当り1000円として、林野庁の管理する山林の排出権の価格を求める。

       3.4トン×7,838,000ha=26,649,200トン≒2665万トン
       1000円×2665万トン=2665000万円≒267億円

 林野庁の森林は、年間267億円の二酸化炭素排出権の価値を生み出すのである。

 林野庁は、この権利を二酸化炭素排出権の市場で売却し、得られる金額で森林整備に何故利用しょうとしないのであろうか。

 毎年267億円の金額が入って来れば、森林の整備も行き渡るであろう。国の税金負担も少なくて済むことになる。

 林野庁は所有山林には、災害防災、水源涵養等で68兆円の価値があると、平成18年の林業白書で述べている。
 価値があるとペーパーで述べているだけでは仕方無かろう。
 所有森林の排出権を売却して、森林の価値を現実化しなければ、それは絵に描いた餅にしか過ぎない。

 同じことは民間の森林組合にも言える。
 森林組合も管理受託している山林の二酸化炭素排出権を売却して、その金で山林の整備育成をすれば、荒廃している現在の日本の山林は必ずよみがえってくる。

 日本に現在二酸化炭素排出権を売買する取引市場が無い。作ろうとしているが未だできていない。ロンドンの取引市場で商社等が売買取引している。

 どうして日本で二酸化炭素排出権の取引市場を開設しないのか。

 市場開設を阻害している法律、役所の反対或いは生産メーカーの反対があるのであろうか。

 阻害するものがあろうとも、二酸化炭素排出権の取引市場は必要である。
 銀行、証券会社、商社、メーカー等が力を合わせて東京マーケットを作るべきであろう。

 現実に日本の企業は、海外で二酸化炭素の排出権を買っている。
 三菱重工業株式会社は、中国の電力会社から風力発電プロジェクトによるクリーン開発メカニズム活用で、2008年〜20012年の5年間に約33万トンの排出権の購入契約を行った。(2007年10月2日 三菱重工業株式会社ホームページプレスリリース)

 松下電器産業も3年間で二酸化炭素を30万トン減らす経営方針を打ち出した。(2007年10月5日 松下電器産業ホームページプレスリリース)

 取引市場を作ると称して、ああでもない、こうでもないとガタガタ能書きをぐだぐた述べているので無く、二酸化炭素排出権の自由な市場取引が出来る東京マーケットを早急に作るべきである。


 二酸化炭素の排出権・山林価格等については、下記の鑑定コラムにもあります。

 鑑定コラム53)  「オオカタ保護と山林価格」
 鑑定コラム98) 「里山価格」
 鑑定コラム122)「岐阜県の林地価格」
 鑑定コラム170)「大王製紙の物流センター建設」
 鑑定コラム229)「軽井沢の別荘地」
 鑑定コラム376)「北海道の未確認の2つの噂」



  鑑定コラム819)「三井物産の森が二酸化炭素排出権売買に」


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