○鑑定コラム


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857)東日本大震災による小売業売上高減は1.7兆円

 経済産業省が、平成23年12月の小売業売上高を13.049兆円と発表した。

 そして、平成23年の1年間の小売業売上高を、134.0兆円と発表した。
 私は、平成22年12月〜平成23年11月までの直近1年間の小売業の売上高を、133.7兆円と試算して、鑑定コラム854)の記事を書いた。

   平成22年12月〜平成23年11月の1年間         133.7兆円
      平成23年1月〜平成23年12月の1年間     134.0兆円

 売上高数値が3千億円異なった。

 この原因は、

     平成22年12月売上高     12.731兆円
          平成23年12月売上高     13.049兆円

の差によるものである。

 平成23年12月の売上高が、平成22年12月の売上高を越えている。
 この事は、大変重要なことである。

 平成23年1月〜12月までの月別小売業売上高と、平均月売上高に対する割合を下記に記す。 10億円。

                             月別売上高     評点
          平成23年1月         11134         1.0
          平成23年2月         10410         0.93
          平成23年3月         11270         1.01
          平成23年4月         10853         0.97
     平成23年5月         10916         0.98
          平成23年6月         11142         1.0

平成23年7月 11794 1.06 平成23年8月 10946 0.98 平成23年9月 10574 0.95 平成23年10月 11007 0.99 平成23年11月 10946 0.98 平成23年12月 13049 1.17 計 134041 平均 11170

 平成20年・21年・22年の3年間の平均月別割合(鑑定コラム856「2月・9月の小売業売上高はさえない」で記載している)と平成23年割合を対比して記す。

                   3年平均         平成23年
      1月    0.99     1.00
      2月    0.92     0.93
      3月    1.08     1.01
      4月    1.00     0.97
      5月    0.98     0.98
      6月    0.97     1.00

    7月    1.03     1.06     8月    0.98     0.98     9月    0.95     0.95      10月    0.97     0.99     11月    0.99     0.98     12月    1.15     1.17

 3年平均月別割合と平成23年月別割合を比較してみると、

                   3年平均         平成23年
      3月    1.08     1.01
      4月    1.00     0.97
      5月    0.98     0.98

である。
 特に3月・4月の割合で、平成23年の割合が大きく低下している。

 このことは何を意味するのか。
 割合が上がっている月もあることを考えると、平成23年3月・4月の売上高割合が大きく下がっていることは、この2ヶ月の小売業売上高は大きく落ち込んでいることを意味する。

 では、3月・4月の2ヶ月のみ大きく下がった原因は何か。
 それは、平成23年3月11日に発生した東日本大震災による小売業の売上高への影響と判断される。

 ならば、その売上高減の具体的な金額はいかほどか。
 平成23年と平成22年の小売業月別売上高を、下記に対比して記す。( )の中の数値は売上高減マイナスの金額である。


  平成23年a 平成22年b  
  売上高10億円 売上高10億円 差引a-b
1月 11134 11124 10
2月 10410 10397 13
3月 11270 12294 (1024)
4月 10853 11401 (548)
5月 10916 11057 (141)
6月 11142 11012 130
7月 11794 11720 74
8月 10946 11236 (290)
9月 10574 10695 (121)
10月 11007 10802 205
11月 10946 11194 (248)
12月 13049 12731 318
134041 135663 (1622)


 平成23年の小売業月別売上高を見ると、1月・2月は売上高増である。
 この調子で考えれば、3月の売上高も増と考えられる。

 しかし、3月の売上高は対前年同月比で、1兆円の売上高減である。
 4月も同じく5400億円の売上高減である。
 5月も、3月・4月と比較すると金額は大幅に少ないが、1410億円の売上高減である。

 この3月・4月・5月の売上高減は、3月11日に生じた東日本大震災を原因とする売上高減と推定される。

 3月・4月・5月の合計金額は、1.713兆円である。

 対前年同月比で、売上高増となるのは、6月・7月・10月・12月である。
 特に12月の売上高増金額は大きい。
 東日本大震災の被害があるのにもかかわらず、対前年同月比で売上高アップとなることは、大震災の影響を乗り越えたと判断して良いであろう。

 即ち、大震災による小売業売上高減は、3月・4月・5月の3ヶ月であり、その金額は、1.713兆円であると云えよう。

 6月以降は売上高アップとなっており、大震災の影響は無くなったと判断してもよいであろう。

 8月・11月も売上高減であるが、それは通常の経済変動によるものと判断される。

 東日本大震災の小売業の売上高減は、1.713兆円である。
 前年の売上高135.663兆円に対して、

        1.713 
            ─────  = 0.0126≒0.013                           
              135.663

1.3%の割合である。

 上記金額1.7兆円及び割合1.3%は、今後の他の災害が生じた時の小売業売上高減を判断する際に利用できるであろう。


  鑑定コラム854)
「小売業の売上高は133兆円、平成16年並」

  鑑定コラム856)「2月・9月の小売業売上高はさえない」

  鑑定コラム862)「小売業の勝ち組と負け組」

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