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533)銀座中央通りの店舗家賃坪25万円

 都心一等地の商業地の店舗家賃の評価をする時に、その地域の家賃がいくら位しているのか家賃水準を把握することが大変難しい。 地域の家賃水準の把握が難しい事から、当該店舗の適正家賃がどれ程か判断することはなお難しい。

 賃貸事例を捜して地域の家賃水準、対象店舗の適正家賃水準が如何ほどか分析するのであるが、その賃貸事例を捜すことが大変難しい。

 都心一等地の商業地に空き店舗が出ることが珍しく、新規賃貸事例を得る事に苦労する。

 店舗の支配人・店長に賃料を聞いても、そのことは本店が扱っていますので私は知りませんと断られる。

 本店にお伺いすれば、何で賃料を聞きに来たのかと怪訝な顔をされる。
 そして、
 「うちは特殊な事情があって、参考になりません。」
と云って教えて頂けない。

 或いは、
 「そんなことは経営上、業務上の秘密事項になりますので、やたらに教える事は出来ません。」
と断られる。

 都心一等地の店舗の賃貸事例を入手することはなかなか難しい。

 シービー・リチャード・エリス株式会社(東京港区浜松町 電話03-5470-8711) が、ホームページで『都内主要マーケット、店舗賃料相場2008』という調査報告書を発表している。

 東京の主要商業地である銀座、表参道、新宿、渋谷、池袋の店舗賃料相場を、「通り」という概念で捉えて「通りの店舗家賃」を発表している。

 それによれば、2008年の銀座中央通りの1階店舗家賃は、家賃ゾーンの高値で坪当り25万円である。

 賃料はゾーン、つまり巾で表示されている。

 銀座中央通りの1階の店舗賃料は、
      坪当り 120,000円〜250,000円
と云う具合である。

 銀座中央通りと云えば、銀座商業地の中心をほぼ南北に走っている繁華街の大通りで、「中央」の言葉が省かれ「銀座通り」とも呼ばれている。銀座三越、松坂屋、松屋の百貨店が並ぶ通りである。銀座4丁目交差点がその中心である。

 その銀座中央通りの高値の賃料は、坪当り250,000円ということである。

 高値賃料で各階(地階、1階、2階の賃料が発表されている) の賃料を記すと、

      2階    60,000円
      1階    250,000円 
            地階       50,000円
である。上記賃料は共益費込みのものである。以下同じ。

 1階の賃料を評点100とすると、各階の賃料評点は、
      2階    24
      1階    100
            地階       20
ということになる。

 地階賃料と1階の賃料関係は、
      20÷100=0.2=1/5
1/5である。

 2階と地階の賃料関係は、
      24÷20=1.2
である。

 即ち、地階賃料は1階賃料の1/5で、2階賃料は地階賃料の20%高ということになる。
 この賃料評点は、賃料鑑定において、階層別効用比率の数値として利用出来る。

 各地域の1階の最高賃料を記すと、下記の通りである。単位坪当り。
     銀座     250,000円
     表参道    220,000円
      新宿     200,000円
     渋谷     150,000円
     池袋          120,000円

 銀座中央通りの店舗賃料が、東京で最も高い。
 東京で最も高いということは、日本で最も高い賃料ということになる。

 少し気取ってお高くとまっている感じのする銀座中央通りよりか、下町の雰囲気が漂う新宿の伊勢丹や紀伊国屋書店のある新宿通りの方が、私にとっては親しみ易い。

 新宿の一等地の1階店舗賃料を100とおいて、各地域の1階店舗の賃料評点を求めると、下記の通りである。

     銀座     1.25  (250,000円÷200,000円=1.25)
     表参道    1.10    (220,000円÷200,000円=1.10)
      新宿     1.00    (200,000円÷200,000円=1.00)
     渋谷     0.75    (150,000円÷200,000円=0.75)
     池袋          0.6     (120,000円÷200,000円=0.60)

 銀座の店舗家賃は新宿の1.25掛け、表参道は1.10掛け、渋谷は0.75掛け、池袋は0.60掛けということである。

 渋谷賃料は、新宿の0.75掛けであるが、池袋賃料の1.25掛け(0.75÷0.6=1.25)でもある。

 銀座中央通りの店舗家賃は、坪当り25万円と云うが、坪当り25万円の家賃、これは年額でなく月額である。年額では坪当り300万円(25万円×12=300万円)の家賃である。

 坪当り25万円の家賃を支払って、利益を出せる店舗というものは、どういう業種であろうか。
 店舗経営出来るのであろうか。
 それだけの家賃を支払って店舗経営出来る商業の力の凄みに、私は尊敬を越えて畏敬する。


