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2359) 令和4年の不動産業の倒産件数は302件を予想 果たして

 鑑定コラム2346)で、帝国データバンクの発表した2021年の不動産業者の倒産件数は、225件と云う記事を書いた。

 いつも結果論ばかりの記事を書いていては、発展性も無く、面白く無い。たまには予測の記事も良い。

 予測の記事を書いて大きく外れて面目を失うこともあってよいでは無かろうかと思い、今年(令和4年)一年間の不動産業の倒産件数を予測してみる。

 結論を先に書けば、令和4年(2022年)1年間の不動産業の倒産件数は302件である。

 では302件と云う件数をどの様にして予測したのか。そのことについて述べる。

 先の鑑定コラム2346)の終わりに次のごとく記述した。

 「さて、2022年は不動産業者の倒産件数が2021年より増えるか減るか、どういう事になるであろう。取り敢えず2022年1月の不動産業者倒産件数が20件を超えるか否かが1つの判断の指標となる。というのは2021年1月の倒産件数が20件であったから。」

 当該年の1月の倒産件数から、その当該年の倒産件数を推定するという考え方を示した。

 1月の倒産件数が多ければ、その年の倒産件数は多いであろう。少なければ少ないであろうという甚だ粗っぽい考え方である。

 倒産件数の指標が無いから、その年の最初の月の倒産件数で1年間の倒産件数を予測するという考え方も1つの目のつけどころとして合理性はあると私には思われる。

 ということで、帝国データバンクが発表している過去の『全国企業倒産集計』より、手許にある資料から、2000年以降の1月の不動産業の倒産件数とその当該年の不動産業の倒産件数を調べて見た。

 調べたデータ数値の結果は、下記である。


年間件数 1月件数
2000 650 47
2001 703 41
2002 672 51
2003 591 53
2004 526 40
2005 402 44
2006 368 36
2007 375 28
2008 429 30
2009 488 54
2010 353 29
2011 336 40
2012 348 39
2013 300 32
2014 319 33
2015 270 20
2016 261 25
2017 271 22
2018 248 18
2019 255 19
2020 231 18
2021 225 20


 左縦軸に年間倒産件数、右側に1月の倒産件数として、上記件数をグラフにしたのが、下図である。

 グラフには凹凸があるが、1月の倒産件数と当該年間倒産件数とは、似かよった傾向があると見取れる。両者には充分相関関係があると判断される。




不動産業1月と年間倒産件数折線グラフ




 上記図をみた判断から、縦軸に年間倒産件数をとり、横軸に1月の倒産件数を取って、データをプロットしたのが、下図である。




不動産業1月と年間倒産件数回帰図




 図には、プロット点の散らばりがかなりみられるが、右肩上がりの線形代数の関係式の存在が判断される。

 縦軸の年間倒産件数をY、横軸の1月の倒産件数をXとして、XYの関係式を求めると、

      Y=40.95+10.44X
                   r=0.819
                   標準偏差87.9
の関係式が求められた。

 1月の倒産件数に10.44を掛け、それに40.95を加算すれば、当該年の年間倒産件数が求められると云うことである。

 相関係数は0.819であるから、1月の倒産件数と当該年間の倒産件数との間にはかなり強い関係があると云える。

 1月の倒産件数から当該年間の倒産件数を推定するという目の付け所は、相関係数が0.819ある事から間違ってはいないと判断される。

 求められた当該倒産件数のブラス、マイナス87.9の数値の間には、68%の確率で年間倒産件数はあるということになる。

 2月8日に帝国データバンクは、2022年1月報の『全国企業倒産集計』を発表した。

 その発表によれば、2022年1月の不動産業の倒産件数は、25件であった。

 X=25を前記した関係式に代入すると、
    Y=40.94+10.44×25=301.95≒302
Y値は302と求められる。

 2022年の年間倒産件数は、302件と求められた。

 2021年の不動産業の年間倒産件数は225件であったことから、2022年は+77件の倒産件数の増加ということになる。不動産業の倒産の大幅増加である。

 表題の「令和4年の不動産業の倒産件数は302件を予想 果たして」の302件の数値は、上記の分析によって求められた予想件数である。

 さて表題のごとく、「果たして」予測が当たるかどうか。2021年より77件増であるから、その様な不動産業の不景気を望まないことから、予測が外れることを願う。

 なお、上記算式は、ここ数年は使えるのでは無かろうかと思われる。2月初め帝国データバンク発表の1月の不動産業の倒産件数を代入して計算すれば、その年の年間倒産件数をおおよそ知ることが出来る。


  鑑定コラム2346)「2021年の不動産業の倒産件数は225件」

  鑑定コラム2540)「2022年の不動産業の倒産件数は229件」

  鑑定コラム2644)「不動産業の倒産が急増。直前1年間の集計では不動産業倒産の最低は2022年5月の193件で、2023年8月は274件。」


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