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469)ダウ777ドル下落の2008年9月29日のブラックマンデー

 2008年9月29日の月曜日、ニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均株価は、前週末比777.68ドルという下落を引き起こした。

 これは史上最大の下げ幅という。
 史上最大の下げ幅ということから、1929年の世界大恐慌の「暗黒の木曜日」と云われる日の下げ幅を上まわったと云うことである。

 今回の史上最大のダウ下落は、サブプライムローン問題を抜きにしては語れられない。

 アメリカ投資銀行のリーマン・ブラザーズが倒産し、アメリカ政府系で住宅ローンの4割を占め、その住宅ローン債権をもとにして証券を発行しているファニーメイ、フレディーマックが信用不安になって、アメリカ政府が支援するという金融信用不安も大きく影響している。

 この住宅金融を原因とする金融信用収縮を無くするために、アメリカ政府は7000億ドルという巨額の資金を用意して、投資銀行等が抱える不良資産を買い取る債権買取機構の設立を目的とする金融安定法の法案を議会に提出した。

 アメリカ政府と議会指導者との間では、ほぼ機構設立に合意は出来ていて、法案は可決されると殆どの人は思っていた。

 しかし、政権党の共和党の議員の多くが法案に反対し、法案は否決されてしまった。

 この法案否決により、アメリカのサブプライムローン問題は長引き、銀行等の倒産は今後多く出現すると、投資家は判断した。これにより株式の売りが強くなって、ダウ777ドル下落という史上最大の下落となったようである。

 法案反対には、投資銀行の会長達の年収30億円等という馬鹿高い年収が災いし、ウォール街の馬鹿高い給与をとる人達が引き起こした問題に、政府の税金である7000億ドルという巨額を注ぎ込む必要性があるのかという心理的反発もあるのでは無かろうか。

 ダウ777ドルの下落を受けて、日本の日経平均株価は前日比483.75円安の大幅下落で、11,259.86円と3年4ヶ月ぶりの安値となった。
 日本経済はアメリカが咳をすると風邪になり、アメリカが風邪を引くと日本は肺炎になると云われる位、アメリカ経済の影響を受ける。

 それは日本だけに限らず、アジア・欧州の経済もアメリカ経済に影響を受ける。
 ダウ暴落の影響はアジアの株価暴落を引き起こしており、欧州の株価下落を引き起こしている。全世界の株暴落である。

 下手すると世界経済の大恐慌にこれからなりかねない。
 ダウ777ドルの下落が、後日、世界経済大恐慌の入り口であったと云われるかもしれない。

 2008年9月29日という日は、金融史上忘れられない日になるのでは無かろうか。

 この日、自分は何をしていたかということも覚えておくことも大切である。

 私は、桐蔭横浜大学の後期授業の開講日で、学生に講義していた。
 講義の内容は、前鑑定コラム468)の「歴史に残る世界金融の大変動時」で書いてある内容を、上下する4つの黒板を使って板書きしながら話していた。ゴールドマン・サックスは何系とか。モルガン・スタンレーは何系で、WASPとは何か等についても話していた。

 今回の問題は「不動産」が原因しており、「不動産」を小馬鹿にしていると、世界経済を大恐慌に落とし込む程の事になるのであると云わんがためであった。

 不動産がいかに重要で大切であるのかを、学生に今回のリーマン・ブラザーズの倒産等による世界金融不安を例として話していたのである。

 不動産鑑定の講義であるにも係わらず、国際金融論のごとくのことを話していたのである。

 翌日、ダウが777ドルも下落したという新聞報道を目にするとは、予測もしていなかった。
 

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