○鑑定コラム



フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ

鑑定コラム全目次へ


89)関東甲信会の認定研修会の講演

 社団法人日本不動産鑑定協会の地域会の一つである、社団法人日本不動産鑑定協会関東甲信会主催の認定研修会が、つい先日の2003年2月12日に、東京上野の池之端文化センターの大広間で行われた。

 関東甲信会(会長海賀宏之)主催の研修会ではあるが、同会の会員はもとより、東京会の会員そして北海道、九州、北陸等全国から400人程の不動産鑑定士が研修に参加した。5時間の研修で、認定単位は5単位である。

 日本不動産鑑定協会は会員の不動産鑑定士に勉強させるためか、同協会認定の研修会に限り研修に単位を与え、年間に何単位かを取る様に指導している。
 一般の人がA不動産鑑定士の研修単位とどういう研修を受けたか知りたい時は、社団法人日本不動産鑑定協会に問い合わせれば公開しているという。

 不動産鑑定士は、仕事にかまけて勉強をおろそかにすると考えて造られた研修の単位制度かどうか私は知らないが、研修単位を取らなかったからと言ってどうなるのだという、ペナルティについてあるのかないのか分からない。

 その関東甲信会の認定講習会の講師は2人で、その一人が私である。
 研修認定の講師になるほど私は偉くないが、何故か指名されてしまった。
 指名に戸惑い、かつ話上手でないからと断ったが、説得され引き受けざるを得なかった。
 しかし、考えて見れば講師に選んで頂いたことはありがたいことである。
 関東甲信会の幹部の方々に感謝する。

 私は5時間の前半の2時間で、課題は『売戸建住宅価格からの土地価格と地価変動率の求め方』という極めて泥臭い身近な、かつ実務的なテーマの話をした。
 不動産鑑定士は売物件をおろそかにしがちであるが、それを駅勢圏ごとのデータとして集団で捉え、統計処理して分析すれば、取引事例から求められた土地価格に優るとも劣らない統計的結果の価格が得られ、それを期間で区切れば土地価格の変動率を把握出来るという内容の話であった。

 一次方程式の求め方を簡単に説明をした。
 中・高校時代には、
        Y=2+3X
というごとく、数式が先に与えられていて、その値やグラフを解くという数学であったが、その数式はどうして造られるのかと言うことを、不動産の価格と駅徒歩分の具体的データ5つから説明した。

 当然「正規方程式」によって求めるのであるが、正規方程式を導き出すには微分の知識が必要となる。しかし、そんな難しいことを話しても仕方がないから、結果の求め方を具体例で説明した。

 5つのデータからの総和、相乗総和を具体的に求め、その得られた値を正規方程式に当てはめて、一次方程式を作りあげる手順を省略せず説明した。
 そして一次方程式の簡単な解き方として、逆行列による解き方も説明した。
 パソコンのエクセルの回帰分析のソフトの中には、原理は全く同じの総和の求めるプログラム、逆行列によって値を求めるプログラムが組み込まれている為に、データを打ち込むだけで算式が求められるという基本の基本を話した。

 講演後の懇親会では多くの人から、「やっと回帰分析とはどういうものか分かった。自分もやってみよう」という感想を多く聞いた。
 講演の内容はいつの日か 『鑑定コラム』 で述べたい。

 後半の3時間は、横須賀博先生の講演であった。
 横須賀博先生は不動産鑑定業界の長老である。
 同先生は、不動産鑑定士の東京会の会長そして日本不動産鑑定協会の副会長を長らくやられてこられた人である。

 その先生から、多分に外交辞令が含まれているのであろうが、「田原君と一緒に講演出来て大変うれしい。」と、講演の内容がだぶらない様にするための講義テキスト作成のための事前の打ち合わせで言われたことには、こちらは参ってしまった。
 そして同先生の講演テキストの中に、私の著書の 『賃料<家賃>評価の実際』から差額配分法の店舗家賃の差額配分の求め方を引用されているのには、恐縮してしまった。

 横須賀先生の講演の課題は、前半は『継続賃料の差額配分法の求め方』、 『サブリースの自動改定条項』 そして『2002年10月の東京高裁の地代判決』についてであった。
 後半は、『定期借地権の相続評価の問題点』と『底地価格の借地権価格控除方式の非現実性』について論じられた。

 最後の課題については、税法は、
    底地価格+借地権価格=更地価格
を前提にしている。それ故底地価格は、
    底地価格=更地価格−借地権価格
として求められる。
 しかし、現実は、
   底地価格+借地権価格 < 更地価格
であり、
    底地価格 < 更地価格−借地権価格
である。

 この現実を出先の税務署でいくら主張しても、現場の国税局職員は規則に従って職務を行うのであり、絶対に認めることはしない。
 税法の考え方は間違っていると変えさせるには国税庁、その中でももっとも相続案件の取り扱いの多い東京国税局の幹部に現実を認識させないと、税法改正は出来ない。
 その非現実的な税法改正を不動産鑑定士が動かないと、税法の中に不動産鑑定士の存在が取り入れられなくなると熱っぽく語る。
 その姿はまさに若者が将来を語るごとくであったが、君たちは一体何をしているのかとおしかりを受けているようなものとも受け取れた。

 そして自ら国税庁の幹部に会い、税法の底地価格の求め方の非現実性を説明し、国税庁の幹部も再度あって話し合いたいということになったと語る。その席には日本不動産鑑定協会の現副会長も同席し、横須賀先生の行動をサポートしているという。

 税法での底地価格の求め方が変わるかどうか、それは分からない。
 しかし、この不動産鑑定への情熱には頭が下がる。

 マイクがなくとも400人程が詰めかける大会場の最後尾まで、声が届く程の張りのある大声で、早口にまくし立てられ、数字がぽんぽんと飛び出てくる口調と、頭の回転の速さには圧倒されてしまった。

 エネルギーと精神年齢の若さが漂ってくる。このエネルギーと精神的若さをみなぎらして熱弁をふるう横須賀先生を目の辺りに見ると、まだまだ不動産鑑定業界の為に頑張ってもらいたいと思いたくなってくる。
 横須賀先生より一回り以上若い者が、そういう事を言うのは、甚だ虫の良い話であるが。


 行列式から一次方程式の求め方、回帰分析の方法については、下記の鑑定コラムがあります。

 鑑定コラム102) 「データから方程式を求める」


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ

鑑定コラム全目次へ