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1156)リーマンショック、トヨタ赤字、東日本大震災の賃料影響

 賃料は、経済事情の変動に影響を受ける。

 平成20年9月に、アメリカ投資銀行のリーマン・ブラザーズが倒産した。

 平成20年12月末に、トヨタ自動車が平成21年3月期決算の予想を1500億円の赤字と発表した。9ヶ月前の20年3月期決算では2.2兆円の日本一の黒字決算であった。それが9ヶ月後に今期の決算は赤字になると発表したのである。

 平成23年3月11日に、東日本大震災が発生した。

 この3つの事件は、最近5年間で日本経済を大きく揺さぶった事件であった。
 この3つの事件は、賃料にどの様な影響を与えたであろうか。
 具体的な賃料数値で分析してみる。

 採用する賃料データは、日本経済新聞社が調査発表している『オフィスビル賃料調査』の西新宿地域の賃料データで分析してみる。

 日本経済新聞社の『オフィスビル賃料調査』は、年2回、春と秋にオフィスビル賃料を調査して発表されている。

 春は東京・大阪を中心として、秋は全国の主要都市のオフィスビル賃料が発表されている。

 新築ビルと既存ビルの賃料を発表しているが、既存ビルの賃料で検討する。

 その調査の調査対象のビルの条件は、

  イ.5階建以上、冷暖房完備、エレベータ付の大型ビルで3階以上のフロア
  ロ.ビルオーナーは原則大手企業
  ハ.賃貸料は坪当りの中心相場
  ニ.仲介会社などに示す募集賃料

である。

 西新宿地域のオフィスビルの2007年(平成19年)以降の賃料は、下記である。

          2007年(平成19年)5月   9千円/坪〜50千円/坪
          2008年(平成20年)5月   8千円/坪〜55千円/坪
          2009年(平成21年)5月   8千円/坪〜36千円/坪
          2010年(平成22年)5月   6千円/坪〜36千円/坪
          2011年(平成23年)5月   8千円/坪〜27千円/坪
          2012年(平成24年)5月   6千円/坪〜28千円/坪
          2013年(平成25年)5月   8千円/坪〜30千円/坪

 賃料の水準はゾーンで発表されている。
 上記ゾーンの左値が低値、右値が高値の賃料である。

 経済変動の賃料の影響は、ゾーンの高値の賃料に色濃く現れることから、高値賃料で検討する。
 
 上記賃料の推移を見ると、西新宿地域のビルの高値賃料が、

 
       平成20年5月坪当り55千円 → 平成21年5月坪当り36千円

と一年間で、

                     36
                 ─────= 0.65                                 
                     55

▲35%下落している。

 賃料が下落するには、それなりの理由があるはずである。
 ▲35%もの大幅下落をするには、経済事情として大事件が生じたことを暗示する。

 その期間には2つの大きな経済事件が生じている。

 1つは、平成20年9月のリーマン・ブラザーズの倒産がある。

 これによって、銀行は、一斉に貸付資金の引きあげ及び新規貸出の大幅抑制を行った。
 ファンドバブルで浮かれていた企業は、倒産への道を歩むことになる。

 そしてもう一つは、平成20年12月の暮れも押し詰まった時に、トヨタ自動車は、今期の決算は赤字になるという発表である。

 あのトヨタ自動車ですら赤字になるのかと企業の多くは驚き、かつ、そのことによって不景気の本格的到来を肌で察知し、事業の縮小、撤退に急いで取り組むことになった。

 支店・営業所の撤退、子会社の整理等である。

 事務所の空きが増え、みるみるうちに募集賃料は下落して行った。

 上記▲35%の下落は、上記2つの経済事情の変動が引き起こしたことに原因している。

 次に大きな賃料下落しているのは、

         平成22年5月坪当り36千円 → 平成23年5月坪当り27千円

である。

                     27
                 ─────= 0.75                                 
                     36

▲25%下落している。

 平成23年3月に東日本大震災が発生した。

 ▲25%の下落は、東日本大震災の経済影響によるものである。

 賃料は、経済事情の変動の影響を確実に受けて形成されると言うことが、これで分かろう。

 スライド法の尺度は、消費者物価指数変動率とかGDP等の変動率でなく、賃料の変動率が、よりベストの尺度であるということになる。


  鑑定コラム289)
「スライド法の尺度は賃料の変動率が最重要視されるべきものだ」

  鑑定コラム1119)「賃料の変動率に優るスライド法の変動率は無い」

  鑑定コラム493)「トヨタ2.2兆円利益からマイナス利益に激直下」

  鑑定コラム468)「歴史に残る世界金融の大変動時」


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