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1290)株式市場は安倍政権を歓迎しなかった

 安倍晋三第二次内閣が、2014年11月21日に総辞職し、2014年12月15日に、第47回衆議院議員総選挙が行われた。

 選挙の目的は、特に大きな問題が存在して国民に信を問うと云うものは無く、うがった見方をすれば、権力者が政権維持の期間を2年延ばして、今後4年間、首相の権限を握っていたいという権力者の欲望を露骨に出したものではなかろうかという見方もとれる。

 テレビ、新聞は安倍自民党の圧勝の選挙とはやし立てるが、私はそうは思わない。

 衆議院議員数475人のうち、党別当選議員数を見れば、自民党が圧勝したとは思われない。

 当選議員数は、下記である。( )内は、解散前の人数である。

    自由民主党    290人(293人)
        民主党             73人(62人)
        維新               41人(42人)
        公明党             35人(31人)
        次世代              2人(19人)
        共産党             21人(8人)
        生活党              2人(5人)
        社民党              2人(2人)
    無所属              9人(17人)
         計               475人

 自民党は議席を減らしており、圧勝と呼べるものではない。


 東京の株式市場は、前週末取引日である2014年12月13日(金曜日)の終値に比し、2014年12月15日(月曜日)の始値は、いきなり前週末比260円9銭安(17,111円49銭)で始まったのである。

 終値は、272円18銭安の17,099円49銭で終わった。

 前週末終値に比して、

                272.18
            ─────── = 0.016                                
                17,371.67

▲1.6%の下落となった。

 安倍内閣は、失われた20年の言葉で象徴されるごとく、デフレから脱却できない日本経済を何とか成長軌道に乗せようと、「アベノミックス」(アベノミクス)という造語を作り、日本経済を活性化させようとしている。

 安倍政権発足以来、アベノミックス三本の矢と称して、経済政策を繰り出している。

 黒田日銀の超超超金融緩和政策は、その柱となっている政策である。

 その政策によって、市場にあふれた金が株式に流れ、東証株価は急激に上がってきた。

 株式市場は、アベノミックスによって恩恵を得ていると判断されうる。

 こうした株式市場で在りながら、株式市場は、マスコミがはやし立てる自民党圧勝の賛辞に対して、

 「自民党の勝利は、既に株価に織り込み済みである」

と突き放すごとく云う。

 織り込み済みという言葉は、本当かいな。

 株式購入者の全員が、自民党の圧勝を織り込み済みで、株式購入しているとは信じがたい。

 以下のごとく考える人は、いるのでは無かろうか。

 「安倍政権が勝ったのであれば、日銀超超超金融緩和政策が続き、それに伴う円安政策が続く。

 円安に依って、輸出は促進される。

 輸出企業の利益は拡大する。

 その企業の利益が増大することから、配当が増える。

 それ故、株式は買いだ。」

と考える人は、居るのではなかろうか。

 また、

 「安倍政権が勝ったことにより、アベノミックスは成功する可能性が高くなった。

 日本経済は、成長に向かうことになる。

 ということは、株式は買いだ、株価は上がる。」

と考える人は、居るのではなかろうか。

 株式市場は、▲272円の東証株価下落という数値で、安倍政権の第47回総選挙を総括した。
 
 第二次安倍内閣が発足したのは、2012年12月26日である。(2006年9月26日に発足し2007年8月27日まで続いた安倍内閣は「第一次安倍内閣」である)

 その時、株式市場はどう動いたかについては、鑑定コラム1246)「安倍改造内閣に株価下落、株式市場はノー」で述べている。

 2012年12月26日の日経平均株価は、前日比+150.24円高 (10,230.36円)であった。

 第二次安倍政権が出来た時は、株式市場は、安倍内閣を歓迎した。

 今回は、その時の待遇と随分違うではないかといいたくなる。

 今年の秋、2014年9月3日に、安倍晋三首相は内閣の改造をした。

 この改造内閣に対して、東証株価の日経平均は、 15,676円18銭を付けたが、その終値は、前日比−52円17銭であった。

 株式市場は、▲52円の下落で、第二次安倍内閣の改造内閣に「ノー」を突きつけた。

 内閣府発表による日本の季節調節済実質GDPの対前期比は、2014年4月〜6月が-1.7%(年率換算-6.7%)、2014年7月〜9月は-0.5%(年率換算-1.9%)である。

