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1355)住宅家賃と住宅地代の関係(東京)

 東京の住宅家賃と住宅地の地代の間には関係があることは、『賃料<地代・家賃>評価の実際』P351 田原著(プログレス) の「家賃と地代の関係」の項で、

       「住宅地の地代は家賃の7.2%」

と記述されている。

 つまり、住宅地の借地上に建つ賃貸建物の家賃収入に占める地代の割合は、その家賃の7.2%ということである。

 商業地では、この割合が13.5%である。

 対象地上に、その都度賃貸建物を想定し、その家賃を求めて、地代を求めるのも面倒である。

 もっと簡便に、家賃から地代を推定することは出来ないものか。

 一画地の借地の地代と、その借地上に建つ一棟建物の家賃との間に割合関係が成立するのであれば、地代、家賃の各単価の間にも、精度は落ちるかも知れないが、関係があるのではないかと思われる。

 分析してみる。

 地代のデータは、日税不動産鑑定士会が発表している『継続地代の実態調べ』の平成24年の各区の地代データを採用する。

 平成27年の地代は未発表であることから、発表されている平成24年のデータを使用する。

 データ数が5件未満の区は不採用とする。

 地代が平成24年であれば、家賃も24年のものでなければならない。

 家賃のデータは、平成24年4月の全国宅地建物取引業協会連合会が運営する「ハトマークサイト」というホームページの「賃料相場」から、1LDK・2K・2DKのグループの賃料(面積40u)を採用し、そのデータから私が分析した数値を使用する。

 データ一覧は、下記である。台東区の地代が家賃に比し、何が原因か分からぬが、甚だ高い。


地域 件数 u当り地代 円 u当り家賃円
港区 6 868 4913
新宿区 8 306 3070
台東区 10 755 2690
墨田区 21 227 2368
江東区 17 332 2405
品川区 17 382 2875
目黒区 48 356 3400
大田区 49 255 2500
世田谷区 38 256 2860
中野区 19 224 2560
杉並区 26 251 2540
豊島区 22 247 2550
北区 25 211 2163
荒川区 9 220 2275
板橋区 24 269 2088
足立区 10 170 1775
葛飾区 13 185 1850
江戸川区 9 143 2023


      X : 住宅家賃  u当り円
           Y  : 月額地代 u当り円

とし、両者の関係を分析すると、下記の算式が得られる。

            Y=−230.949+0.2092X
                           (0.0426)

t値=4.9で有意 相関係数 r=0.775

 相関係数がやや劣る。

 データをグラフに図示すると、下図である。


家賃と地代


 定数項を無視するとすれば、2DK家賃単価の約21%が地代の単価ということになる。

 相関係数がやや低いが、2DK家賃単価に21%を乗じ、230円を減ずれば、地代のおおよその水準がわかるのであり、地代の水準を当たらず遠からず知るのには、手っ取り早い方法ではないかと思う。
 但し、住宅地(東京23区)の場合である。

 その上で、精度の高い地代を各手法によって、求めればよかろう。


  鑑定コラム892)「東京の1LDK・2K・2DKのu賃料は2,189円(24年4月)」


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