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1356)地代と公租公課の関係

 地代と土地価格の間には、昭和60年頃までは、強い相関関係があった。

 地価が上がれば、地代も上がるという関係が見られた。

 平成バブルの地価の異常な上昇により、地代と土地価格の相関関係が切断されてしまった。

 このことについては、鑑定コラム1270)「地価の変動と地代の変動は比例していない」の記事で述べた。

 地代と土地価格の相関関係が切断されてしまったのであれば、地代と公租公課の間の相関関係はどうであろうか。

 地代と公租公課の間の相関関係も、地価と同じく切断されてしまったのであろうか。

 その関係を分析してみる。

 結論から先に云うと、地価と異なり、地代と公租公課の間には、強い相関関係が存在する。

 地代の必要諸経費は、公租公課が大半を占めていることから、両者の間には強い相関関係があると判断される。

 公租公課倍率法という経済経験則によって創り上げられている手法が存在することは、両者の間に強い相関関係があることを示す。

 但し、公租公課倍率法は絶対では無い。

 宅地の規模や利用形態によって、複雑な公租公課の減免措置がなされている。1/3の減免とか1/6の減免が行われている場合がある。

 その公租公課減免によって、地代の倍率は著しく異なる場合があり、公租公課倍率10倍とか12倍の倍率になることが生じる。公租公課3倍が適正な倍率であると信じ込み、減免措置されている事を棚に上げて、それら割合の地代は不当に高い地代であり、或いは地代鑑定は、不当に高い鑑定であると主張している場面に出くわす場合があるが、その主張は必ずしも正しいというものでは無い。

 公租公課倍率法が絶対では無いということは、そうした場合があるためである。

 租税の減免措置がなされている場合はイレギュラーとして措くとして、地代と公租公課の関係を分析すると、両者の間には強い相関関係が認められる。

 地代のデータは日税不動産鑑定士会が発表している『継続地代の実態調べ』の住宅地の地代とする。

 公租公課は、東京都主税局が発表している『東京都税務統計年報』の宅地の固定資産税による。

 この固定資産税は、宅地全部のものであり、商業地の固定資産税も含まれている。住宅地の固定資産税は発表されていないことから、止むを得ず全宅地の固定資産税のデータを採用する。

 東京23区の昭和57年度の宅地の固定資産税の税収額は、193,539,188千円である。1935億円である。

 この時の宅地面積は、309,576,324uである。

 u当りの年額固定資産税は、

      193,539,188,000円÷309,576,324u=625円

である。坪当りに換算すると、

              625円×3.30578=2,066円

である。

 これは年額であるから、月額に換算すると、

              2,066円÷12=172円/坪

坪当り172円である。

 同様な求め方で、東京都主税局発表の宅地の固定資産税から、23区の3年毎の坪当り固定資産税の金額を下記に求める。


  宅地固定資産税千円 宅地面積u u単価円 坪単価円 月坪単価円
昭和57 193539188 309576324 625 2066 172
60 250838451 309334576 811 2681 223
63 305480618 312430869 978 3233 269
平成 3 394206417 313170093 1259 4162 347
6 530438976 314199636 1688 5580 465
9 577274303 312621810 1847 6106 509
12 538391402 313130585 1719 5683 474
15 496958531 314189921 1582 5230 436
18 499402700 315564806 1583 5233 436
21 551921953 314847365 1753 5795 483
24 585685504 315039899 1859 6145 512


 日税不動産鑑定士会の23区住宅地の地代と、宅地の固定資産税の金額一覧は、下記である。


  23区住宅地代 円/坪 23区月坪単価円
昭和57 445 172
60 545 223
63 606 269
平成 3 713 347
6 929 465
9 1078 509
12 1070 474
15 1135 436
18 1123 436
21 1107 483
24 1110 512


 両者の推移をグラフ化すれば、下記である。


地代と固定資産税

 両者の間には、相関関係があることが読み取れる。

 どれ程の相関関係があるのか、最小二乗法で分析してみる。

               X  固定資産税 月額坪円
               Y  23区住宅地地代 坪円

 XYの間には、

          Y=74.96056+2.088866X
                       (0.228)

t値=9.13 有意 相関係数0.950

の関係式が認められる。

 相関係数は0.95であり、高い。

 地代と公租公課の間には強い相関関係があると分析される。

 固定資産税に対する地代の倍率を見ると、下記である。


  23区住宅地代 円/坪 月坪単価円 倍率(地代/固定資産税)
昭和57 445 172 2.59
60 545 223 2.44
63 606 269 2.25
平成 3 713 347 2.05
6 929 465 2.00
9 1078 509 2.12
12 1070 474 2.26
15 1135 436 2.60
18 1123 436 2.58
21 1107 483 2.29
24 1110 512 2.17


 2.0〜2.6倍の倍率である。

 固定資産税が商業地も含めたものであるため、住宅地の地代に対しては、2.0倍という低い倍率となることは、仕方ない。

 逆にいえば、固定資産税の2倍という倍率は、地代の最低倍率であるということがいえよう。
 

  鑑定コラム1270)「地価の変動と地代の変動は比例していない」

  鑑定コラム239)「公租公課倍率法・平成17年」

  鑑定コラム1365)「借地権価格と地代」

  鑑定コラム1409)「公租公課の10倍の地代は有りうる」


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