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1264)立退料考2

 立退料考1は、裁判の明渡立退料の判例に見る立退料の金額と月額支払賃料の関係について論じた。

 両者の間には、明確な相関関係は無かったが、立退料の金額の範囲は、ある程度の範囲にあることは分かった。

 立退料の求め方には、幾つかの手法があるが、そのうちの一つの「借家権価格割合方式」と呼ばれる手法について述べる。

 相続税において使用されている手法である。

 この手法の求める算式は、下記である。
  

  (土地価格×借地権価格割合+建物価格)×借家権価格割合=借家権価格

 例えば、土地価格を15,000万円、建物価格を5,000万円、借地権価格割合を60%、借家権価格割合を30%とすると、借家権価格は、次のごとく求められる。

  (15,000万円×0.6+5,000万円)×0.3=4,200万円

 この手法による求め方は、極めて簡単で分かり安い求め方であるが、問題点が多い。

 問題点を指摘すると、下記である。

 @ 土地価格に何故借地権価格割合を乗じた価格なのか。乗じる合理的根拠は何なのか。

 A 乗じる借地権価格割合をどの様にして決定するのか。

 B 借地権価格割合の合理的根拠を実証できるのか。

 C 建物賃貸借期間2年でも、30年でも、求められる借家権価格が同じであることになるが、それには合理性が欠けるのではないのか。

 D 土地価格・建物価格をベースにして、30%の借家権価格を掛けて求めるが、土地建物価格に何故30%もの割合を掛けなければならないのか。

 E 借家権価格が発生するのは、過大な一時金の授受からも発生するが、原則として、新規賃料と継続賃料の開差が原因して、新規賃料の利益減によって生じるものでは無いのか。

 F 借家権価格の算出ベースとなるものは、土地建物価格では無く、賃料利益ではないのか。それ故、借家権価格割合を乗じる客体は、土地建物の価格では無く、賃料利益では無いのか。

 G 土地建物の価格から30%の借家権価格割合を、どの様にして求めるのか。

 H 借家権価格割合30%の算出の合理的根拠を示せ。

 I 土地価格が借家権価格に及ぼす影響が大きすぎ、その為に借家権価格が過大に求められるのでは無いのか。

 これら問題点が存在する。

 それらに対する合理的な説明がなされないと、この手法で求められた借家権価格に信頼性は無い。

 明渡立退料の裁判で、立退料が著しく過大と思われる判決が出されるのは、ほとんどが、この借家権価格割合方式によって求められたものである。

 土地建物価格に、相続税の借家権価格割合を乗じて求めるという、問題の多い借家権価格割合方式による金額を、不動産鑑定評価の立退料として安易に採用するべきものでは無い。

    (2014年7月10日開催の田原塾7月会の講話テキストに加筆して)


  鑑定コラム1231)
「立退料考1」

  鑑定コラム1274)「立退料考 3 借家権価格割合」

  鑑定コラム1287)「立退料考 4 控除方式」


  

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