○鑑定コラム



フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
次のページへ
鑑定コラム全目次へ

154)不動産の利回り(割引率とターミナルレート)

 不動産の利回りは、その不動産の種類、地域、建物の築年数、収益性の期待、予想リスク等の様々な要因を反映して、一つ一つ利回りが異なっている。

 ここで云う利回りとは、
   不動産の生み出す年間収益(キュッシュフロー)÷土地建物の価格
     = 不動産利回り
である。

 賃貸不動産にあっては賃料の年間純収益であり、企業純収益では不動産に属する収益である。

 不動産の利回りで特に異なるのは、種類による利回りである。
 即ち、貸事務所ビル、社交ビル、店舗、マンション、アパート、工場、倉庫、ゴルフ場、ホテル等の種類によって、不動産の利回りは異なっている。

 それは、それぞれの不動産が持つ特性(収益性、リスク等)を反映して形成されるためである。

 例えば、5億円の資本を貸ビル、ホテル、ゴルフ場に投下した場合、その得られる収益は同じでは無い。投下資本の5%の利益が、どの不動産からも等しく得られるという保証はないし、又、そうしたものでは無い。

 不動産の価格を求める収益還元法の中で、DCF法という手法がある。  DCF法とはどういうものかについては、多くの解説書が出ているから、それらに任せる。
 ここでは、DCF法で使われる割引率、ターミナルレート(ある期間以降の還元利回り)に付いて、不動産鑑定の実務において、どういう数値が使われているか述べる。

 割引率、ターミナルレートにどういう数値が使われているか、余りオープンされない。別に隠して居るわけでは無いと思うが、何故か公にはオープンにされない。

 私の多くない不動産鑑定評価で、最近(2004年)1〜2年の鑑定評価で、実際に使用した割引率、ターミナルレートの幾つかをオープンにする。
 個人の不動産鑑定士の扱う鑑定の件数には限りがあるから、発表数値が種別の全部をあらわしている物でもなく、かつ、この数値が絶対というものでは無い。
 一人の不動産鑑定士が実際の不動産鑑定評価で、どの様な数値を使っているのかを知ることは、不動産鑑定或いは不動産の売買等不動産に係わる人々にとって、何らかの役に立つであろう。
   以下に数値を記す。(経営10%とは経営配分利益10%ということである。)


種別 所在 割引率 ターミナルレート その他
ゴルフ場 北海道 10.0% 9.9% 経営10%
  山形 10.0% 18.0% 経営10%
  三重 10.0% 11.0% 経営10%
  三重 10.0% 11.0% 経営10%
  岐阜 10.0% 10.5% 経営10%
  愛知 10.0% 10.5% 経営10%
  石川 10.0% 11.0% 経営10%
         
ラブホテル 渋谷 18.0% 20.0%  
  渋谷 16.8% 17.0%  
         
ホテル 赤坂 5.5% 5.9%  
観光ホテル 静岡 10.0% 12.0% 経営12%
         
倉庫 大阪 6.3% 8.0%  
  神戸 6.0% 6.5%  
  愛知 8.5% 9.0%  
  福井 4.0% 還元利回り  
         
工場 栃木 12.0% 13.0% 経営25%
  岡山 13.0% 14.0% 経営11%
  群馬 11.0% 還元利回り 経営16%
         
林地 群馬 4.0% 40年価値の割戻率  
  栃木 4.0% 40年価値の割戻率  
  埼玉 4.0% 40年価値の割戻率  
         
事務所ビル 神田 5.0% 6.0%  
  代々木 6.0% 6.5%  
  上野毛 9.0% 9.5%  
  西麻布 6.5% 7.0%  
  大森 10.0% 10.5%  
  六本木 6.5% 6.8%  
  赤坂 6.0% 6.5%  
  銀座 6.3% 6.5%  
  西新橋 4.0% 4.3%  
  東麻布 6.0% 6.3%  
  新橋 11.5% 12.0%  
         
一棟マンション 小金井 3.7% 4.2%  
  府中 3.7% 4.2%  
  国分寺 4.7% 5.2%  
  八王子 3.4% 3.9%  
  麻布十番 6.0% 6.3%  
  中野 6.0% 6.3%  
  文京・目白台 7.0% 7.5%  
  昭島 7.0% 7.5%  
  南青山 7.5% 7.8%  
  江東 7.5% 8.0%  
  大森 11.0% 11.3%  
  江戸川 5.0% 5.3%  
  台東三輪 13.0% 14.0%  
  歌舞伎町 10.0% 11.0%  
  北九州門司 10.0% 11.0%  
  北海道恵庭 9.0% 9.5%  
         
一室区分マンション 三田 7.0% 7.3%  
  高輪 6.0% 6.3%  
  等々力 6.0% 6.3%  
  上目黒 7.0% 7.5%  
  六本木 7.5% 8.0%  
  南千住 6.0% 6.5%  
  麻布十番 6.0% 6.3%  
  相模原 5.3% 5.5%  
         
区分所有店舗 新宿 10.0% 10.5%  
  横須賀 10.0% 11.0%  
         
アパート 国分寺 3.5% 3.7%  
  稲城 3.5% 4.0%  
  府中 3.4% 3.9%  
  朝霞 7.5% 8.0%  
  千葉館山 6.4% 6.5%  
  千葉袖ヶ浦 3.5% 4.0%  
  保土ヶ谷 4.6% 5.1%  
  鶴見 4.0% 4.2%  
  日立 5.3% 5.5%  
  仙台 6.0% 6.5%  
         
戸建住宅 西落合 4.0% 4.5%  
  横浜港南台 3.2% 3.5%  
         
社宅独身寮 川崎 6.5% 7.0%  
  我孫子 10.0% 10.5%  
         
店舗 赤坂 7.0% 7.5%  
  渋谷区南平台 7.5% 8.0%  
  川崎 6.5% 7.0%  
  川崎 6.0% 6.5%  

 貸ビル・マンション等利回り、還元利回りに関して、本『鑑定コラム』に次の記事があります。参考になると思います。


  鑑定コラム19)「還元利回りの求め方」

  鑑定コラム28)「日本プライムリアルティ投資法人のリート」

  鑑定コラム41)「田の還元利回り4.2%」

  鑑定コラム  179)「ある投資法人の購入ビルの利回り」

  鑑定コラム186)「沖縄の家賃と不動産利回り」

  鑑定コラム189)「東京の賃貸ビルのフアンドバブル化」

  鑑定コラム257)「危険ゾーンに入った都心一部の貸ビル利回り」

  鑑定コラム2)「「利益の10%の賃料」という面白い賃貸契約の事例」

  鑑定コラム17)「洞察力に脱帽・不動産配分利益」

  鑑定コラム32)「企業収益還元法」

フレーム表示されていない場合はこちらへ トップページ

田原都市鑑定の最新の鑑定コラムへはトップページへ

前のページへ
後のページへ
鑑定コラム全目次へ