○鑑定コラム


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ

1410)都の卸売市場の家賃はいくらか

 日本経済新聞の2015年10月30日は、ユニークなニュースを伝える。

 約1年後の2016年11月7日に、東京都中央卸売市場の一つである現在の築地市場が、豊洲市場に移転する。

 その移転に伴い豊洲市場の家賃について、現在賃借人と交渉中という内容の記事である。

 その記事の中で、現行の築地市場を含む東京都中央卸売市場の家賃がどれ程かについて、現行家賃の金額を伝えている。

 一般の人には興味無い記事内容であるが、不動産価格評価、賃料評価を職業としている私にとっては、大変興味あり、重要な内容のものである。

 東京都には、都が開設している中央卸売市場として11の施設がある。

 都は、その施設の大家である。賃借人は、それら市場に出入りし、営業が許されている卸売業者である。

 賃料は、定額賃料と歩合賃料の2本建となっている。

 定額賃料では、卸売市場で営業する一次卸売業者、二次卸売業者によって賃料が異なっている。

 この定額賃料の単価は、11市場の立地、取扱い品目業種に関係無く,一律下記の賃料という。

           一次卸売業者            u当り505円
           二次卸売業者            u当り1,991円
           荷捌き場              u当り505円

 二次卸売業者は、「仲卸売業者」と呼ばれる業者である。

 同じ卸売市場の建物の中で営業している一次卸売業者と二次卸売業者の間に、約4倍の賃料単価の開きがあることに、私は驚く。

 過去のいきさつとか、賃貸面積等の理由があるであろうが、同じ建物の平面の使用料として、約4倍の賃料の開きは大きすぎるのではなかろうか。

 11市場の所在する場所の土地価格は異なっている。その土地価格は、下記に述べるが、大巾に異なっている。

 11市場同じ賃料ということは、不合理過ぎる。

 地価に応じて賃料を決めるべきではないのか。

 11の市場の土地価格を見てみる。土地価格は、市場近くの住宅地の価格とする。工業地の中にある場合は、工業地の価格とする。


市場名 所在 公示番号 公示地所在 27年公示地価格円/u
築地 中央区築地5-2-1 中央2 中央区明石町 1250000
食肉 港区港南2-7-19 港21 港区北品川1 1010000
大田 大田区東海3-2-1 大田9-2 大田区東海2 468000
豊島 豊島区巣鴨5-1-5 豊島13 豊島区駒込7 392000
淀橋 新宿区北新宿4-2-1 新宿15 新宿区北新宿1 530000
足立 足立区千住橋戸町50 足立29 足立区千住緑町 301000
板橋 板橋区高島平6-1-5 板橋9-3 板橋区新河岸2 225000
世田谷 世田谷区大蔵1-4-1 世田谷66 世田谷区上用賀6 485000
北足立 足立区入谷6-3-1 足立23 足立区入谷4 190000
多摩ニュータウン 多摩市永山7-4 多摩15 多摩市永山6 151000
葛西 江戸川区臨海町3-4-1 江戸川9-4 江戸川区臨海3 281000


 土地価格は、多摩ニュータウン市場がu当り151,000円、築地市場がu当り1,250,000円である。

 土地価格が、u当り15.1万円〜125万円の開きがあるにも係わらず、卸売市場の賃料単価が同じということは、不合理であろう。アンフェアではなかろうか。



****追記 27年11月24日  東京都中央卸売市場は53億円の赤字  鑑定コラム1414

 東京都には東京都中央卸売市場として、築地市場等11の食品卸売市場がある。

 東京都はその11卸売市場の大家であり、食品卸売業者に賃貸し、卸売市場を運営している。

 その東京都中央卸売市場は、儲かっているのか。

 東京都中央卸売市場の損益を見てみる。

 ネットに公表されている損益計算書は、平成21年度しかないことから、それによる。下記である。単位千円

 (営業収支)  
      営業収入     22,266,000千円
           営業支出          19,622,000
            営業利益           2,644,000

