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468)歴史に残る世界金融の大変動時

 中国北京でのオリンピックが終わった途端に、世界の金融に怒濤のごとく急激に大変動が生じ、金融の信用収縮による世界経済の大恐慌になるのではないかという状況にある。

 全世界の金融を牛耳っていたアメリカの投資銀行が、2008年9月15日のリーマン・ブラザーズの倒産を皮切りにして、この半ヶ月も経たないうちに大変動を起こしてしまった。

 即ち、アメリカの4大投資銀行(証券会社)が無くなってしまった。
 1位のゴールドマン・サックス、2位のモルガン・スタンレーは、サブプライムローン等による大損失と信用収縮を、大規模な外部資金導入及び増資でクリアして投資銀行から商業銀行の持ち株会社になってしまった。3位のメリルリンチは商業銀行のバンク・オブ・アメリカの傘下に入ってしまった。
 そして4位のリーマン・ブラザーズは倒産してしまった。

 投資銀行と商業銀行とどう違うのかは、私もはっきりとは分からないが、商業銀行がいわゆる銀行で、投資銀行は商業銀行以外の銀行で証券会社等を指すようである。

 アメリカ大恐慌の後、銀行と証券・投資顧問の分離が行われた結果による業態の棲み分けである。

 それが再び銀行業と証券・投資顧問業の併合が行われようとしている。
 その原因となったのが、当初は事の重大さに気付いていなかったサブプライムローンの焦げ付きで、投資銀行4位のリーマン・ブラザーズが倒産したことによる。

 サブプライムローンの原点は住宅ローンである。即ち不動産である。
 アメリカの住宅不動産の価格下落が、サブプライムローン問題を引き起こした。

 そのサブプライムローン債権をリスクヘッジするために、金融工学の手法を使って多くの金融商品が作られ、莫大な証券化商品に増幅された。

 サブプライムローン返済の滞りが大量に発生したことによって、信用収縮が生じた。
 信用増幅で莫大な証券化商品が発行されていたため、信用増幅が莫大であればあるほど、その逆の信用収縮が生じた時は、その影響は甚だ大きい。
 山高ければ、谷深しである。
 あの巨大な投資銀行のリーマン・ブラザーズですら、自社株価が倒産水準と云われる株価まで大幅に下落して信用がなくなり、倒産に追い込まれてしまったのである。

 不動産というものの存在がいかに大きく大切であるのか、改めて分かったのでは無かろうか。

 日本の三菱UFJフィナンシャルグループは、モルガン・スタンレーに9000億円(注)の資本参加する。

 野村ホールディングスは、リーマン・ブラザーズのアジア部門、欧州部門を社員もろともそっくりを買収した。

 みずほコーポレート銀行はメリルリンチに1300億円出資した。

 日本の銀行は出資したとはいえ、相手はアメリカの名うての凄腕の金融企業である。
 かって不良債権に苦しんでいた三井住友銀行は、ゴールドマン・サックスに資本提供を仰いだ時、ゴールドマン・サックスが三井住友銀行の融資先の破綻会社に手を出し、したたかに儲けられたことをよもや忘れてはいないであろう。

 現ブッシュ政権の財務長官であるハンク・ポールソンは、ゴールドマン・サックスの前会長兼CEOである。
 クリントン政権の時の財務長官であったルービン財務長官も、ゴールドマン・サックス出身である。

 アメリカ政府の財務長官になれるレベルの人が、衣替えしたとはいえ旧投資銀行の経営者にはゴロゴロいるのである。

 日本銀行の総裁になれる人クラスでないと、出資したアメリカの旧投資銀行の役員は勤まらないのではなかろうか。


(注)2008年9月29日付 株式会社三菱UFJフィナンシャル・グル−プのホームページに、出資額は90億ドルとプレスリリースされた。1ドル=104円とすると、
           104円×90億ドル=9360億円
である。


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