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338)地価公示価格変動率の情報漏れとインサイダー取引への懸念

 2007年2月26日に東京証券取引所の上場会社の日経平均株価は、大幅に下落した。

 この株価下落は、現在の無茶苦茶な都心商業地の地価上昇に冷や水をぶっかけることになるかもしれない。

 バブル経済の絶頂期の日経平均株価は、1989年(平成元年)12月29日の38,957円であった。株価はそれ以後大暴落する。
 そして土地価格は、翌年平成2年4月を天井にして、都心商業地は平成14年(2002年)まで大幅に下落し、東京郊外住宅地、地方の地価は未だに下落の状態にある。
 株価の暴落から4ヶ月後に地価の暴落が始まった。

 今回の株価暴落が、平成2年と同じように都心商業地の地価暴落を引き起こすかどうか分からないが、地価に影響が無いとはいいきれない。半年後に地価はどう動いているか待ってみよう。

 2007年3月2日の日本経済新聞は、2007年2月26日を境にして、業種別日経平均の騰落率を分析して載せている。

 その分析によれば、2006年12月29日〜2007年2月26日までの株価上昇銘柄業種と、2007年2月26日〜3月1日までの株価下落銘柄業種が分析されている。
 さすがに日経新聞の目のつけ所は鋭く、分析は速い。

 上昇率は造船は3位、不動産は5位であるが、1位から5位までの差はわずかである。下落の1位・2位は造船、不動産の順である。

 その数値は下記の通りである。

      銘柄業種    2006年12月29日〜           2007年2月26日〜
                     2007年2月26日              2007年3月1日

      造船              +24.3%                    △8.8%
   不動産            +23.9%                    △8.1%

 そして日経記事は、不動産業種の動きについて次のごとく述べる。
 「不動産は公示価格の発表を三月に控え、地価上昇への期待から海外勢の買いが先行。三菱地所や三井不動産が上場来高値を更新した」
が、高値警戒感から利益を確保しょうとした売りが出たと述べる。

 不動産業種の株価が上がることに対して、私は文句を言うつもりは無い。それは株式市場が決めることであって、とやかくいうものでは無い。

 しかし、2007年2月10日号の週刊ダイヤモンド誌がスッパ抜いた記事は、2006年11月頃の地価公示価格の2007年3月発表予定の地価公示価格の上昇率の見込み数値によるものである。それは地価公示価格評価を行っている不動産鑑定士の幹事の誰かから漏洩したもののようである。

 もしこの地価変動率の情報を、2007年3月の発表の遙か前の2006年11月頃に極秘で入手し、土地価格は大幅に上がることが2007年3月に政府発表されるということを知った投資家がいたら、不動産業種は、即「買い」と考えて行動するのでは無かろうか。

 上記日経の記事でもはっきりと「地価公示価格」の地価変動が高くなることを予想し、海外勢が日本の不動産業種の銘柄を買っていると伝えている。

 不動産業種の株価の上昇率がおよそ2ヶ月の間に23.9%で、全業種の中にあって5位の上昇率を占めているという現実を知れば、事前に地価上昇することを知っていれば、かなりの利益を得ることが出来たことになる。

 これはインサイダー取引まがいのものになるのでは無かろうか。

 現実にインサイダー取引が行われたかどうかは私は知らないし、分からない。だが、地価公示価格の上昇率の見込み数値が事前に漏洩した場合には、そうした事態が生じる可能性が充分あることは否定出来ないであろう。

 とすると、地価公示価格の上昇率の見込み数値が事前に漏洩したことを軽く考えることなど出来ないことである。インターネットの時代には、情報は瞬時に海外にまでも流れるのである。

 不動産鑑定士・業の監督官庁の国土交通省の地価調査課は、今回の情報漏洩をどう考え、対処するのか私には分からないが、不動産鑑定士、鑑定協会が、
 「そんなことは大したことでは無い。漏洩問題については不動産鑑定協会、不動産鑑定士は一切お咎めなし。」
というように考えていたら、世間から手厳しいしっぺ返しを食らうのでは無かろうか。

 地価調査課も、
 「わしゃ知らない。関係ない。」
と不作為の作為行為を行ったら、
 「インサイダー取引に利用されることを認めるのか。」
と国民から厳しい批判を浴びることになるのでは無かろうか。

 私は現在の不動産鑑定士、不動産鑑定協会は、他の業界から3周遅れ、或いは5周遅れの状態と言っているが、その状態とは具体的にはどういうことかと言えば、今回の漏洩事件を、株式のインサイダー取引に利用されるかもしれないということにすら全く気づいていない、ことの重大性が全く分からない、分かろうとしない状態こそが、3周遅れ、5周遅れという状態を具体的に示す1つの現象であると指摘したい。
 

 本鑑定コラムに登場する「2007年2月10日号の週刊ダイヤモンド誌」については、下記の記事があります。

  鑑定コラム332)2007年2月10日号の週刊ダイヤモンド誌を読まれたい

  鑑定コラム1517)「三井不動産の売上高と23区住宅地価格」


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