 シービー・リチャード・エリス株式会社のホームページは下記です。

http://www.cbre.co.jp/JP/Pages/default.aspx


 シービー・リチャード・エリス株式会社の、店舗家賃の調査報告書は下記です。
      
http://www.cbre.co.jp/JP/Research_Center/DocLib2/RMU_Tokyo_Central_08Q3.pdf




**** 追記 2015年9月9日  銀座大通りの店舗家賃

 提出が遅れて、せかされた家賃鑑定2件を、どうにか依頼者である弁護士に届ける事が出来た。

 家賃の鑑定評価で頭を痛めていたついでというわけでは無いが、東京銀座の銀座四丁目の交差点を起点とした2つの大通り(銀座中央通り、晴海通り)沿の店舗家賃がどれ程か分析してみる。

 上記2つの大通りの1階店舗の賃料データがあればよいが、まず1階店舗の賃料データがオープン化されることはない。

 2つの大通り沿の3階から上階の募集中の店舗家賃より、銀座四丁目交差点にある1階店舗家賃が、どれ程の金額にあるか推定してみる。

 銀座の町の丁目は、東西に羊羹あるいは短冊のごとく細長く、北の上端を1丁目として、南に下がり下端が8丁目となり、8つの丁目に区分されている。

 銀座中央通り(銀座地区の真ん中を縦に南北に走る通りで、日本を代表する大通り商店街。この銀座中央通りは同じ丁目の町を東西に分断している)のデータは、銀座四丁目交差点より220メートル程度までに所在するデータとする。

 晴海通り(銀座地区の真ん中を横に東西に走る通りで、通りの北側が銀座四丁目、通りの南側が銀座五丁目と丁目を分ける大通り)のデータは、銀座四丁目交差点より100メートル程度までに所在するデータとする。

 銀座四丁目交差点とは、銀座中央通りと晴海通りが交差する交差点である。
 銀座商業地の中心地である。それは又日本の商業地の中心地であるとも云える。

 銀座中央通りは、プロ野球の巨人軍が優勝すると、銀座一丁目から、八丁目を優勝パレードする通りでもある。

 晴海通りは、正月の大学箱根駅伝の復路10区で、駅伝選手が帝国ホテル、日比谷公園に挟まれている日比谷通りの日比谷の交差点から右へ晴海通りに入り、銀座四丁目交差点を左折北上して銀座中央通りを走るコースに使われている。

 また、晴海通りは、有楽町駅の南側を走り、映画「君の名は」の舞台となった数寄屋橋のある通りである。四丁目交差点を東に向かうと、歌舞伎座がある通りである。

 銀座中央通り沿の賃貸募集物件は5件、晴海通り沿のそれは、6件得られた。
 平成27年(2015年)6月初旬の募集中の店舗物件である。

 賃料は、商業中心地を最高値として、中心地より遠ざかるにつれて安くなる性質を持っている。

 銀座四丁目交差点を商業中心地とし、それからの距離と賃料の関係を分析する。

 データは下記である。

       所在     階  面積u  賃料円/u   四丁目交差点距離m

1 銀座5-8    8 92 8,500 80 2 銀座5-8    9 27 9,100 100 3 銀座5-8    5 68 9,700 110 4 銀座6-9    7 84 7,600 210 5 銀座6-9    8 137 7,000 220 6 銀座5-8    5 60 13,600 50 7 銀座4-6    3 75 10,800 50 8 銀座4-4    9 137 10,600 70 9 銀座4-6    8 172 11,200 30 10 銀座5-9    7 278 10,600 80 11 銀座5-6    8 305 10,000 70

 データの1〜5までが、銀座中央通り沿のデータである。
 データの6〜11までが、晴海通り沿のデータである。

            X : 銀座四丁目交差点からの距離 m
            Y : 3階以上の店舗賃料 u当り円

として、XYの上記データをグラフに落とすと、下記である。


銀座大通り3階


 XYの関係式を求めると、

              Y = 12211.65−23.9515X
                                (5.63)
                      t値=-4.25 有意水準
                      相関係数 r=0.817

である。

 銀座四丁目交差点より100mの大通り沿の3階以上の店舗の賃料は、上記算式のXに100を代入すれば、

              Y = 12211.65−23.9515×100
                  = 9816.5
                  ≒ 9,800円

u当り9,800円と求められる。

 同様にして求めた賃料一覧は、下記である。

          銀座四丁目交差点距離 m          u当り賃料 円

         30             11,500          40             11,300          50             11,000          60             10,800          70             10,500          80             10,300          90             10,100          100              9,800          110              9,600          120              9,300          130              9,100          140              8,900          150              8,600          160              8,400          170              8,100          180              7,900          190              7,700

