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515)2008年の不動産業新規貸出額8.4兆円

 日本銀行が国内銀行業種別貸出額(2008年10月〜12月)のデータを2009年2月12日に発表した。
 待っていたデータの発表である。

 不動産業の2008年10月〜12月(第4四半期)の新規貸出額は、15,281億円と発表された。
 前年同期に比べると、8,674億円の減である。

 前期の第3四半期は20,365億円であったから、前期比4,984億円の貸出額の減である。

     2008年7〜9月  (第3四半期)   20,365億円
     2008年10〜12月(第4四半期)   15,281億円

 2008年7〜9月(第3四半期)と較べて2008年10〜12月(第4四半期)の融資金額の減少は著しい。
 2008年9月のリーマン・ブラザーズの倒産の影響が大きく影響している。
 リーマン・ブラザーズの倒産は、金融機関の貸出金額の著しい金融収縮を引き起こした。

 この金融の引き締めによって、上場の新興不動産会社・ファンド会社がバタバタ倒産していった。

 その倒産した経営者は、異口同音に急激な金融収縮によって資金繰りが出来なくなったという。
 その言葉の裏付は、まさに上記の不動産業への2008年10月〜12月の間の貸出金額の大幅な抑制金額によって証明される。

 2008年1年間の不動産業新規融資額は84,072億円、即ち8.4兆円である。
 10兆円を大きく下回った。

 2007年は10.0兆円であつた。10兆円という数字が不動産業新規融資額の一つのメルクマールとなった。

 2007年以外に10兆円の新規融資額となったのは、1989年(平成元年)の10.4兆円のみである。この10.4兆円の融資額以後、不動産価格は大暴落を引き起こした。

 2007年の今回も10兆円の新規融資額を付けると、不動産価格は大暴落を引き起こした。不動産ファンドバブルによる不動産価格の大暴落は、2007年7月から生じた。

 不動産業にとって新規融資額10兆円という金額は、土地価格のピークを示すという経済経験則が出来上がった。
 今後不動産価格がピークか否かは、10兆円の新規融資額かどうかで判断出来そうである。

 不動産業及び周辺に携わる業界の人々は、このことをしっかりと頭に刻み込んで居た方が良い。
 この経済経験則の鉄則を知って、それに従っておれば、倒産を免れた上場不動産会社は多くあったものを。
 少しは他人の意見に謙虚に耳を傾けよ。タダで最高の情報が得られて居たのである。タダであるからと思って鑑定コラムの情報を小馬鹿にしていたのでは無かろうか。

 鑑定コラムは、早くから不動産ファンドバブルの警戒警報を出していた。それに従っておれば、上場不動産会社は倒産しなくてよかったものをと私は云いたくなる。

 鑑定コラムの情報はタダであるが、読んでヒントを得る人にとっては、その情報は100万円出しても高くない情報でもあると私は勝手に思っている。
 ただ悲しいかな鑑定コラムを読んで、会社が助かりましたという感謝のメールがさっぱり届かない。

 ということは、あまり大した情報を伝えていないと言うことになろうか。
 100万円出しても高くない情報でもあると言うのは、やはり自分の勝手な思い込みに過ぎないかもしれない。
 反省する。

 総貸出額に占める不動産業への貸出割合は、
   2008年7〜9月   0.215
   2008年10〜12月  0.172
と大幅に低減してきた。

 私はこの割合が15%以上の状態は、不動産の過剰流動性の金額と考えており、今後まだまだ不動産業への金融引き締めは強まり、それに伴い不動産業者、開発業者等の倒産、そして土地価格の下落が続くと考えている。

 以下に、日本銀行発表の国内銀行の不動産業新規貸出額の最近4ヶ年の四半期毎の金額を記す。(数値は発表時の暫定値であり、後日確定値として変更される場合があります。)


四半期 新規総貸出額 億円 不動産業 億円 不動産業/総貸出額
2005年1〜3月 127263 32685 0.257
2005年4〜6月 85982 15350 0.179
2005年7〜9月 113672 28633 0.252
2005年10〜12月 102771 21022 0.205
429688 97690 0.227
       
2006年1〜3月 133307 29378 0.22
2006年4〜6月 92029 17267 0.188
2006年7〜9月 101746 24565 0.241
2006年10〜12月 91791 20381 0.222
418873 91591 0.219
       
2007年1〜3月 121206 29654 0.245
2007年4〜6月 91652 22311 0.243
2007年7〜9月 103337 24939 0.241
2007年10〜12月 99306 23955 0.241
415501 100859 0.243
       
2008年1〜3月 128202 30365 0.237
2008年4〜6月 91843 18122 0.197
2008年7〜9月 94230 20304 0.215
2008年10〜12月 88693 15281 0.172
402968 84072 0.209


 鑑定コラム291)「バブル時に迫る銀行の不動産業への新規貸出額」

 鑑定コラム462)「経済自律則か、「10兆円」という金額」

 鑑定コラム651)「2009年の不動産業新規貸出額は6.9兆円」

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