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1935)2019年6月7日千葉県不動産鑑定士協会の懇親会にて

 2019年6月7日の夕方、公益社団法人千葉県不動産鑑定士協会の年次総会後の懇親会に、招待され出席することになった。

 会場は、千葉県庁に近いホテルの4階中広間であった。

 懇親会で聞けば、総会で千葉県不動産鑑定士協会の執行部の改選が行われ、

        会長    増間真一不動産鑑定士
                副会長    佐藤元彦不動産鑑定士
                副会長  大木孝仁不動産鑑定士

の各氏が再任されたとのことでした。再任おめでとうございます。

 懇親会の来賓は、多くの方が来場されていた。千葉県担当課長、千葉県内の各士業の代表者(弁護士会、公認会計士会、税理士会、司法書士会、土地家屋調査士会)、2つの不動産仲介業界代表者そしていささか畑違いの私であった。

 千葉県担当課長の挨拶から始まり、来賓の各氏の挨拶が続いた。

 最後は私であった。

 私の挨拶は、同じ職業である不動産鑑定士の方々への挨拶であることから、不動産鑑定に関する少し辛口の内容の話を短く話した。その話の内容の概要は下記のものである。

       
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 最近、私はある地代の不動産鑑定書と、その内容を擁護する意見書を目にすることになった。

 それは地上権の地代であった。地上権の地代は極めて珍しいものです。

 場所は**の高度商業地で、土地価格は坪当り3500万円程度するところです。

 土地の公租公課は、月額坪当り1.1万円でした。

 8階建のビルが建つ土地です。

 その地上権地代の決め方は、極めて簡単で、契約書で公租公課の1.8倍と決められていました。40年以上、それに従って、地代は改訂されてきていました。

 それが突然、現行地代の2倍以上の地代の値上げを、土地所有者は要求して来ました。それは土地所有者の代替わりによるものです。

 若い息子が、公租公課の1.8倍の地代は安すぎると云って、現行支払地代の2倍以上の地代値上げを要求して来たのです。

 その裏付けとして、ある不動産鑑定士が、公租公課の3.9倍が適正地代であるという地代鑑定書を提出していました。

 裁判中に、地主側の鑑定を補強するものとして、別の不動産鑑定士の意見書が提出されました。

 その意見書は、地上権地代と一般借地権地代は同じであり、地上権地代であるからと云って安い地代にはならない。地主側の鑑定の公租公課の3.9倍の地代は適正であると云う意見書です。

 地上権は一般借地権と異なり、物権です。抵当権の設定が出来るほどの強い権利です。

 強い権利であるから、地代は逆に安くなります。

 高度商業地で、土地価格が坪当り3500万円とか公租公課が月額坪当り1.1万円の土地の場合、その土地の地上権の地代は、公租公課の1.5倍前後が妥当な水準です。

 固定資産税の3.9倍と云うのは、一般借地権の住宅地の地代の倍率です。

 それを商業地に持ってきて、まして地上権の地代に当てはめるとは、とんでもない地代鑑定です。こうした地代鑑定を行わないように。

 これが私の挨拶の話です。

       
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 懇親会で、何人かの不動産鑑定士と話しした。

 著書を買いましたという人や地代・家賃の評価で悩んでいる問題について、私の判断を聞いて来る人もいた。

 高度商業地の地代が、公租公課の1.8倍という契約書による決め方があるということを聞いて安心しましたという人もいた。

 還元利回りが、ほぼ全国一律はおかしいでは無いかと、私に意見を求める人もいた。

 地価公示価格の鑑定書が全面公開され、県民からどういう捉え方をされるのか心配であるという人もいた。

 それぞれの不動産鑑定士は、いろんな悩みを抱えているようである。


  鑑定コラム1792)
「千葉士協会の総会後の懇親会に出席」

  鑑定コラム1679)「2017年千葉県不動産研究会の講演」

  鑑定コラム1817)「千葉県不動産研究会での正規分布・回帰分析の講演」


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