○鑑定コラム



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704) 勉強熱心な福岡のある鑑定事務所

 季節はずれの台風14号が近づいている2010年10月の月末の土曜日朝10時より5時まで、そして翌日の日曜日の9時半より午後5時まで2日間に渡り、福岡にある一つの不動産鑑定事務所で、そこに勤務する10人程度の不動産鑑定士に賃料の実際の求め方について講演した。

 私が、ここ数ヶ月に月一回、土曜日・日曜日に2日間12時間かけて、賃料の正しい求め方を教えているという噂をどこから聞いたのか、九州福岡の若い不動産鑑定士達が自分達も受けたいという要望を事務所の代表者に申し込んだらしい。

 たまたま私と知り合いの代表者が、社員の要望を受け入れ、九州まで出張講義をしてくれないかという要望を私にしてきた。

 私は、驚いたが若い不動産鑑定士の賃料評価をしっかりと身につけたいという勉強熱心の心根に打たれ、良いでしょうと返事して、福岡の鑑定事務所に2日間12時間の賃料研修講義に出向いたのである。

 私から見れば、この不景気にあって、10人余の不動産鑑定士を抱えて鑑定業を経営している事務所代表者は素晴らしい経営能力を持っている人と思えてくる。
 その経営手腕に脱帽する。

 二百十日、二百二十日をとっくに過ぎているのに、大型の台風が日本に近づいていると天気予報は伝える。鹿児島、宮崎空港便は欠航という。

 土曜日の当日朝早く羽田を飛び立ち、福岡空港に到着するフライトを予約していたが、この調子では欠航の可能性があると思われ、そうすれば、土曜日の10時からの講演が出来なくなってしまう。

 飛行機の予約を前日にキャンセルし、新幹線ののぞみ号で前日即ち金曜日の夜に博多に行くことにした。

 東京から博多まで現在の新幹線ののぞみ号で一番早い列車に乗ったが、5時間余の乗車時間はさすがに長い。

 講義の予習も行ったが、時間は余りあった。食堂車が無いものかと思いたくなってしまった。

 事務所の会議室には10人近くの不動産鑑定士が集まっていた。
 一つの鑑定事務所の人々である。

 若い人が多い。
 賃料評価の経験があるのかと聞けば、余り無いという。
 しかし、最近少し賃料評価の依頼も出て来たという。

 どうもはっきり分からない為、この際賃料評価の基礎から根本的に全て学びたいという。

 それで私が2日間に渡って賃料評価を教えていると聞き、所長にお願いしたという。

 賃料研修講義を聴く人々は、熱心にノートを取り、私の話に耳を傾ける。
 大部は初めて聞く話では無かろうか。
 興味津々で聞いているようである。

 恐らく研修講義を聴く人の人生において、2日間にわたって12時間びっしりと賃料の勉強をすることは、2度と無い経験になるのでは無かろうか。

 そうした態度を見ると、

 「勉強熱心な不動産鑑定士をこの事務所は集めているな。大した事務所だ。」

と思わざるを得なかった。

 正しい賃料の求め方を唯単に教えても、それが正しい求め方と人は意外にも分からないものである。

 間違った求め方をしている実際の鑑定評価例を示すことによって、正しい求め方の理解が一層深まるものである。

 悪い、間違った鑑定書の実例、判例を示しながら、2日間で新規賃料・継続賃料・地代家賃の賃料評価の全てを話した。

 2日間の賃料研修講義を終えて、講義を聴いた不動産鑑定士に、

 「長い時間で疲れたでしょう。」

と聞くと、

 「いいえ、あっという間に終わったと云う感じです。
 全然疲れたということはありません。」

という思いもよらぬ返事が返って来た。

 2日間の講義があっという間に過ぎたという言葉を聞いて、私の方が戸惑ってしまった。長いはずなのに?

 講義の最後に、私の話した内容を充分理解して賃料鑑定書を書けば、まず間違った鑑定書、不当鑑定書と云う批判はされないであろうと冗談に話したが。
 それは私の願望である。

 福岡の料亭で、美味しい魚料理と酒を、鑑定事務所の会長、社長の2人の代表者とテーブルを囲み談笑しながら馳走になり、2日間のタフな賃料研修講演を終えて、夜遅く羽田空港に戻ってきた。

 もっとも福岡空港では、出発予定時刻がおよそ20分程度遅れ、搭乗手続を待たされた。
 「羽田空港が混雑しておりますので、出発を遅らせるようにとの羽田の管制官より連絡が有り、出発が遅れて居ます。」
というアナウンスがあり、出発ロビーで長く待たされた。

 月末であろうと思ったが、羽田の国際線24時間開港の影響もあるのでは無かろうかと推測した。

 それはそれとして飛行機の方がやはり体は楽だ。

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