(資本収支) ▲7,970,000
(差引損益) ▲5,326,000

 営業収支は26.44億円の黒字であるが、資本収支は建設改良費や企業償還金等により79.7億円の赤字である。

 差引53.26億円の赤字である。

 その営業収入222億6600万円の内訳は、下記である。

      施設使用料     8,548,920千円
            売上高割使用料      3,279,080
            雑収益              3,688,855
            営業外収益          3,484,023
            特別利益            3,265,122
              計               22,266,000

 施設使用料とは、賃料を云う。一次卸売業者、二次卸売業者にu当り505円〜1,991円で貸している定額賃料収入である。

 売上高割使用料とは、賃料であるが、売上高が一定水準を超した場合、売上高に応じて割増される賃料収入である。

 定額賃料に対する割増賃料の比は、

                  3,279,080
              ───────  = 0.384                             
                  8,548,920

38.4%である。いささか多すぎる賃料割合と思われる。

 賃料収入は、約85.4億円である。

 11卸売市場の建物延床面積は、1,038,683uである。

 建物延べ床面積u当り賃料は、

                 8,548,920,000円
              ───────── = 8,230円                        
                  1,038,683u

である。

 これは年額である。月額賃料に変換すると、

                 8,230
             ─────   ≒ 686円                                 
                  12

u当り686円である。

 これは通路、トイレ等の共用部分も含めた賃料である。

 通路、トイレ等の共用部分の面積がどれ程の割合を占めるのか、正確には私は分からないが、35%とすれば、

       686÷(1−0.35)  =1,055

賃貸面積当りの賃料は、u当り1,055円になる。

 坪当りでは、

             1,055円×3.30578 = 3,542円

3,542円である。

 東京都中央卸売市場の決算は、53.26億円の赤字である。

 この赤字をどう黒字に転換していくか。

 収入の大部は賃貸収入である。

 とすると、賃料を上げて赤字を減らして行く方策がすぐ考えられるが、それには賃借人からのかなりの抵抗があるであろう。

 他の方策は。

               鑑定コラム1414)転載



****追記 2016年10月8日

 2016年7月〜9月の3ヶ月間の当鑑定コラムを訪問したアクセスランク統計で、鑑定コラム1410)が上位2位に入った。

 このコラム記事は、築地市場の家賃を論じたコラムである。

 およそ1年前の2015年11月8日に発表したコラム記事である。

 このコラム記事に突如アクセスが増えてきたのは、1ヶ月程度前の8月20日頃からである。

 小池百合子氏が都知事選で、築地市場の豊洲市場の移転について、「一旦立ち止まって検証することも必要」と云い、その小池百合子氏が都知事に当選してしまったため、その発言の現実性が高くなった。それに触発されてアクセスが急増したようである。

 アクセスが急増していることに気づき、2016年8月31日に鑑定コラム1534)に「鑑定コラム1410)にアクセスが多い」と云う記事をアップした。

 一日に100件、50件とアクセスが続けば、マイナーな当ホームページのアクセス上位にランクしてしまう。

 しかし、2位になるまでのアクセス数があるとは思わなかった。

 未だ一日に10件、20件のアクセスが続いている。

               (鑑定コラム1515の一部転載加筆)


  鑑定コラム1414)
「東京都中央卸売市場は53億円の赤字」

  鑑定コラム1415)「築地市場の売上高は芳しくない」

  鑑定コラム1416)「東京都中央卸売市場の売上高は1兆2110億円(平成26年)」

  鑑定コラム1419)「魚・野菜・肉卸店舗の家賃割合」

  鑑定コラム1534)「鑑定コラム1410)にアクセスが多い」

  鑑定コラム1551)「2016年10月1日コラムアクセス  築地市場賃料が2位」

  鑑定コラム1660)「都議選 自民57から23議席へ大敗」


フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