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739)不当鑑定及び資格剥奪にならなければよいが

 最近ホテルの不動産鑑定で、おかしな鑑定書を見た。

 例えば、こうした類の内容の鑑定である。
 客室数50室、総定員300人のホテルとする。
 一泊の宿泊費は、10,000円とする。

 総定員300人で50室であるから、一室6人ということになる。
 一室6人ということは、ホテルという名前であるが、和室の部屋ではなかろうかと思われる。

 売上高を、


    10,000円×6人×50室×365日×0.45(客室稼働率) = 492,750,000円                                                  ≒ 493,000,000円

年間4.93億円の売上高と求める。

 一室6人の利用が常にあるわけではなかろう。
 一室1人の利用だってある。
 一室6人の利用は団体旅行の雑魚寝状態である。

 その様なことは、年に何回かはあるであろうが、大半はそんな宿泊状況では無い。
 一般的に考えれば、一室2人の宿泊として考えるべきではなかろうか。

 として計算すると、

    10,000円×2人×50室×365日×0.45(客室稼働率) = 164,250,000円                                                 ≒ 164,000,000円

年間1.64億円の売上高である。

 この求め方が、私は妥当と思う。

     4.93億円÷1.64億円 = 3.0

 鑑定評価額は3倍の水増し価格と云うことになる。

 一室6人利用でどうしても考えて計算したいというのであれば、客室稼働率ではなく、定員稼働率を使って求めるべきである。

 客室稼働率と定員稼働率の違いとは、どういうものかと云えば、客室稼働率とは、一室を1人で利用しても、或いは定員の6人で利用しても、それは1室の稼働と数えられる率である。

 これに比し、定員稼働率とは総定員数に対する利用者数の割合をいうのである。

 上記例で云えば、6人部屋の利用数を2人利用で考えるのが妥当であるから、

     0.45×2/6 = 0.15

0.15が定員稼働率と云うことになる。

    10,000円×6人×50室×365日×0.15(定員稼働率) = 164,250,000円                                      ≒ 164,000,000円

 売上高は1.64億円となり、同じ売上高となる。

 1.64億円の売上高で考えるべきものを、4.93億円で考えれば、鑑定評価額は3倍の価格で求められる。

 おかしな鑑定書と思った鑑定書は、概略上記のごとくの考えで求められたものであった。

 この様な類の不動産鑑定書を書いた不動産鑑定士は、不当鑑定として訴えられ、資格剥奪にならなければよいが。


  鑑定コラム965)「2012年8月の神戸ホテル客室稼働率は89.5%」

  鑑定コラム1052)「旅館の客室稼働率は35%」


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