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1857)日銀金沢支店の報告では金沢の景気状況は具体的に理解し難い

 金沢の景気状況が、新幹線開通(2015年3月)と開通後にどの様にかわったのかと思い、日本銀行金沢支店が発行する『石川県金融経済クオータリー』を読んだが、文言の変化のみの表現では、読む人に具体的にはさっぱり実感が伴わなく分からない。

 日本銀行員の方は、読めば分かるのであろうが、官僚のよく使う日本語の少しの違いが、数値として具体的にどう違うのか、私にはさっぱり分からない。

 下記に、『石川県金融経済クオータリー』の「2015年春」と「2018年秋」の「概況」を転載する。違いを見つけて、文言の違いから景況が具体的にどう違うか判断してみて欲しい。2018年の「」の中が2015年と変更した文言である。


 「2015年春」
 『石川県の景気は、回復している。

 最終需要を見ると、個人消費は穏やかに持ち直している。設備投資は一段と増加しており、住宅投資は持ち直しつつある。公共投資は減少傾向にある。

 当該製造業の生産は高水準で推移している。業種別にみると、化学、電気機械は高水準で推移している。はん用・生産用・業務用機械、繊維は弱含んでいる。

 雇用・所得環境は着実に改善している。

 物価は前年を上回っている。

 先行きについては、回復を続けていくとみられる。

 金融面を見ると、預金は個人、法人を中心に前年を上回っている。貸出は個人向け、法人向けを中心に前年を上回っている。』


 「2018年秋」
 『石川県の景気は、「拡大」している。

 最終需要を見ると、個人消費は、「雇用・所得環境の着実な改善が続くもと、着実に」持ち直している。住宅投資は「穏やかに増加している。設備投資、公共投資は増加している」。

 当該製造業の生産は高水準で「横ばい圏内の動きとなっている」。業種別にみると、化学は、「穏やかに増加している」。電気機械、はん用・生産用・業務用機械は、「高水準で横ばい圏内の動きとなっている」。繊維は、「横ばい圏内の動きとなっている」。

 雇用・所得環境は着実に改善している。

 「消費者物価(除く生鮮食品)は、エネルギー価格やサービス価格を中心に、上昇している」。

 「企業倒産は、総じて落ち着いた動きとなっている」。

 金融面を見ると、預金は「法人、個人」を中心に「増加している」。貸出は個人向け、法人向けを中心に「増加している」。』


 石川県の「2015年春」と「2018年秋」の経済概況を比較して見ると、「2018年秋」の概況の文章の「」になっている部分が、「2015年春」と違う部分である。

 それを記して行くと、下記である。

イ、石川県の景気は、回復から、拡大しているになる。

ロ、個人消費は、穏やかに持ち直しから、持ち直しているになる。

ハ、設備投資は、一段と増加から、増加しているになる。

ニ、住宅投資は、持つ直しつつから、穏やかに増加しているになる。

ホ、製造業の生産は高水準で推移しているから、横ばい圏内の動きになる。

ヘ、化学は、高水準で推移しているから、穏やかに増加しているになる。

ト、電気機械は、高水準で推移しているから、高水準で横ばい圏内の動きになる。

チ、はん用・生産用・業務用機械は、弱含から、高水準で横ばい圏内の動きになっている。

リ、繊維は、弱含から、横ばい圏内の動きになる。

ヌ、雇用・所得環境は、着実に改善と変わらず。

ル、物価は、前年を上回っているから、上昇しているとなる。

オ、企業倒産については、2015年には記述が無い。

ワ、預金は、個人、法人を中心に前年を上回っているから、増加しているになる。

カ、貸出は、個人向け、法人向けを中心に前年を上回っているから、増加しているになる。


 これら上記の文章・文言の表現の違いから、経済の状況がどれ程変化しているのか具体的に把握出来るであろうか。

 経済状況の表現は、文学では無い。 具体的数値による証拠による証明が必要では無かろうか。

 概況にデータの数値が、別紙で一応証拠として記載されているが、その数値から、「弱含から、高水準で横ばい」等という状況になるのか、さっぱり分からない。

 景気は回復しているから拡大という表現になっているが、どう拡大しているのかその状況が、文章を読む人には分からない。

 景気の具体的表現とすれば、DI値で示せばはっきりと分かろう。

 経済状況を文学的な文章表現で無く、具体的数値で示す方式に変更すべきではなかろうか。

 日銀金沢支店の報告書は、「2018年秋」では金沢市の消費者物価は「上昇している」と表現する。

 では、一体どれ程の率で上昇しているのか。3%なのか、5%なのか、10%なのか。

 「上昇している」という表現では、その上昇の程度、上昇率がさっぱり分からない。

 それとも、それらは分からなくとも良いという報告書なのか。

 金沢市の発表によれば、消費者物価指数は、2015年=100とすると、2018年10月の総合指数は102.9である。

 この消費者物価指数(総合)から、金沢市の消費者物価は、2015年から2018年10月までの間に2.9%上昇しているとわかる。


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