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395)これがアメリカのトップ銀行の現在の最先端の金融仕組みか

 2007年12月15日の日本経済新聞は、ニューヨーク特派員発田真人の記事として、アメリカの大手銀行のシティグループ、バンク・オブ・アメリカ、JPモルガン・チェースの3行が、サブプライムローンの焦げ付き対策として行おうとしている金融仕組みを報じる。

 上記3つの銀行は、資本主義の総本山のアメリカの、その総本山の中心を担う銀行の中で、トップ及びビッグ5に数えられる銀行である。

 サブプライムローンの焦げ付きによる底無しの金融不安に対して、このアメリカの大銀行のとろうとする金融仕組みは、総額500億ドル(約5兆6千億円)のサブプライムローン破綻対策共同基金を設立しようとするものである。

 アメリカの上記3行が、100億ドルづつ提出し、150億ドルを日本の三菱UFJフィナンシャルグループ、三井住友銀行、みずほコーポレート銀行に基金提供を要請するものである。

 上記6行では450億ドルであり、50億ドルが足らないのであるが、それは欧州の銀行が提供するということか。

 アメリカの上記ビッグ3行は、500億ドルの基金で、サブプライムローンの焦げ付きによって資金繰りに困っている銀行或いは別組織体として傘下に抱えるストラクチャード・インベストメント・ビークル(SIV)の運用会社から、格付けの高い住宅ローン担保証券を買い取ることで資金援助する。その資金援助するために基金を設立しょうとするのである。

 基金は、買い取った住宅ローン担保証券を、今度は自らが、それを担保にしてコマーシャルペーパー(CP)を発行する。そうして資金調達するというのである。 これが上記アメリカのビッグ3行の考えている金融仕組みである。

 その金融仕組みに、日本の前記大手3銀行に各行50億ドルを出させて、サブプライムローンの焦げ付き破綻拡大を止めようとしている。

 格付けの高いローン証券を買い取って、その買い取ったローン証券を担保にして、自らが新しいCPを発行して資金回収しょうとする考え方である。

 これが現在の世界の金融業界のトップ銀行首脳が考える金融錬金術である。金融業者は、金で金を生み出そうとする発想しかない。
 この金融仕組みにアメリカの財務省も絡んでいるようである。

 銀行・金融機関は、金融工学という新しい手法・考え方を取り入れて、次々と金融派生商品を作り出してきた。
 それはリスク分散を一つの理由とし、リスクを充分考えたものであると主張していた。

 しかし、リスク分散、リスクを充分考えているという主張は、サブプライムローンの焦げ付き破綻で、真っ赤なウソであることが露呈した。

 前記アメリカのビッグ3行より、各行50億ドルの基金提供を要請された日本のビッグ3行の首脳は、これにどう対応するか。

 50億ドルと言えば、1ドル=112円で換算すれば、
        112円×50億ドル=5600億円
である。

 日本のビッグ3行が、これだけの資金供与をするか否か。
 うまくアメリカの銀行に利用されないようにと、私は、日本のビッグ3行の首脳がどう動くか、ここ7日間見ていた。
 この7日間、3行の首脳幹部達は、相当動き考えたことであろう。

 三井住友銀行が3行を代表しているのか知らないが、三井住友銀行のトップが、日本の銀行マン特有の言い回しで、アメリカビッグ3行の基金設立への要請には応じられない旨の発言を公表した。

 日本の銀行の協力が得られないと分かったのか、サブプライムローン破綻対策共同基金設立は見送られることになったと、アメリカビッグ3行は発表した。

 サブプライムローン破綻の問題は、やはり日本にも影響を及ぼして来たのである。
 サブプライムローン破綻の問題は軽微で、日本には影響しないと未だに発言している人々がいるが、現に日本の銀行に対して150億ドル出せという行動があるのである。
 これから、アメリカの消費経済の停滞で日本の輸出が減り、じわりとサブプライムローンの問題が日本経済に影響してくる。

 不動産鑑定評価理論は、公共用地買収を根源として形成されてきたと思っている不動産鑑定士が多くいるようであるが、そうでは無い。

 不動産鑑定評価理論は、アメリカの金融実務の中で生まれ、育ち発達してきたものである。金融と不動産鑑定とは密接な関係がある。

 新しい不動産鑑定の評価理論の多くは、殆ど金融業界から産まれている。
 それ故、現在のアメリカの金融のトップの考える最先端の金融の仕組みがどういうものかを知ることは、不動産鑑定評価理論形成及び評価論を理解する上で、大変重要なことなのである。

 サブプライムローン破綻の問題と不動産鑑定評価とは無関係では無いのである。
  

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