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2724) 2019年と2023年のRC造用途別建物の建築工事費の開差

 「H型鋼が高くなっている」の題の鑑定コラム2723)で、広幅100×100ののH型鋼は、2019年1月〜2024年1月迄の間にトン当りの単価で43%値上がりしていると記した。

 そして、H型鋼を多く使っている倉庫建物の2019年〜2023年の建築工事費は、31%値上がりしていると記した。

 その原因は、新型コロナウイルス感染の拡大、ロシアのウクライナ侵攻による原油・鋼材の原材料の高騰、為替の円の下落と述べた。

 2019年と2023年国土交通省が発表している「建築着工統計調査」によるRC造の用途別のマンション、事務所建物、店舗、工場・作業所、倉庫、学校校舎、病院・診療所の建設データを調べて見た。

 下記である。


2023年RC造 棟数 延床面積 u a 工事費予定額 万円 b u当り単価 万円 b/a
         
(居住専用)        
全国 8747 12014404 353214643 29.40
東京 2173 2783700 102357652 36.77
         
(事務所)        
全国 495 932742 40240565 43.14
東京 127 377523 13571215 35.95
         
(店舗)        
全国 114 79079 3528746 44.62
東京 49 30872 1620683 52.50
         
(工場・作業所)        
全国 101 272166 13467537 49.48
東京        
         
(倉庫)        
全国 242 4080387 67422477 16.52
東京 25 261490 4226367 16.16
         
(学校校舎)        
全国 341 940643 38089509 40.49
東京 39 148509 6917834 46.58
         
(病院・診療所)        
全国 178 677467 30487977 45.00
東京 17 54172 2447850 45.19
         
         
2019年RC造 棟数 延床面積 u a 工事費予定額 万円 b u当り単価 万円 b/a
         
(居住専用)        
全国 9447 11846651 294971434 24.90
東京 2022 2638908 83054829 31.47
         
(事務所)        
全国 498 859394 35103300 40.85
東京 90 100011 5187991 51.87
         
(店舗)        
全国 142 161870 3279353 20.26
東京 72 32882 1191952 36.25
         
(工場・作業所)        
全国 130 259597 7273785 28.02
東京        
         
(倉庫)        
全国 307 1383744 21135666 15.27
東京 31 224937 3372545 14.99
         
(学校校舎)        
全国 470 1189638 39596421 33.28
東京 55 241184 9893878 41.02
         
(病院・診療所)        
全国 197 790279 29468173 37.29
東京 18 69566 2434487 35.00


 2023年と2019年のRC造単価を比較してみると、下記一覧である。


  2023年 万円/u a 2019年 万円/u b 変動率 a/b
(居住専用)      
全国 29.40 24.90 1.18
東京 36.77 31.47 1.17
       
(事務所)      
全国 43.14 24.90 1.73
東京 35.95 51.87 0.69
       
(店舗)      
全国 44.62 20.26 2.2
東京 52.50 36.25 1.45
       
(工場・作業所)      
全国 49.48 28.02 1.77
東京      
       
(倉庫)      
全国 16.52 15.27 1.08
東京 16.16 14.99 1.08
       
(学校校舎)      
全国 40.49 33.28 1.22
東京 46.58 41.02 1.14
       
(病院・診療所)      
全国 45.00 37.29 1.21
東京 45.19 35.00 1.29


 東京のRC造事務所の建築単価が、

              2019年   51.87万円/u
              2023年   35.95万円/u
と、2023年の建築単価が2019年の建築単価に比して、大幅に下落している。

 東京の建築単価が、この様に大幅に下落することは極めて珍しいことである。何が原因なのか。

 2019年の東京の建築工事費の高騰は、東京オリンピック関係による建物建設及び工期が、オリンピックには関係無い事務所ビルの建築費にも大きく影響を与えたと云うことになろうか。

 つまり、東京オリンピックは、東京の建物の建築費に大きく影響を与えたということである。

 東京オリンピック晴海選手村土地不当廉売事件訴訟では、東京オリンピック要因は、建物工事費には全く影響を与えず、全て土地価格に影響し、土地価格が東京オリンピック要因によって1/10以下の価格になるという東京都側の不動産鑑定士による不動産鑑定評価がなされた。

 一審東京地裁は、その不動産鑑定評価を支持し、控訴審東京高裁も同じく支持した。

 一審、控訴審の判決は、東京都側の主張をそっくり受け入れ、東京オリンピック選手村建物建設は、土地価格に大きく影響し、土地価格は1/10以下になり、建物工事費には全く影響しないという判決である。

 私の考えは、東京オリンピック要因は、建物工事費・建物価格が影響を受ける問題であり、土地価格は影響を受けなく、土地価格がオリンピック要因によって価格減額される事は無いというものである。

 オリンピック要因によって選手村土地価格は1/10以下になると云う一審、控訴審の判決は不当であるとして、上告及び上告申立がなされたが、最高裁は上告の棄却、上告申立の不受理を決定した。

 オリンピック関係の建築工事は建物工事費に影響しないと云う事から、選手村建物の建築だけでなく、それは、他の建物の建築費にも当然同じことが云える事になる。

 他の建物の建築費にも云えなければ、その論理は間違いと云うことになるから、上記東京のRC造の建物工事費の高騰は、別の要因が原因によるものと、最高裁の判断ではなる事になる。

 30年後、50年後の人々に、2019年の東京のRC造建築費の高騰は、そういう事であると伝える事になろう。

 果たして、30年、50年後の人々が、その様な事を信じるであろうか。

 2020年オリンピック開催(実際は新型コロナウイルス感染拡大により2021年に開催)の為に作られる晴海選手村の不動産鑑定評価土地価格一覧は、下図である。




晴海小学校用地



 オリンピック要因によって土地価格が減額されるとして求められた土地価格は、A、B、C、D、Eのu当り27,000円〜108,000円である。

 選手村食堂敷地として利用された土地(図中の「文」の土地)は、オリンピック選手の食堂建物敷地として利用される土地、利用された土地であるからオリンピック要因のある土地と考えられる。

 オリンピック終了後に中央区が、東京都から学校用地として取得し、取得土地価格はu当り592,386円である。

 この土地価格は、都有地を公共用途の土地として使用する場合に公共減額1/2として売却された土地価格である。

 選手村土地の近隣地域には、東京都基準地価格があり、その基準地価格はu当り895,000円である。

 上記の土地価格図が、東京オリンピック選手村建物建設する為に、オリンピック要因は建物価格には影響せず、土地価格に全面的に影響すると云って鑑定評価された土地価格一覧である。

 この土地価格を東京地裁、東京高裁は認めた。

 最高裁は、憲法違反で無い。重要な法律違反で無いとして、上告棄却、上告申立不受理の法律行為を行った。

 これが2024年の日本の裁判官の判断・知識レベルであり、東京都の役人及びそれに群がり一儲けしょうとする人々の考え・行為であり、それらを見て見ぬふりをする2024年の日本の姿である。

 30年後、50年後の人々の歴史的審判を、私は待つ。


  鑑定コラム2723)「H型鋼が高くなっている」

  鑑定コラム2715)「最高裁が法の前の平等を無視 晴海選手村都有地廉売事件上告棄却」

  鑑定コラム2725)「東京のSRC造とRC造の事務所建築費の相関関係が2019年で崩れた」


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