○鑑定コラム


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774)不動産鑑定士は地先権を知らないのか

 ある不動産鑑定書を見て、私は首をひねった。

 港湾の臨海工業地域の土地の評価である。
 幅員25mの道路に面する工業地があり、一つは25mの道路のみに接する土地である。この土地をAとする。

 他の一つは、同じ地域にあり幅員25mの道路に面する他に、港湾に面し、海からの船の荷物の荷揚げ積みおろしが出来る土地である。この土地をBとする。

 不動産鑑定書を書いた不動産鑑定士は、Bの土地がAの土地よりも高いことをもって、買い進みの修正が必要としている。

 港湾の工業地にあって何が最大の価格形成要因であるかと言えば、海からの原材料の直接の荷揚げ、或いは船に製品の積み込みが出来るか否かである。

 道路を中心にして土地価格形成を考えるべきではない。

 港湾の臨海工業地域で、企業が工場土地を求めるのは、当該土地から接岸する船への荷物の積みおろしが出来ることを最大の目的として工場地の土地取得に向かう。

 石油コンビナートは何故港湾にあるのか。
 造船所は何故海に面した処にあるのか。

 港湾に面する土地の価格は、面しない土地よりも土地価格は何故高いのか。

 それは港湾に面することによって、公有水面を直接利用することができる権利を有しているからである。

 この権利を地先権という。

 道路より土地を見る事ばかりいつもやっているために、港湾の臨海工業地域の土地も道路側より土地の価値を判断してしまう。

 海より土地を見る事を忘れてしまっている。

 港湾に面する土地には、公有水面を利用出来る地先権というものが附着していることを全く見落としている。

 見落として土地価格を求めているが、不動産鑑定書としてそれが出されてきた場合は、地先権を見落としていると言うことにはならなく、地先権を知らないと言うことになってしまう。

 不動産鑑定士は、地先権を知らないと言うことになる。


  鑑定コラム271)
「地先権」

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