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414)2007年8月から外国人の株式の売り越し額4.7兆円

 鑑定コラム412)で「業種別日経平均株価下落率、不動産業がトップ(2008年3月4日)」のコラムを書いた。

 その原因として、
  1.日本の不動産市場への資金が減る
  2.国内のマンション販売が厳しい
の要因が影響していると、アナリストの意見を添えて述べた。

 「日本の不動産市場への資金が減る」ということは、それまで不動産業種の株式に外国人の多くの金が流れ込んでいた事から、その外国人の金が流れ込まなく、引き揚げていることであると云える。

 では本当に外国人投資が減少しているのか、具体的数値で検討してみる。

 財務省が「対外及び対内証券売買契約等の状況」という統計データを発表している。最近2008年2月までの数値が最近発表された。

 その発表統計データの中に「対内証券投資(非居住者による取得・処分)」の数値がある。

 株式・中長期債・短期債について、それぞれの取得・処分・ネットに区分された数値である。

 「非居住者」とは、日本に住んでいないと言うことであるから、それは外国人を指すことになる。

 「取得」とは購入であり、「処分」とは売却を意味する。
 「ネット」とは「取得−処分=差額」の「差額」を意味する。

 差額がプラスであれば、それは買い越し、マイナスで有れば、それは売り越しを意味する。

 財務省が発表したその統計データの、2007年(平成19年)1月から2008年(平成20年)2月までの非居住者の対内証券投資の株式について、その購入額、売却額、差額(ネット額)を下記に記す。単位億円。

 (株式)
   年月     購入額     売却額     差額
    2007年01月      240,307        223,808        16,499
    2007年02月      289,822        269,523        20,299
    2007年03月      308,193        310,280      ▲ 2,087
    2007年04月      261,920        253,113         8,807
    2007年05月      291,770        281,133        10,638
    2007年06月      288,829        277,428        11,401
    2007年07月      278,830        271,579         7,251
    2007年08月      373,586        386,295      ▲12,709
    2007年09月      225,977        231,780      ▲ 5,803
    2007年10月      293,734        289,910         3,824
    2007年11月      300,455        309,897      ▲ 9,441
    2007年12月      218,224        225,483      ▲ 7,259
    2008年01月      290,219        304,797      ▲14,579
    2008年02月      265,178        266,240      ▲ 1,063

 上記表を見れば、去年(2007年)8月より、外国人投資家の動きがそれまでと変化していることがわかる。

 それ以前は3月を除き買い越しであったのが、同年8月からは10月を除き、売り越しに転じている。

 2007年11月以降は4ヶ月連続で売り越しとなっている。4ヶ月連続の売り越しという現象は今迄に無かったことである。

 2007年8月以降の外国人の売越額の合計は、47,030億円、即ち4.7兆円の売り越しである。
 つまり外国人が日本の株式を売り払って、資金を日本から引き揚げていると云うことである。サブプライム問題で資金繰りに困り、売れる株式は売り払って資金を確保しょうとしているという行動とも受け取れる。

 この外国人の株式の売却が、不動産業種に集中しているかどうかは、私には分からない。  それは証券会社の人しか分からない。

 とはいえ、1年前には外国人が日本の不動産会社の株式を買って、それにより三菱地所、三井不動産の株式が上場来の高値をつけたのは事実である。
 1年前の2007年3月2日(金)の日本経済新聞は、「海外勢の買いが先行、三菱地所や三井不動産などが上場来高値を更新」したと報じる。

 とすれば、不動産業の株式も外国人が売却して、資金を引き揚げていることの中に含まれると考えてもおかしくは無いであろう。

 上記の具体的な数値の分析によって、「日本の不動産市場への資金が減る」の証明は出来たのでは無かろうか。


 上記で引用した鑑定コラムは、下記をクリックすれば繋がります。
 鑑定コラム412)「業種別日経平均株価下落率、不動産業がトップ(2008年3月4日)」


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