 上記で求められた銀座四丁目交差点距離100mにある賃料を、評点100として、各距離の賃料を評点化する。10mの距離間隔で無く、5mの距離間隔の評点で細分する。下記である。

          銀座四丁目交差点距離 m           賃料評点

         30             117          35             116          40             115          45             113          50             112          55             111          60             110          65             109          70             107          75             106          80             105          85             104          90             103          95             101          100             100          105              99          110              98          115              97          120              95          125              94          130              93          135              92          140              91          145              89          150              88          155              87          160              86          165              85          170              83          175              82          180              81          185              80          190              79          195              77          200              76

 何故このような賃料評点を求めるのかと云えば、この評点を使用して、銀座の大通りの賃料とその変動率を知ることが出来るためである。

 2つの例を示して説明する。

 一つは、後日のいつかのA時点で、銀座四丁目の交差点から銀座中央通り沿は220m以内に、晴海通り沿は100m以内に所在する、3階以上の階にある5つの募集店舗賃料が得られたとする。その5データの平均が、

              銀座四丁目交差点距離平均86.3メートル
               その平均賃料11,300円

であったとする。

 86.3メートルは切り上げて90メートルとする。

 90mの評点は、上記で103である。
 評点103の賃料が、u当り11,300円である。

 評点100の賃料は、
              (11,300円×100)÷103=10,971円

10,971円となる。

 平成27年6月時では評点100の賃料は、9,800円であった。
 A時点では、10,971円となった。

            10,971円÷9,800円=1.119

 平成27年6月時よりA時点までに、銀座の賃料は、11.9%上昇したことになる。

 こうして銀座の賃料の変動率を把握することが出来る。年率に換算すれば、年率の変動率を把握できる。

 銀座の賃料の変動は、銀座の土地価格にもほぼ連動している事から、土地価格が上昇しているのか、下落しているのかも知る事が出来る。

 もう一つの使い方を説明する。現在時点の賃料を求めるのに使用出来る。

 評価する店舗が、銀座四丁目交差点から123メートルであったとすると、123メートルを切り上げると125メートルである。

 125mの評点は、94である。

 先に、評点103の賃料が11,300円と求められている。

 評点94の賃料は、

            (11,300円×94)÷103=10,313円

10,313円ということになる。

 この様に利用出来るのである。賃料の評点化は有益であろう。

 銀座四丁目交差点の角に建つ四つのビル、北から右周りに、服部時計店(セイコー)の和光ビル、三越百貨店銀座ビル、サッポロビールのサッポロ銀座ビル、リコーの三愛ビルの1階店舗の新規賃料は、どれ程であろうか。

 日本の商業地の一等地の中の一等地にある店舗である。
 さぞかし高い賃料になるであろうと想像できる。

 以下で、推測分析してみる。但し求められた賃料は、私の勝手な推測によるものであって、この金額で契約されていると云うものでなく、求められた賃料が唯一正しい賃料というものでないということを、予めご了承していただきたい。

 上記で分析した銀座大通り沿の3階以上の店舗の賃料算式から、銀座四丁目交差点直近の賃料は、

       u当り 12,200円

と判断される。

 階層別効用を次のごとくとする。

 3階の効用を100とする。

 2階の効用は、3階の効用の+50アップとする。

       100×1.50=150

 1階の効用は、2階の効用の4.5倍とする。

       150×4.5=675

 まとめると下記である。

        3階    100
                2階    150
        1階    675

 なお、4階以上の効用は、3階と同じ100である。

 3階の賃料は、u12,200円であるから、これに1階の効用6.75を乗じれば、

               12,200円×6.75=82,350円

u当り82,350円が1階の賃料となる。

 交差点1階の店舗は角地の店舗である。

 角地店舗の優位性の修正は、高度商業地の場合は、+15%であるが、銀座四丁目交差点の角地店舗ということの特別性を考えれば、15%を超えるアップでもよいでは無いかと判断される。+20%アップとする。

               82,350円×1.20=98,820円

 u当り98,820円となる。

 坪当り換算では、

              98,820円×3.30578=326,677円≒327,000円

32.7万円である。

 東京銀座四丁目交差点の1階店舗の賃料は、坪当り32.7万円ということになる。

 これが、現在の日本の最高の店舗賃料単価ということになるのか。
 
               (鑑定コラム1351転載)


  鑑定コラム242) 「銀座4丁目交差点角の店舗の家賃は」

  鑑定コラム536) 「家賃坪25万円を支払える店舗」

  鑑定コラム544) 「銀座の利回り2.0%、表参道、新宿、渋谷、池袋は?」

  鑑定コラム1351) 「銀座大通りの店舗家賃」

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