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421)第30代日本銀行総裁

 日銀総裁として、私の頭に強く残っている総裁の名前は、一万田尚登と宇佐美洵の2人である。何故かどうした理由か自分でも分からないが、この2人の名前が脳裏に強烈に焼き付いている。

 参議院の多数を占める民主党を中心にした野党の反対によって、衆参両議院の国会承認事項で有るため、日本銀行総裁がなかなか決まらなかった。総裁空席の事態が生じた。

 政権与党の自民党は旧大蔵省である財務省官僚のトップである事務次官経験者を何としても日銀総裁に据えようとした。

 その試みを2度行ったが、2度とも参議院の反対にあって頓挫してしまった。
 3度目は、1回目に副総裁候補として提案した元日銀理事で現在は大学教授を民主党が副総裁と認めたため、この副総裁に着任したばかりの人を総裁候補にし、その後釜の副総裁に財務省の財務官経験者をあてる人事案を提案した。

 参議院は総裁は認めたが、副総裁は認めなかった。

 こうして、2008年4月の初旬に第30代日銀総裁は、元日銀理事で現京都大学教授の白川方明氏が就任することになった。

 新総裁は、4月11日より始まるG7の各国財務長官と中央銀行総裁が集まる会合に出席の為、慌ただしくアメリカに向かった。

 日本を代表する殆どの大新聞そして経済界は、日銀総裁の空席を招いた日銀人事のこの不手際を厳しく批判する。

 世界の金融情勢がサブプライムローン問題で不安定になっている時に、国際的にも重要な日銀総裁の空白は、金融・経済の混乱を引き起こし許されないとか。日銀人事を政争の具に使うなとか。日銀の独立性を犯すものだとか。国際的に日銀総裁の空白は日本の信頼の失墜に繋がるとか。

 その主張は一部もっともな所もあるが、私は全面的には大新聞の大上段に構えた論調には賛同出来ない。

 現在の世界の金融情勢を不安定にしているサブプライムローン問題を作り出したのは、一体どこの国で有るのか。

 アメリカの政府の高官、及び金融政策の高官が、サブプライムローン問題について、「東の国の長い超低金利政策と外貨のため込みすぎ」が原因だと発言していたことを深く、重く考えるべきであろう。東の国とは日本と中国である。

 そうした愚策を行った日本銀行が、国際的に重要な位置にあるとは私には思えない。
 
 政権与党の日銀提案人事を否定する行為は、日銀の独立性を犯すものであると批判するが、そもそも日銀の独立性の中には人事の独立性も含まれているのではないのか。

 日銀の中で、次期総裁候補を何故育てなかったのか。
 企業のトップの仕事の大きな役目として、自らの後の後継者を見つけ育てることが1つの役目では無かろうか。

 前日銀総裁の福井総裁は、その任を怠ったと言えるのでは無かろうか。

 トヨタ自動車にしろ、松下電器にしろ、ソニーにしろ、取締役の10段飛び越えの類の抜擢の新社長人事を行っている。そしてそれはいずれも成功している。

 日銀理事の中から10段飛び越えの類の抜擢総裁人事が出来なかったのか。
 日銀には、それほど人材が不足しているのか。

 金融政策に身を触れて業務を行っている銀行、証券会社から日銀総裁になれる人はいたのではなかろうか。

 三菱銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、野村證券から日銀総裁になれる人はいるのではないのか。

 私は、日銀総裁の人事の任免権を握っている自民党、民主党の国会議員が、日銀総裁候補者に対して審問するに際して、次の質問をして欲しかった。そして候補者がどの様に答えるか知りたかった。

 総裁候補者に対して、
「あなたはサブプライムローン問題について、いつ知ったか。知った時どう思ったか。そしてあなたはどういう行動を起こしたか。それについて発言した論文、記事は有るのか。」
と。

 そして加えて、
「いつまで超低金利政策を続けるつもりか。定期預金の金利を5%にいつするつもりなのか。」
と。

 サブプライムローン問題が発覚した時、日本の金融機関関係者、大新聞、マスコミ、経済評論家のだれ一人、サブプライムローン問題は日本経済に大きな影響を及ぼすと判断しなかった。大きく影響すると発言しなかった。
 前の日銀総裁の福井氏ですら、サブプライムローン問題は米欧の問題で日本には影響が無い。有っても軽微だと発言する始末である。

 2008年4月11日に、みずほフィナンシャルグループは、グループ内子会社のみずほ証券が「サブプライムローン問題に端を発したクレジット市場の混乱」で、4000億円の評価損失を平成20年3月期に生じる見込みを、同社のホームページでプレスリリースした。

 それに伴い、みずほフィナンシャルグループの2008年3月期の経常利益を2200億円減額修正すると、同ホームページで、同じくプレスリリースした。
 4000億円の損失がほぼサブプライムローン問題で、日本の大金融グループが損失を受けたのである。それによって利益が2200億円吹っ飛ぼうとしているのである。

 現在、まさにサブプライムローン問題が、日本経済、金融に大きな影響を与えて来ている。不動産価格の暴落はサブプライムローン問題が引き金だと言い出している人もいる。

 そうした事を考えれば、次の日銀総裁にはサブプライムローン問題でどの様に情報を得、動き、発言したかを知ることによって、洞察力のある人かどうか判断することが出来る。

 サブプライムローン問題について、後講釈の様な考えを述べる人には、洞察力は無いと判断出来る。

 違った問題が発生した時にも、その問題発生の洞察力が無い事が十分推定されうる。洞察力の無い人を日銀総裁にはすることは出来ないであろう。

 失礼な事を云うなとか、生意気な事を云うな、偉そうな事いうなと云われるかもしれないが、重要な事である。第30代日銀総裁に就任した白川方明氏に優れた洞察力があるかどうか、じっと見ていよう。


 日本銀行に関する記事は、下記の鑑定コラムにもあります。
 鑑定コラム386)「日銀はいつまで超低金利政策を続けるのか」
 鑑定コラム291)「バブル時に迫る銀行の不動産業への新規貸出額」

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