 2四半期連続のマイナスは、景気後退、つまり日本経済は成長していなく、景気が逆に後退している状態と判断されるようである。

 このGDPの2四半期連続のマイナスは、8%から10%に上げる予定であった消費税の増額政策を延期させてしまった。

 2014年9月3日安倍改造内閣の時、株式市場が、▲52円の下落を示したのは、この景気後退を折り込んでいたというのであろうか。

 そして2014年12月15日の安倍内閣による総選挙では、株式市場は、▲272円の株価下落という数値を示した。
 改造内閣の時を遙かに超える株価下落である。

 この▲272円の株価下落は、何を暗示するのか。


 今回の総選挙の結果について、外国メデアはどう伝えたか、海外はどう見たかについて、ロイターとNHKウエブが伝えているので、その概要を記す。

 後日のいつか、現在を振り返る時に役にたつのでは無かろうかと思い、記しておく。

@ ロイター東京発(2014年12月15日 15:45 JST)

 安倍首相の記者会見での下記発言を伝える。
 「連立与党で過半数を目指して戦った結果、予想をはるかに上回る国民の力強い支持を得ることができた。アベノミクスをさらに前進せよ、という国民の声をいただくことができた。」
 そして、今後について、「政権公約で示した中身を進める責任がある」と安倍首相が述べたことを伝える。

A NHKウエブ2014年12月15日 1:28
 
 韓国のKBSは、東京支局長のリポートで、「民主党など野党が安倍政権に対抗しうる勢力として有権者に認識されなかった」と伝える。

 連合ニュースは、「大勝した安倍総理大臣が今後、歴史認識や安保、改憲などに関連して本格的に『右派の色』を見せ始める可能性が大きく、日韓関係や日中関係の緊張局面が転換するのは難しいとみられる」と伝える。

B NHKウエブ2014年12月15日 2:43
 
 中国国営の中国中央テレビは、「連立政権が勝ち、自民党が引き続き、最大勢力となる見通しだ」と伝える。

 新華社通信は、安倍首相が、14日夜民放の報道番組の中で述べた「憲法改正の必要性を日本国民に呼びかけたい」という発言を伝える。

C NHKウエブ2014年12月15日 4:16
 
 アメリカのホワイトハウスのアーネスト報道官の、「日米同盟はアジア太平洋地域の平和と繁栄の礎だ。エボラ出血熱やイスラム過激派組織『イスラム国』への対応など地域や世界規模の幅広い課題で安倍総理大臣が強い指導力を発揮していることに感謝する。」
 そして、「アメリカ政府は日本政府と共に緊密な同盟関係を深化させていくことを楽しみにしている」という発言を伝える。

D NHKウエブ2014年12月15日 6:15

 ロシア国営テレビは、「衆議院で与党が絶対安定多数を上回ったことで、安倍総理大臣は自主的な外交政策をとることができるようになり、ロシアと日本の間にも新たな可能性が生まれる」と伝える。
 
E NHKウエブ2014年12月15日 7:40
 イギリスのBBCは、「2年前倒しして選挙を行うという安倍総理大臣の賭けはうまくいった」と伝える。
 そして、「この勝利で、安倍総理大臣や安倍総理大臣の経済政策が全面的に支持されたとまでは言えない」と伝える。


  鑑定コラム1246)
「安倍改造内閣に株価下落、株式市場はノー」

  鑑定コラム1291)「計量政治学」

  鑑定コラム671) 「デフレ経済で消費税の増税の論理は正論なのか」

  鑑定コラム1292)「来年(2015年)の株価は上昇という予想」

  鑑定コラム1293)「安倍第三次内閣に株式市場は▲45円」

  鑑定コラム1670)「内閣支持率の低下で株価が下落するのか」


  

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