○鑑定コラム



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2)「利益の10%の賃料」という面白い賃貸契約の事例

 東京都の石原知事は平成13年2月13日、墨田区にある都の空き施設を利用して設立した「ベンチャー・SUMIDA 」(12年11月開設)を視察したと日本経済新聞は報じる。

 この施設はベンチャー企業22社が入居しているが、その賃貸契約内容が変わっている。

「入居企業の賃料は無料で、利益が出れば税引前利益の10%を都に納める。」
というやり方である。

 ベンチャー企業の賃料無料はよくある例であるが、利益が出た場合、「税引前利益」の10%の賃料を払えというのはユニークな内容だ。公共施設の新しい民間利用の賃貸事例として記憶していてよい。

 この記事は通常はそれだけの価値記事としてしか見ない。
 しかし、この記事を別の観点から読んでみると、すばらしいデータであることがわかる。

 最近鑑定協会主催で、民事再生法に伴う鑑定評価の研修会が行われた。また行われようとしている。
 その講習で必ず課題になるのが、企業収益による収益還元法である。
 講習の題目はあるが、中身はからっぽである。
 具体的に企業純収益を経営・資本・不動産にどの様に配分するのか、全然示されない。数行の観念的文章で終わっている。

 日経の上の記事は、製造小企業の純収益の10%が不動産に配分される利益であることを、現実のデータとして示しているのである。
 企業収益の配分で経営・資本に配分した残りを不動産利益とする場合、鑑定の実務では求め方に大変苦慮している。
 記事は10%を1つの目標にすることが出来るということをあっさりと教えてくれているのである。

 不動産配分利益が分かれば、それを還元利回りで除せば、簡単にその不動産の価格は求められる。
 日経の記事は黄金のデータを示してくれたのである。


  鑑定コラム17)「洞察力に脱帽・不動産配分利益」

  鑑定コラム32)「企業収益還元法」

  鑑定コラム154)「不動産の利回り(割引率とターミナルレート)」


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